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色検出プログラム

Last updated at Posted at 2019-10-30

#はじめに
このページは,

公式SDK「Tello-Python」を試そう

の1ページです.
全体を見たい場合は上記ページへお戻りください.

#概要
画像処理で物体検出,といえば「二値化・ラベリング・面積&重心計算」が古くから定番です.

最近はそんなレガシー(伝統的・遺産的)な前処理なんか省いて,ディープ・ラーニングで検出してしまう「Semantic Segmentation」の方が流行しています.性能もすごいし...

  参考(動画を再生):http://mprg.jp/research/segmentation_e

とはいえ,コンピュータビジョン入門・ロボットビジョン入門として,レガシー前処理の学習も欠かせません.

「色」をトリガーにして画像処理を行うことは基本です.
例えば,ロボカップ・サッカーでは,昔は「オレンジ色のボール」「青色・黄色のゴール」「ロボットは黒色ベースでシアン・マゼンダのゼッケン」など色の制約を設けて,画像認識させていました.
参加者も審判も,そして観客も,派手な色物の服装は禁止されていました(^_^

また,ラベリング処理はOpenCV 3.0から標準関数として実装されましたが,それ以前はフルスクラッチで書く必要がありました.フルスクラッチだとプログラマーの技量によって処理速度が変わるので,腕の見せ所でした.

今回はOpenCVのラベリング関数を使って,色を基準として物体を識別しTelloで追跡させてみます.

具体的には,この動画の様に,オレンジ色のカラーコーンを追いかけさせます.

カラーコーンを追いかけて,左右旋回をさせるだけの簡単なプログラムですが,バックグラウンドには多くの要素技術があるので,記事が長めになっています.

#前提条件

ホームフォルダにTello-Pythonがインストールされているという前提で話を進めます.

Linuxマシンであれば /home/(ユーザー名)/ に,Tello-Pythonというフォルダがあることになります.

詳しくは Tello-Pythonのダウンロード を御覧ください.

#今回の作業内容

合計で5種類のプログラムを紹介します.

  1. TelloのRGB画像とHSV画像を見るだけのサンプルプログラム
  2. TelloのRGB画像で二値化するサンプルプログラム
  3. TelloのHSV画像で二値化するサンプルプログラム
  4. TelloのHSV画像で二値化・ラベリング・面積&重心計算するプログラム
  5. 物体を検出してTelloが追いかけるプログラム

#作業ディレクトリの作成

まずは,Tello-CV-coreをコピーして,新しいプロジェクト(ディレクトリ)Tello-CV-colorを作ります.

Tello-CV-coreをディレクトリごとコピー
$ cd ~/Tello-Python/
$ cp -R Tello-CV-core Tello-CV-color
$ cd Tello-CV-color

tello.pyとlibh264decoder.soのコピーの手間など考えると,フォルダごとコピーが一番楽ですね.

#(1)RGB画像とHSV画像を見るだけのサンプルプログラム

Telloの画像は****のRGB3色ですが,色をキーにして物体検出をさせる時は,**色相(Hue)・彩度(Saturation)・明度(Value)**のHSV色空間を使ったほうが検知し易いです.

  参考:【python/OpenCV】画像の特定の色を抽出する方法
     色空間の変換

この章では,まずはRGB画像とHSV画像を見てもらいます.
とは言っても,本当のHSV画像は色空間が異なるだけでRGB画像と全く同じものです.
そうではなく,**HSVのデータを無理やりRGBデータとして表示させて見る**という荒業です(^^

##main_color.py

プログラムはmain.pyに書き加える形で作成しました.別名で保存しています.

書き加えの手間を省くなら,以下のコードをコピー&ペーストするか,
ここ を右クリックして[名前を付けて保存]機能でファイル保存してください.

main_colors.py
#!/usr/bin/env python
# -*- coding: utf-8 -*-
import tello		# tello.pyをインポート
import time			# time.sleepを使いたいので
import cv2			# OpenCVを使うため

# メイン関数
def main():
	# Telloクラスを使って,droneというインスタンス(実体)を作る
	drone = tello.Tello('', 8889, command_timeout=.01)  

	current_time = time.time()	# 現在時刻の保存変数
	pre_time = current_time		# 5秒ごとの'command'送信のための時刻変数

	time.sleep(0.5)		# 通信が安定するまでちょっと待つ


	#Ctrl+cが押されるまでループ
	try:
		while True:
			# (A)画像取得
			frame = drone.read()	# 映像を1フレーム取得
			if frame is None or frame.size == 0:	# 中身がおかしかったら無視
				continue 

			# (B)ここから画像処理
			image = cv2.cvtColor(frame, cv2.COLOR_RGB2BGR)		# OpenCV用のカラー並びに変換する
			bgr_image = cv2.resize(image, dsize=(480,360) )	# 画像サイズを半分に変更

			hsv_image = cv2.cvtColor(bgr_image, cv2.COLOR_BGR2HSV)	# BGR画像 -> HSV画像

			# (X)ウィンドウに表示
			cv2.imshow('BGR Color', bgr_image)	# 2つのウィンドウを作る
			cv2.imshow('HSV Color', hsv_image)

			# (Y)OpenCVウィンドウでキー入力を1ms待つ
			key = cv2.waitKey(1)
			if key == 27:					# k が27(ESC)だったらwhileループを脱出,プログラム終了
				break
			elif key == ord('t'):
				drone.takeoff()				# 離陸
			elif key == ord('l'):
				drone.land()				# 着陸
			elif key == ord('w'):
				drone.move_forward(0.3)		# 前進
			elif key == ord('s'):
				drone.move_backward(0.3)	# 後進
			elif key == ord('a'):
				drone.move_left(0.3)		# 左移動
			elif key == ord('d'):
				drone.move_right(0.3)		# 右移動
			elif key == ord('q'):
				drone.rotate_ccw(20)		# 左旋回
			elif key == ord('e'):
				drone.rotate_cw(20)			# 右旋回
			elif key == ord('r'):
				drone.move_up(0.3)			# 上昇
			elif key == ord('f'):
				drone.move_down(0.3)		# 下降

			# (Z)5秒おきに'command'を送って、死活チェックを通す
			current_time = time.time()	# 現在時刻を取得
			if current_time - pre_time > 5.0 :	# 前回時刻から5秒以上経過しているか?
				drone.send_command('command')	# 'command'送信
				pre_time = current_time			# 前回時刻を更新

	except( KeyboardInterrupt, SystemExit):    # Ctrl+cが押されたら離脱
		print( "SIGINTを検知" )

	# telloクラスを削除
	del drone


# "python main.py"として実行された時だけ動く様にするおまじない処理
if __name__ == "__main__":		# importされると"__main__"は入らないので,実行かimportかを判断できる.
	main()    # メイン関数を実行

##プログラム解説

Tello-CV-coreスケルトンと異なる点は,永久ループ内の(B),(X)ブロックのみです.

スケルトンからの変更箇所
			# (B)ここから画像処理
			image = cv2.cvtColor(frame, cv2.COLOR_RGB2BGR)		# OpenCV用のカラー並びに変換する
			bgr_image = cv2.resize(image, dsize=(480,360) )	# 画像サイズを半分に変更

			hsv_image = cv2.cvtColor(bgr_image, cv2.COLOR_BGR2HSV)	# BGR画像 -> HSV画像

			# (X)ウィンドウに表示
			cv2.imshow('BGR Color', bgr_image)	# 2つのウィンドウを作る
			cv2.imshow('HSV Color', hsv_image)

OpenCVで取り扱う画像の色の並び方は,青・緑・赤の順なので「BGR画像」と呼ばれます.RGB画像とは逆の並びです.

cv2.cvtColor関数を使ってBGR画像をHSV画像に変換し,それぞれの画像を別々のウィンドウに表示させています.

##プログラム実行
プログラム本体はmain_color.pyです.

プログラムの実行
$ python main_color.py

今までと同様にctrl+cを押すことで,プログラムを終了することもできますが,
OpenCVが作ったウィンドウでESCキーを押して終了するのが良いでしょう.

##実行結果

下図の様に,2枚の画像が表示されれば成功です.
bgr_hsv.png
元画像であるBGRのウィンドウと,HSVを無理やりBGR化して表示したウィンドウが表示されています.

「RGBとは異なる色空間」というものはなかなか理解し難いのですが,このように無理やり表示させることで,**「昆虫か何かの別の動物にはこんな風に見えている」**とでも思えば,まだなんとか理解できるのではないでしょうか.

#(2)TelloのRGB画像で二値化するサンプルプログラム

次はRGB画像(厳密にはBGR画像)を二値化してみます.

本来,二値化というのは,ある**しきい値(閾値)**を境目にして,それ未満の画素値だったらゼロ・それ以上の画素値だったら255,の2つの値にする処理のことです.cv2.threshold関数を使うことで実現できます.
  参考:OpenCV 画像の二値化

しかし「境界線が1本で,その上か下かだけで判断する」という処理で,目的の物体を検出するのは大変です.

そこで「最小しきい値と,最大しきい値の2つを設け,その範囲内にある色を255とする」という処理がよく使われます.それがcv2.inRange関数です.

  参考OpenCV - inRange による範囲指定で2値化する方法について

この章では,cv2.inRange関数を使って,Telloに写った画像を二値化処理してみます.

##main_bgr.py

プログラムはmain.pyに書き加える形で作成しました.別名で保存しています.

書き加えの手間を省くなら,以下のコードをコピー&ペーストするか,
ここ を右クリックして[名前を付けて保存]機能でファイル保存してください.

main_bgr.py
#!/usr/bin/env python
# -*- coding: utf-8 -*-
import tello		# tello.pyをインポート
import time			# time.sleepを使いたいので
import cv2			# OpenCVを使うため

# メイン関数
def main():
	# Telloクラスを使って,droneというインスタンス(実体)を作る
	drone = tello.Tello('', 8889, command_timeout=.01)  

	current_time = time.time()	# 現在時刻の保存変数
	pre_time = current_time		# 5秒ごとの'command'送信のための時刻変数

	time.sleep(0.5)		# 通信が安定するまでちょっと待つ

	# トラックバーを作るため,まず最初にウィンドウを生成
	cv2.namedWindow("OpenCV Window")

	# トラックバーのコールバック関数は何もしない空の関数
	def nothing(x):
		pass		# passは何もしないという命令

	# トラックバーの生成
	cv2.createTrackbar("R_min", "OpenCV Window", 0, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("R_max", "OpenCV Window", 128, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("G_min", "OpenCV Window", 0, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("G_max", "OpenCV Window", 128, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("B_min", "OpenCV Window", 0, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("B_max", "OpenCV Window", 128, 255, nothing)


	#Ctrl+cが押されるまでループ
	try:
		while True:

			# (A)画像取得
			frame = drone.read()	# 映像を1フレーム取得
			if frame is None or frame.size == 0:	# 中身がおかしかったら無視
				continue 

			# (B)ここから画像処理
			image = cv2.cvtColor(frame, cv2.COLOR_RGB2BGR)		# RGB並びをOpenCV用のBGR並びに変換する
			bgr_image = cv2.resize(image, dsize=(480,360) )	# 画像サイズを半分に変更

			# トラックバーの値を取る
			r_min = cv2.getTrackbarPos("R_min", "OpenCV Window")
			r_max = cv2.getTrackbarPos("R_max", "OpenCV Window")
			g_min = cv2.getTrackbarPos("G_min", "OpenCV Window")
			g_max = cv2.getTrackbarPos("G_max", "OpenCV Window")
			b_min = cv2.getTrackbarPos("B_min", "OpenCV Window")
			b_max = cv2.getTrackbarPos("B_max", "OpenCV Window")

			# inRange関数で範囲指定2値化 -> マスク画像として使う
			mask_image = cv2.inRange(bgr_image, (b_min, g_min, r_min), (b_max, g_max, r_max)) # BGR画像なのでタプルもBGR並び
			
			# bitwise_andで元画像にマスクをかける -> マスクされた部分の色だけ残る
			result_image = cv2.bitwise_and(bgr_image, bgr_image, mask=mask_image)	# BGR画像 AND BGR画像 なので,自分自身とのANDは何も変化しない ->マスクだけ効かせる

			# (X)ウィンドウに表示
			cv2.imshow('OpenCV Window', result_image)

			# (Y)OpenCVウィンドウでキー入力を1ms待つ
			key = cv2.waitKey(1)
			if key == 27:					# k が27(ESC)だったらwhileループを脱出,プログラム終了
				break
			elif key == ord('t'):
				drone.takeoff()				# 離陸
			elif key == ord('l'):
				drone.land()				# 着陸
			elif key == ord('w'):
				drone.move_forward(0.3)		# 前進
			elif key == ord('s'):
				drone.move_backward(0.3)	# 後進
			elif key == ord('a'):
				drone.move_left(0.3)		# 左移動
			elif key == ord('d'):
				drone.move_right(0.3)		# 右移動
			elif key == ord('q'):
				drone.rotate_ccw(20)		# 左旋回
			elif key == ord('e'):
				drone.rotate_cw(20)			# 右旋回
			elif key == ord('r'):
				drone.move_up(0.3)			# 上昇
			elif key == ord('f'):
				drone.move_down(0.3)		# 下降

			# (Z)5秒おきに'command'を送って、死活チェックを通す
			current_time = time.time()	# 現在時刻を取得
			if current_time - pre_time > 5.0 :	# 前回時刻から5秒以上経過しているか?
				drone.send_command('command')	# 'command'送信
				pre_time = current_time			# 前回時刻を更新

	except( KeyboardInterrupt, SystemExit):    # Ctrl+cが押されたら離脱
		print( "SIGINTを検知" )

	# telloクラスを削除
	del drone


# "python main.py"として実行された時だけ動く様にするおまじない処理
if __name__ == "__main__":		# importされると"__main__"は入らないので,実行かimportかを判断できる.
	main()    # メイン関数を実行

cv2.inRange関数の理解のために,cv2.imshowで作ったウィンドウにトラックバーを表示させています.

簡単にプログラムを解説すると,
プログラムの初期化部では,

・ウィンドウの作成
・トラックバー用のコールバック関数として引き渡すダミー関数の作成
・トラックバーの作成

を行い,
ループ部では

・トラックバーの位置を取得
cv2.inRangeで二値化
cv2.bitwise_andで,二値化で255になった画像をマスクに使い,元画像の色を抽出

の結果を表示させています.

##プログラム実行
プログラム本体はmain_bgr.pyです.

プログラムの実行
$ python main_bgr.py

今までと同様にctrl+cを押すことで,プログラムを終了することもできますが,
OpenCVが作ったウィンドウでESCキーを押して終了するのが良いでしょう.

##実行結果
下図の様なウィンドウが表示されれば成功です.
tello_color_bgr.png
ある特定の色だけが抜け落ちた画像が表示されます.

プログラム実行直後は,

  • Rの範囲0〜128
  • Gの範囲0〜128
  • Bの範囲0〜128

この3つの条件に合致する画素値だけが取り出されています.
そのため(R,G,B)=(255,255,255)すなわち白色に近い方の色が抜け落ちています.

##使い方
ウィンドウの下に追加されているトラックバー(スライダー)を操作して,色の範囲を変えてみましょう.

例えば,

  • Rの範囲0〜255
  • Gの範囲0〜255
  • Bの範囲0〜255

として全部を指定すれば,元画像のままです.
tello_color_sample.png

それを,

  • Rの範囲160〜210
  • Gの範囲98〜152
  • Bの範囲112〜164

に絞り込んでみると,この様にピンク色だけが取り出せました.
tello_color_sample_pink.png

同様に,

  • Rの範囲89〜109
  • Gの範囲123〜191
  • Bの範囲82〜117

黃緑色だけ取り出すこともできます.
tello_color_sample_green.png

この様に,自分が狙った色だけを抽出する際の最小値・最大値を決めるために,このプログラムを使います.

#(3)TelloのHSV画像で二値化するサンプルプログラム

この章ではHSV空間で二値化をしてみます.

HSVへの変換や,cv2.inRangeによる範囲指定は既にやりましたから,少し変更するだけで対応が可能です.

##main_hsv.py

プログラムはmain.pyに書き加える形で作成しました.別名で保存しています.

書き加えの手間を省くなら,以下のコードをコピー&ペーストするか,
ここ を右クリックして[名前を付けて保存]機能でファイル保存してください.

main_hsv.py
#!/usr/bin/env python
# -*- coding: utf-8 -*-
import tello		# tello.pyをインポート
import time			# time.sleepを使いたいので
import cv2			# OpenCVを使うため

# メイン関数
def main():
	# Telloクラスを使って,droneというインスタンス(実体)を作る
	drone = tello.Tello('', 8889, command_timeout=.01)  

	current_time = time.time()	# 現在時刻の保存変数
	pre_time = current_time		# 5秒ごとの'command'送信のための時刻変数

	time.sleep(0.5)		# 通信が安定するまでちょっと待つ

	# トラックバーを作るため,まず最初にウィンドウを生成
	cv2.namedWindow("OpenCV Window")

	# トラックバーのコールバック関数は何もしない空の関数
	def nothing(x):
		pass

	# トラックバーの生成
	cv2.createTrackbar("H_min", "OpenCV Window", 0, 179, nothing)		# Hueの最大値は179
	cv2.createTrackbar("H_max", "OpenCV Window", 128, 179, nothing)
	cv2.createTrackbar("S_min", "OpenCV Window", 128, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("S_max", "OpenCV Window", 255, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("V_min", "OpenCV Window", 128, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("V_max", "OpenCV Window", 255, 255, nothing)

	#Ctrl+cが押されるまでループ
	try:
		while True:

			# (A)画像取得
			frame = drone.read()	# 映像を1フレーム取得
			if frame is None or frame.size == 0:	# 中身がおかしかったら無視
				continue 

			# (B)ここから画像処理
			image = cv2.cvtColor(frame, cv2.COLOR_RGB2BGR)		# OpenCV用のカラー並びに変換する
			bgr_image = cv2.resize(image, dsize=(480,360) )	# 画像サイズを半分に変更

			hsv_image = cv2.cvtColor(bgr_image, cv2.COLOR_BGR2HSV)	# BGR画像 -> HSV画像

			# トラックバーの値を取る
			h_min = cv2.getTrackbarPos("H_min", "OpenCV Window")
			h_max = cv2.getTrackbarPos("H_max", "OpenCV Window")
			s_min = cv2.getTrackbarPos("S_min", "OpenCV Window")
			s_max = cv2.getTrackbarPos("S_max", "OpenCV Window")
			v_min = cv2.getTrackbarPos("V_min", "OpenCV Window")
			v_max = cv2.getTrackbarPos("V_max", "OpenCV Window")

			# inRange関数で範囲指定2値化 -> マスク画像として使う
			mask_image = cv2.inRange(hsv_image, (h_min, s_min, v_min), (h_max, s_max, v_max)) # HSV画像なのでタプルもHSV並び

			# bitwise_andで元画像にマスクをかける -> マスクされた部分の色だけ残る
			result_image = cv2.bitwise_and(hsv_image, hsv_image, mask=mask_image)

			# (X)ウィンドウに表示
			cv2.imshow('OpenCV Window', result_image)	# ウィンドウに表示するイメージを変えれば色々表示できる

			# (Y)OpenCVウィンドウでキー入力を1ms待つ
			key = cv2.waitKey(1)
			if key == 27:					# k が27(ESC)だったらwhileループを脱出,プログラム終了
				break
			elif key == ord('t'):
				drone.takeoff()				# 離陸
			elif key == ord('l'):
				drone.land()				# 着陸
			elif key == ord('w'):
				drone.move_forward(0.3)		# 前進
			elif key == ord('s'):
				drone.move_backward(0.3)	# 後進
			elif key == ord('a'):
				drone.move_left(0.3)		# 左移動
			elif key == ord('d'):
				drone.move_right(0.3)		# 右移動
			elif key == ord('q'):
				drone.rotate_ccw(20)		# 左旋回
			elif key == ord('e'):
				drone.rotate_cw(20)			# 右旋回
			elif key == ord('r'):
				drone.move_up(0.3)			# 上昇
			elif key == ord('f'):
				drone.move_down(0.3)		# 下降

			# (Z)5秒おきに'command'を送って、死活チェックを通す
			current_time = time.time()	# 現在時刻を取得
			if current_time - pre_time > 5.0 :	# 前回時刻から5秒以上経過しているか?
				drone.send_command('command')	# 'command'送信
				pre_time = current_time			# 前回時刻を更新

	except( KeyboardInterrupt, SystemExit):    # Ctrl+cが押されたら離脱
		print( "SIGINTを検知" )

	# telloクラスを削除
	del drone


# "python main.py"として実行された時だけ動く様にするおまじない処理
if __name__ == "__main__":		# importされると"__main__"は入らないので,実行かimportかを判断できる.
	main()    # メイン関数を実行

RGB用だったトラックバーを,色相(Hue)・彩度(Saturation)・明度(Value)用に変更しただけです.ただし,Hueは0〜179までの値しか取りません.

##プログラム実行
プログラム本体はmain_hsv.pyです.

プログラムの実行
$ python main_hsv.py

今までと同様にctrl+cを押すことで,プログラムを終了することもできますが,
OpenCVが作ったウィンドウでESCキーを押して終了するのが良いでしょう.

##実行結果
例えば,

  • Hueの範囲0〜179
  • Saturationの範囲0〜255
  • Valueの範囲0〜255

の全ての範囲で下図の様に見える画像も,
tello_color_sample_hsv.png

  • Hueの範囲161〜179
  • Saturationの範囲81〜130
  • Valueの範囲151〜193

と絞り込んでやると,この様になります.
tello_color_sample_hsv_pink.png

やっている事はRGBの時と大差ありませんが,HSV色空間を使うと目的の色を指定しやすいのが特徴です.

というのは,Hueは色相ですから,色相環をぐるっと一周回れば全ての色が表現できるわけです.つまり,Hueだけで色がほぼ特定できることになります.
  参考:色相
余談ですが,本来の色相は0〜360で一周ですが,OpenCVでは半分にして表現しています.255以上の数値は8ビットでは足りなくなってしまうので.

#(4)TelloのHSV画像で二値化・ラベリング・面積&重心計算するプログラム

目的の物体をHSV空間で絞り込むことができたら,ラベリングで物体の個数を数えます.

参考
  Python+OpenCVでラベリング
  OpenCV - connectedComponents() で連結成分のラベリング
  Python+OpenCVを利用したラベリング処理
  [OpenCV Python]OpenCVを使ったラベリング
  【Python/OpenCV】最大面積のブロブ解析(座標・大きさなど)

具体的には,OpenCV3から導入されたcv2.connectedComponentsWithStats関数を使います.
同じ値を持つ隣り合った画素の塊を数えるので,「connectedComponents=連結コンポーネント」と言う呼び方になっていますが,少なくとも日本では「ラベリング」と言ったほうが通じます.

##main_label.py

プログラムはmain.pyを書き加える形で作成しました.

書き加えの手間を省くなら,以下のコードをコピー&ペーストするか,
ここ を右クリックして[名前を付けて保存]機能でファイル保存してください.

main_label.py
#!/usr/bin/env python
# -*- coding: utf-8 -*-
import tello		# tello.pyをインポート
import time			# time.sleepを使いたいので
import cv2			# OpenCVを使うため
import numpy as np

# メイン関数
def main():
	# Telloクラスを使って,droneというインスタンス(実体)を作る
	drone = tello.Tello('', 8889, command_timeout=.01)  

	current_time = time.time()	# 現在時刻の保存変数
	pre_time = current_time		# 5秒ごとの'command'送信のための時刻変数

	time.sleep(0.5)		# 通信が安定するまでちょっと待つ

	# トラックバーを作るため,まず最初にウィンドウを生成
	cv2.namedWindow("OpenCV Window")

	# トラックバーのコールバック関数は何もしない空の関数
	def nothing(x):
		pass

	# トラックバーの生成
	cv2.createTrackbar("H_min", "OpenCV Window", 0, 179, nothing)
	cv2.createTrackbar("H_max", "OpenCV Window", 9, 179, nothing)		# Hueの最大値は179
	cv2.createTrackbar("S_min", "OpenCV Window", 128, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("S_max", "OpenCV Window", 255, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("V_min", "OpenCV Window", 128, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("V_max", "OpenCV Window", 255, 255, nothing)

	#Ctrl+cが押されるまでループ
	try:
		while True:

			# (A)画像取得
			frame = drone.read()	# 映像を1フレーム取得
			if frame is None or frame.size == 0:	# 中身がおかしかったら無視
				continue 

			# (B)ここから画像処理
			image = cv2.cvtColor(frame, cv2.COLOR_RGB2BGR)		# OpenCV用のカラー並びに変換する
			bgr_image = cv2.resize(image, dsize=(480,360) )	# 画像サイズを半分に変更

			hsv_image = cv2.cvtColor(bgr_image, cv2.COLOR_BGR2HSV)	# BGR画像 -> HSV画像

			# トラックバーの値を取る
			h_min = cv2.getTrackbarPos("H_min", "OpenCV Window")
			h_max = cv2.getTrackbarPos("H_max", "OpenCV Window")
			s_min = cv2.getTrackbarPos("S_min", "OpenCV Window")
			s_max = cv2.getTrackbarPos("S_max", "OpenCV Window")
			v_min = cv2.getTrackbarPos("V_min", "OpenCV Window")
			v_max = cv2.getTrackbarPos("V_max", "OpenCV Window")

			# inRange関数で範囲指定2値化
			bin_image = cv2.inRange(hsv_image, (h_min, s_min, v_min), (h_max, s_max, v_max)) # HSV画像なのでタプルもHSV並び

			# bitwise_andで元画像にマスクをかける -> マスクされた部分の色だけ残る
			masked_image = cv2.bitwise_and(hsv_image, hsv_image, mask=bin_image)

			# ラベリング結果書き出し用に画像を準備
			out_image = masked_image

			# 面積・重心計算付きのラベリング処理を行う
			num_labels, label_image, stats, center = cv2.connectedComponentsWithStats(bin_image)

			# 最大のラベルは画面全体を覆う黒なので不要.データを削除
			num_labels = num_labels - 1
			stats = np.delete(stats, 0, 0)
			center = np.delete(center, 0, 0)

			# 検出したラベルの数だけ繰り返す
			for index in range(num_labels):
				# ラベルのx,y,w,h,面積s,重心位置mx,myを取り出す
				x = stats[index][0]
				y = stats[index][1]
				w = stats[index][2]
				h = stats[index][3]
				s = stats[index][4]
				mx = int(center[index][0])
				my = int(center[index][1])
				#print("(x,y)=%d,%d (w,h)=%d,%d s=%d (mx,my)=%d,%d"%(x, y, w, h, s, mx, my) )

				# ラベルを囲うバウンディングボックスを描画
				cv2.rectangle(out_image, (x, y), (x+w, y+h), (255, 0, 255))

				# 重心位置の座標と面積を表示
				cv2.putText(out_image, "%d,%d"%(mx,my), (x-15, y+h+15), cv2.FONT_HERSHEY_PLAIN, 1, (255, 255, 0))
				cv2.putText(out_image, "%d"%(s), (x, y+h+30), cv2.FONT_HERSHEY_PLAIN, 1, (255, 255, 0))

			# (X)ウィンドウに表示
			cv2.imshow('OpenCV Window', out_image)	# ウィンドウに表示するイメージを変えれば色々表示できる

			# (Y)OpenCVウィンドウでキー入力を1ms待つ
			key = cv2.waitKey(1)
			if key == 27:					# k が27(ESC)だったらwhileループを脱出,プログラム終了
				break
			elif key == ord('t'):
				drone.takeoff()				# 離陸
			elif key == ord('l'):
				drone.land()				# 着陸
			elif key == ord('w'):
				drone.move_forward(0.3)		# 前進
			elif key == ord('s'):
				drone.move_backward(0.3)	# 後進
			elif key == ord('a'):
				drone.move_left(0.3)		# 左移動
			elif key == ord('d'):
				drone.move_right(0.3)		# 右移動
			elif key == ord('q'):
				drone.rotate_ccw(20)		# 左旋回
			elif key == ord('e'):
				drone.rotate_cw(20)			# 右旋回
			elif key == ord('r'):
				drone.move_up(0.3)			# 上昇
			elif key == ord('f'):
				drone.move_down(0.3)		# 下降

			# (Z)5秒おきに'command'を送って、死活チェックを通す
			current_time = time.time()	# 現在時刻を取得
			if current_time - pre_time > 5.0 :	# 前回時刻から5秒以上経過しているか?
				drone.send_command('command')	# 'command'送信
				pre_time = current_time			# 前回時刻を更新

	except( KeyboardInterrupt, SystemExit):    # Ctrl+cが押されたら離脱
		print( "SIGINTを検知" )

	drone.send_command('streamoff')
	# telloクラスを削除
	del drone


# "python main.py"として実行された時だけ動く様にするおまじない処理
if __name__ == "__main__":		# importされると"__main__"は入らないので,実行かimportかを判断できる.
	main()    # メイン関数を実行

##プログラム解説

プログラムはHSV二値化とほぼ同じですが,ラベリング処理と処理結果表示を追加しました.

ラベリング処理
			# inRange関数で範囲指定2値化
			bin_image = cv2.inRange(hsv_image, (h_min, s_min, v_min), (h_max, s_max, v_max)) # HSV画像なのでタプルもHSV並び

			# bitwise_andで元画像にマスクをかける -> マスクされた部分の色だけ残る
			masked_image = cv2.bitwise_and(hsv_image, hsv_image, mask=bin_image)

			# ラベリング結果書き出し用に画像を準備
			out_image = masked_image

			# 面積・重心計算付きのラベリング処理を行う
			num_labels, label_image, stats, center = cv2.connectedComponentsWithStats(bin_image)

			# 最大のラベルは画面全体を覆う黒なので不要.データを削除
			num_labels = num_labels - 1  # 黒背景のぶん1減らす
			stats = np.delete(stats, 0, 0)   # 黒背景の結果を消して,自分自身に置き換える
			center = np.delete(center, 0, 0)

ラベリングcv2.connectedComponentsWithStats関数には,cv2.inRangeが出力した二値画像(今回の変数名はbin_image)を入れます.
masked_imageやout_imageは,あくまで人間が結果を見るためのイメージに過ぎません.大事なのはbin_imageの方です.

非常に重要な点はcv2.connectedComponentsWithStats関数は,黒で塗りつぶされた背景色全体も1つのラベルとして認識することです.
一般的なラベリングでは,値が0の画素は無視します.しかし,OpenCVのこの関数では1個目かつ最大面積のラベルは「背景全体」になるのです.(小さな親切・大きなお世話な機能)

この「背景全体」の情報は不要です.したがって,検出したラベル数を1つ減らし,stats,centerなどのリストから1番目の要素を削除する処理が絶対必要です.
  参考:NumPyで任意の行・列を削除するdeleteの使い方

statscenterの配列の中身は,以下のようになっています.

ラベリング結果の配列の中身
stats = [
         [ x  y  w  h  s]   # index番号0  黒背景のラベル情報
         [ x  y  w  h  s]   # index番号1
         [ x  y  w  h  s]   #    〃    2
          ...
        ]
center =[
         [ mx  my ]   # index番号0  黒背景のラベル情報
         [ mx  my ]   # index番号1
         [ mx  my ]   #     〃   2
          ...
        ]

したがって,最初の黒背景の行を全部削除するには,
stats = np.delete(stats, 0, 0) obj=0,axis=0で削除
center = np.delete(center, 0, 0)
と書いて削除した結果を自分自身に代入し直しています.

この削除作業を忘れると,「一番大きな(=最大面積を持つ)ラベルを探す」という処理をすると,絶対に背景ラベルが1番になるという罠に陥ります(^^;;

次は,人間が見るためのイメージ(out_image)に,四角を描いたり,重心位置や面積を書き込みます.
検出したラベルの個数に合わせて,forループを回しています.

ラベリング処理の結果を元に,枠線を描いたり,テキストを描いたりする部分
			# 検出したラベルの数だけ繰り返す
			for index in range(num_labels):
				# ラベルのx,y,w,h,面積s,重心位置mx,myを取り出す
				x = stats[index][0]
				y = stats[index][1]
				w = stats[index][2]
				h = stats[index][3]
				s = stats[index][4]
				mx = int(center[index][0])
				my = int(center[index][1])
				#print("(x,y)=%d,%d (w,h)=%d,%d s=%d (mx,my)=%d,%d"%(x, y, w, h, s, mx, my) )

				# ラベルを囲うバウンディングボックスを描画
				cv2.rectangle(out_image, (x, y), (x+w, y+h), (255, 0, 255))

				# 重心位置の座標と面積を表示
				cv2.putText(out_image, "%d,%d"%(mx,my), (x-15, y+h+15), cv2.FONT_HERSHEY_PLAIN, 1, (255, 255, 0))
				cv2.putText(out_image, "%d"%(s), (x, y+h+30), cv2.FONT_HERSHEY_PLAIN, 1, (255, 255, 0))

興味がある人は,print文のコメントを外して,テキスト表示も見てみると良いでしょう.

##プログラム実行
プログラムはmain_label.pyです.

プログラムの実行
$ python main_label.py

今までと同様にctrl+cを押すことで,プログラムを終了することもできますが,
OpenCVが作ったウィンドウでESCキーを押して終了するのが良いでしょう.

##実行結果
tello_label_sample.png
上図の様に,複数のカラーコーンをTelloに見せた際の処理結果は,こうなります.
tello_label_result.png

検出したオブジェクト(ラベル)の重心位置と面積が表示されています.

また,カラーコーンのエッジ部分に現れた細かいゴミ(面積が1〜5程度)も検出してしまっています.本来このようなゴミは,膨張・収縮・孤立点除去などの前処理で落とすべきですね.

#(5)物体を検出してTelloが追いかけるプログラム

##main_control.py

プログラム本体であるmain_control.pyは,スケルトンプログラムに書き加える形で作成しました.

書き加えの手間を省くなら,以下のコードをコピー&ペーストするか,
ここ を右クリックして[名前を付けて保存]機能でファイル保存してください.

main_control.py
#!/usr/bin/env python
# -*- coding: utf-8 -*-
import tello		# tello.pyをインポート
import time			# time.sleepを使いたいので
import cv2			# OpenCVを使うため
import numpy as np

# メイン関数
def main():
	# Telloクラスを使って,droneというインスタンス(実体)を作る
	drone = tello.Tello('', 8889, command_timeout=.01)  

	current_time = time.time()	# 現在時刻の保存変数
	pre_time = current_time		# 5秒ごとの'command'送信のための時刻変数

	time.sleep(0.5)		# 通信が安定するまでちょっと待つ

	# トラックバーを作るため,まず最初にウィンドウを生成
	cv2.namedWindow("OpenCV Window")

	# トラックバーのコールバック関数は何もしない空の関数
	def nothing(x):
		pass

	# トラックバーの生成
	cv2.createTrackbar("H_min", "OpenCV Window", 0, 179, nothing)
	cv2.createTrackbar("H_max", "OpenCV Window", 9, 179, nothing)		# Hueの最大値は179
	cv2.createTrackbar("S_min", "OpenCV Window", 128, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("S_max", "OpenCV Window", 255, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("V_min", "OpenCV Window", 128, 255, nothing)
	cv2.createTrackbar("V_max", "OpenCV Window", 255, 255, nothing)

	flag = 0
	#Ctrl+cが押されるまでループ
	try:
		while True:

			# (A)画像取得
			frame = drone.read()	# 映像を1フレーム取得
			if frame is None or frame.size == 0:	# 中身がおかしかったら無視
				continue 

			# (B)ここから画像処理
			image = cv2.cvtColor(frame, cv2.COLOR_RGB2BGR)		# OpenCV用のカラー並びに変換する
			bgr_image = cv2.resize(image, dsize=(480,360) )	# 画像サイズを半分に変更

			hsv_image = cv2.cvtColor(bgr_image, cv2.COLOR_BGR2HSV)	# BGR画像 -> HSV画像

			# トラックバーの値を取る
			h_min = cv2.getTrackbarPos("H_min", "OpenCV Window")
			h_max = cv2.getTrackbarPos("H_max", "OpenCV Window")
			s_min = cv2.getTrackbarPos("S_min", "OpenCV Window")
			s_max = cv2.getTrackbarPos("S_max", "OpenCV Window")
			v_min = cv2.getTrackbarPos("V_min", "OpenCV Window")
			v_max = cv2.getTrackbarPos("V_max", "OpenCV Window")

			# inRange関数で範囲指定2値化
			bin_image = cv2.inRange(hsv_image, (h_min, s_min, v_min), (h_max, s_max, v_max)) # HSV画像なのでタプルもHSV並び

			# bitwise_andで元画像にマスクをかける -> マスクされた部分の色だけ残る
			masked_image = cv2.bitwise_and(hsv_image, hsv_image, mask=bin_image)

			# ラベリング結果書き出し用に画像を準備
			out_image = masked_image

			# 面積・重心計算付きのラベリング処理を行う
			num_labels, label_image, stats, center = cv2.connectedComponentsWithStats(bin_image)

			# 最大のラベルは画面全体を覆う黒なので不要.データを削除
			num_labels = num_labels - 1
			stats = np.delete(stats, 0, 0)
			center = np.delete(center, 0, 0)


			if num_labels >= 1:
				# 面積最大のインデックスを取得
				max_index = np.argmax(stats[:,4])
				#print max_index

				# 面積最大のラベルのx,y,w,h,面積s,重心位置mx,myを得る
				x = stats[max_index][0]
				y = stats[max_index][1]
				w = stats[max_index][2]
				h = stats[max_index][3]
				s = stats[max_index][4]
				mx = int(center[max_index][0])
				my = int(center[max_index][1])
				#print("(x,y)=%d,%d (w,h)=%d,%d s=%d (mx,my)=%d,%d"%(x, y, w, h, s, mx, my) )

				# ラベルを囲うバウンディングボックスを描画
				cv2.rectangle(out_image, (x, y), (x+w, y+h), (255, 0, 255))

				# 重心位置の座標を表示
				#cv2.putText(out_image, "%d,%d"%(mx,my), (x-15, y+h+15), cv2.FONT_HERSHEY_PLAIN, 1, (255, 255, 0))
				cv2.putText(out_image, "%d"%(s), (x, y+h+15), cv2.FONT_HERSHEY_PLAIN, 1, (255, 255, 0))

				if flag == 1:
					a = b = c = d = 0

          # P制御の式(Kpゲインはとりあえず1.0)
					dx = 1.0 * (240 - mx)		# 画面中心との差分

					# 旋回方向の不感帯を設定
					d = 0.0 if abs(dx) < 50.0 else dx   # ±50未満ならゼロにする

					d = -d
					# 旋回方向のソフトウェアリミッタ(±100を超えないように)
					d =  100 if d >  100.0 else d
					d = -100 if d < -100.0 else d

					print('dx=%f'%(dx) )
					drone.send_command('rc %s %s %s %s'%(int(a), int(b), int(c), int(d)) )


			# (X)ウィンドウに表示
			cv2.imshow('OpenCV Window', out_image)	# ウィンドウに表示するイメージを変えれば色々表示できる

			# (Y)OpenCVウィンドウでキー入力を1ms待つ
			key = cv2.waitKey(1)
			if key == 27:					# k が27(ESC)だったらwhileループを脱出,プログラム終了
				break
			elif key == ord('t'):
				drone.takeoff()				# 離陸
			elif key == ord('l'):
				drone.land()				# 着陸
			elif key == ord('w'):
				drone.move_forward(0.3)		# 前進
			elif key == ord('s'):
				drone.move_backward(0.3)	# 後進
			elif key == ord('a'):
				drone.move_left(0.3)		# 左移動
			elif key == ord('d'):
				drone.move_right(0.3)		# 右移動
			elif key == ord('q'):
				drone.rotate_ccw(20)		# 左旋回
			elif key == ord('e'):
				drone.rotate_cw(20)			# 右旋回
			elif key == ord('r'):
				drone.move_up(0.3)			# 上昇
			elif key == ord('f'):
				drone.move_down(0.3)		# 下降
			elif key == ord('1'):
				flag = 1					# 追跡モードON
			elif key == ord('2'):
				flag = 0					# 追跡モードOFF

			# (Z)5秒おきに'command'を送って、死活チェックを通す
			current_time = time.time()	# 現在時刻を取得
			if current_time - pre_time > 5.0 :	# 前回時刻から5秒以上経過しているか?
				drone.send_command('command')	# 'command'送信
				pre_time = current_time			# 前回時刻を更新

	except( KeyboardInterrupt, SystemExit):    # Ctrl+cが押されたら離脱
		print( "SIGINTを検知" )

	drone.send_command('streamoff')
	# telloクラスを削除
	del drone


# "python main.py"として実行された時だけ動く様にするおまじない処理
if __name__ == "__main__":		# importされると"__main__"は入らないので,実行かimportかを判断できる.
	main()    # メイン関数を実行

##プログラム解説

前章のラベリング処理では,検出した複数ラベル全てを表示して四角で囲い,座標や面積を表示していました.しかし今回は,最も大きな(面積最大の)ラベルだけを追いかけるので,for文は使いません.

ラベル情報を持つ配列statsには,以下の様にデータが入っています.

4列目を縦に比較して,最大面積を持つsを探したい
stats = [ #0  1  2  3  4 列目 
         [ x  y  w  h  s]   # index番号0  黒背景のラベル情報は既に削除済み
         [ x  y  w  h  s]   # index番号1
         [ x  y  w  h  s]   #    〃    2
          ...
        ]

最大の面積を持つインデックスを探したいので,NumPyのargmax関数を使って探します.
4列目に対してargmaxをかけたいので,書式はmax_index = np.argmax(stats[:,4])となるわけです.
  参考:[Python]Numpyの参照、抽出、結合/列を抽出する

こうして書いたプログラムが,以下になります.

最大面積を持つラベルを抽出する
			if num_labels >= 1:  # ラベル数が0の(何も見えない)時は何もしない
				# 面積最大のインデックスを取得
				max_index = np.argmax(stats[:,4])
				#print max_index

				# 面積最大のラベルのx,y,w,h,面積s,重心位置mx,myを得る
				x = stats[max_index][0]
				y = stats[max_index][1]
				w = stats[max_index][2]
				h = stats[max_index][3]
				s = stats[max_index][4]
				mx = int(center[max_index][0])
				my = int(center[max_index][1])
				#print("(x,y)=%d,%d (w,h)=%d,%d s=%d (mx,my)=%d,%d"%(x, y, w, h, s, mx, my) )

				# ラベルを囲うバウンディングボックスを描画
				cv2.rectangle(out_image, (x, y), (x+w, y+h), (255, 0, 255))

				# 重心位置の重心と面積を表示
				#cv2.putText(out_image, "%d,%d"%(mx,my), (x-15, y+h+15), cv2.FONT_HERSHEY_PLAIN, 1, (255, 255, 0))
				cv2.putText(out_image, "%d"%(s), (x, y+h+15), cv2.FONT_HERSHEY_PLAIN, 1, (255, 255, 0))

最大面積を持つ要素番号max_indexを求め,その行のx,y,w,h,s,mx,myを取り出しています.
ついでに,四角い枠と面積を描いています.

続いては,Telloの制御を行うプログラムです.

自動制御フラグが1の時だけ,Telloを動かす
				if flag == 1:
					a = b = c = d = 0

          # P制御の式(Kpゲインはとりあえず1.0)
					dx = 1.0 * (240 - mx)		# 画面中心との差分

					# 旋回方向の不感帯を設定
					d = 0.0 if abs(dx) < 50.0 else dx   # ±50未満ならゼロにする

					d = -d
					# 旋回方向のソフトウェアリミッタ(±100を超えないように)
					d =  100 if d >  100.0 else d
					d = -100 if d < -100.0 else d

					print('dx=%f'%(dx) )
					drone.send_command('rc %s %s %s %s'%(int(a), int(b), int(c), int(d)) )

まずはflagをチェックして,Telloの制御のOn/Offを確認しています.Offの時は何もしません.なお,このflagはキーボード入力12で変更できるようになっています.

a,b,c,dはrcコマンドで送信するスティック入力量を格納する変数です.デフォルトでは動かないのでゼロにしておきます.

今回は左右に旋回するだけなので,画面中心(240,180)のX軸方向240にだけ注目します.

  • x軸方向の偏差(240-mx)にPゲイン1.0を掛けたものをdx

として,制御式を作っています.
ゲインが1.0だと,かなりピーキーです.Telloが左右に振動してしまう場合は,0.1ずつ減らして調整しましょう.
追跡したい対象物は,Telloから1メートル以上離れた状態で実験してください.

今回の制御で使ったのは,もっとも基本的なP制御です.(PID制御のP)

また制御式で得られたdxに,不感帯とソフトウェアリミッタの処理をかけています.
三項演算子を使った不感帯・ソフトリミッタ処理についての詳しくは, こちら で説明しています.

##プログラムの実行

プログラム本体はmain_control.pyです.

プログラムの実行
$ python main_control.py

今までと同様にctrl+cを押すことで,プログラムを終了することもできますが,
OpenCVが作ったウィンドウでESCキーを押して終了するのが良いでしょう.

###操作系

操作系は以下の様になっています.
1キーで色追従のフィードバック制御がON(有効)になり,
2キーでOFF(無効)になります.
cv_face_key.png

フィードバック制御がONになると,Telloは左右旋回だけを行います.

###操作手順

  1. tキーで離陸させる.
  2. 上下前後左右の移動キーで,ラベルが連続して認識できる位置(安全な位置)までTelloを手動操作する.
  3. 1キーを押してフィードバック制御を開始させる.
  4. カラーコーンを左右に動かして,Telloが追従してくる事を確認する.
  5. もしTelloが意図しない方向へ流れ始め(暴走し)たら,2キーを押して制御を終了させ,移動キーでTelloを止める.
  6. lキーで着陸させる.

Tello SDKのrcコマンドを使って操作しているので,機体が流れ始めた際に止めるのは手動操作だけです.(移動コマンドは応答が遅いので使っていません)

##実行結果

以下の様に最大面積を持つラベルだけが表示されます.
tello_label_control.png

離陸して,追跡させる物体を検出していることを確認したら,1キーを押して自動制御させます.
うまくいけば,冒頭でも紹介したこの動画の様にTelloが向きを変えます.

#おわりに

今回は,OpenCVを使って二値化・ラベリング・面積/重心計算という,スタンダードな画像処理を試しました.

色の範囲を指定して二値化する手法は,周囲の明るさが大きく影響します.これを「環境条件に依存」「照明条件に依存」と呼びます.部屋の明るさが変わったり,屋外だと雲で日光が遮られたりすると,途端に検出できなくなることも多いです.

環境変化にロバスト(頑健な)画像処理」というのは,ロボットのプログラマー皆の目標です.

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