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<11> 手続きと関数 (標準 Pascal 範囲内での Delphi 入門)〔裏〕

Last updated at Posted at 2021-02-16

11. 手続きと関数

Modula-2 だと、結果を返しても返さなくても PROCEDURE です。

11.1. 手続き (Procedures)

11.1.1. パラメータリスト (パラメータ並び / Parameter list)

・パラメータと引数

JIS X 3008:1994 ではパラメータの事を 引数 としていますが、元となった規格の ISO/IEC 7185:1990 では Parameter となっています。

Pascal 他言語 用語
定義で渡されるもの 仮パラメータ 仮引数 パラメータ
呼び出しで渡されるもの 実パラメータ 実引数 引数

次の x は Pascal では 仮パラメータ です。他言語では 仮引数 と呼ばれます。

function f(x: Integegr): Integer;

次の 2 は Pascal では 実パラメータ です。他言語では 実引数 と呼ばれます。

v := f(2);

仮 (formal-) とか 実 (actual-) という言葉を使わない場合、前者が パラメータ で、後者が 引数 となります。上のコードだと 「パラメータ x に渡された、引数 2 という事になります。

See also:

・定数パラメータ

定数パラメータは Borland Pascal / Turbo Pascal 7.0 で導入されています。

11.1.2. 整合配列パラメータ (Conformant array parameters)

・ANSI Pascal

ANSI Pascal標準 Pascal (ISO 7185:1983) 水準 0 相当の規格です。

整合配列パラメータは名前等価の考え方から外れている気がして、個人的には好きではありません。

See also:

11.1.3. 再帰手続き (Recursive procedures)

11.1.4. 手続きパラメータ (Procedural parameters)

・手続きパラメータに標準手続きを渡せない根拠

ISO/IEC 7185 および JIS X 3008 には「標準手続きを実手続きパラメータとして渡す事は出来ない」とはどこにも書かれていないように思えるのですが、

6.6.3.4 Procedural parameters The actual-parameter (中略) shall be a procedure-identifier that has a defining-point contained by the program-block.

6.6.3.4 手続き引数 実引数 (中略) は,手続き名でなければならない。この手続き名の定義位置は,プログラムブロックに含まれていなければならない。

とあります 1標準手続きはプログラムブロック内で定義されていないため、標準手続きを実手続きパラメータとして渡す事はできません。

名前等価の考え方で行くと Delphi の手続き型を使ったやり方の方がスマートに思えます。

(11.1.5.) オープン配列パラメータ (Open Array Parameters)

・オープン配列パラメータの由来

オープン配列パラメータは Modula-2 由来です。High() 関数も Modula-2 由来ですが、Modula-2 には LOW() 関数はありません。Modula-2 のオープン配列パラメータの配列は常に 0 から始まるため LOW() は不要なのです。

オープン配列パラメータは Borland Pascal / Turbo Pascal 7.0 で導入されています。

See also:

・Slice() 関数

Slice()オープン配列パラメータに直接渡す用途でのみ使える特殊な関数です。

program Solve;
var
  SliceMe: array [1..200] of Integer;

  procedure TakesArray(x: array of Integer);
  begin
  end;

begin 
  TakesArray(SLICE(SliceMe, 5));
end.

See also:

(11.1.6.) 型可変オープン配列パラメータ (Variant Open Array Parameters)

(11.1.7.) オープン配列コンストラクタ (Open Array Constructors)

(11.1.8.) 型なしパラメータ (Untyped Parameters)

型なしパラメータは Turbo Pascal で導入されています。

(11.1.9.) オープン文字列パラメータ (Open String Parameters)

(11.1.10.) デフォルトパラメータ (Default Parameters)

ルーチンのデフォルトパラメータは Delphi 4 以降で利用可能です。

(11.1.11.) ルーチンのオーバーロード (Overloading Routines)

ルーチンのオーバーロードは Delphi 4 以降で利用可能です。

(11.1.12.) Exit() 手続き

・Exit (Super Pascal の場合)

A.V. エイホらの『データ構造とアルゴリズム』で使われている疑似言語 Super Pascal では、同様の機能を持つ return() 文が使える事になっています。

・Exit (Modula-2 の場合)

Exit() 手続きは Modula-2 にもありますが、意味合いが異なります。

Pascal Modula-2
Exit() / EXIT ルーチンから抜ける LOOP~END を抜ける
RETURN() N/A ルーチンから抜ける

See also:

(11.1.13.) Halt() 手続き

・Halt (Modula-2 の場合)

Halt() 手続きは Modula-2 にもありますが、Modula-2 の HALT() にはパラメータがありません。

See also:

11.2. 関数 (Functions)

結果型 (Result Type)

結果 (Result)

・Result 変数の由来

Result 変数は Eiffel 由来のようです。

・結果 (UCSD Pascal の場合)

パラメータを受け取る Exit() 手続き自体は UCSD Pascal でも実装されていましたが、受け取るパラメータはルーチンでした。逆にパラメータのない Exit() はありませんでした。

function Add(A, B: integer): Integer;
begin
  Add := A + B;
  Exit(Add);
end;

・結果 (拡張 Pascal の場合)

拡張 Pascal では結果を保持する変数名を指定できます。ユーザー定義の Result 変数のようなものです。

function Add(A, B: integer) = i: Integer;
begin
  i := A + B;
end;

See also:

関数呼び出し (Function Call)

再帰関数 (Recursive functions)

11.2.1. 関数パラメータ (Functional parameters)

・関数パラメータに標準関数を渡せない根拠

ISO/IEC 7185 および JIS X 3008 には「標準関数を実関数パラメータとして渡す事は出来ない」とはどこにも書かれていないように思えるのですが、

6.6.3.5 Functional parameters The actual-parameter (中略) shall be a function-identifier that has a defining-point contained by the program-block.

6.6.3.5. 関数引数 実引数 (中略) は,関数名でなければならない。この関数の定義位置は,プログラムブロックに含まれていなければならない。

とあります 1標準関数はプログラムブロック内で定義されていないため、標準関数を実関数パラメータとして渡す事はできません。

名前等価の考え方で行くと Delphi の手続き型を使ったやり方の方がスマートに思えます。

11.2.2. 副作用 (Side effect)

11.3. 前方宣言 (Forward declaration)

Turbo Pascal の forward は 1.0~5.5 までは予約語でした。6.0 で指令になったようです。

See also:

(11.4.) インライン展開 (Inline expansion)

(11.5.) 手続き型 (Procedural Types)

・手続き型の由来

手続き型 (Procedural Types) は Modula-2 の手続き型 (Procedure Type) 由来だと思われます。

・() の省略できないパラメータのない関数

11.1.1.節に次のような記述がありますが、例外があります。

パラメータのないルーチンの呼び出しでは ( ) を省略できます。

例えば次のような場合です。

ProcTypes.dpr
program ProcTypes;

{$APPTYPE CONSOLE}

uses
  SysUtils;

var
  SW: Boolean;
  Proc: TProcedure;

procedure ProcA;
begin
  Writeln('A');
end;

procedure ProcB;
begin
  Writeln('B');
end;

function Func: TProcedure;
begin
  if SW then
    result := ProcA
  else
    result := ProcB;
end;

begin
  SW := True;
  Proc := Func;   // NG: 手続き型 Proc への Func の代入
  Proc := Func(); // OK: Func の実行結果の代入
  Proc;
end.

手続き型を返し、パラメータのない関数では () を省略できません。

(11.5.1.) 手続き型定数とグローバル手続き型変数の初期化

索引

:ramen: [ ← 10. ポインタ型〔裏〕 ] [ ↑ 目次へ ] [ → 12. テキストファイルの入出力〔裏〕 ]

  1. 『ISO/IEC 7185:1990』および『JIS X 3008:1994』より引用。 2

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