AWS Knowledge MCPが正式リリースされたので、早速試してみました。
本記事では、その概要と、実際に使ってみてわかったこと、特に従来のLLM(大規模言語モデル)検索との比較や、ドキュメント整理の能力についてまとめます。
AWS Knowledge MCPとは
「AWS Knowledge MCP」は、AWSの公式ドキュメント、ブログ、新着情報などのナレッジベースにAIを通じてアクセスできるサービスです。
従来のWeb検索では難しかった、AWS公式の信頼できる情報を、AIが効率的に整理・参照することを可能にします。最大のメリットは、情報源がAWS公式に限定されるため、情報の正確性と最新性が高く信頼できる点です。
特徴:
費用は無料
AWSアカウント不要
使用方法
ここでは、VS CodeのMCPクライアント(Cline)からAWS Knowledge MCPにアクセスするための設定手順を説明します。
前提: MCPクライアントがインストールされているものとします。
1.Clineを入れてRemoteServersを選ぶ
2.Edit Configurationを選ぶ
設定ファイルが開く
3.以下の内容を追記
"awsKnowledge": {
"command": "npx",
"args": [
"mcp-remote",
"https://knowledge-mcp.global.api.aws"
]
}
4.VScodeの再起動
設定を必ず有効にするため、VSCodeを再起動する
使ってみた結果
実際の動作プロセス
MCPを経由した際、AIは以下のステップで回答を生成していることが確認できました。
1.入力された文言から必要なキーワードを抽出する
2.必要なキーワードに基づき、AWSドキュメントのURLリストを受け取る
3.URLの文章に順番にアクセスして参照していく
4.取得した文章を集約し、質問に対する回答としてまとめる
最新の情報に参照できるか
一般的なLLMと比較し、AWS Knowledge MCPがどこまで最新情報を参照できるか比較しました。
一般的なLLM(例:Claude)
通常の問い合わせでは、最新の情報が出てこないケースがありました。
「Web検索して」と指示を出すことで最新情報が得られる場合もありますが、その情報源がAWS公式のものかどうかの判断が難しいという課題が残ります。
AWS Knowledge MCP
参照元がAWSの公式ドキュメントに限定されるため、情報の正確性と最新性を高く信頼できます。
数日前に発表された内容についても、AWSのナレッジベースに登録されていれば参照可能であり、公式ソースに基づく最新情報である可能性が高いと判断できます。
分散したドキュメントの整理能力
AWSドキュメントでは、サービス詳細と料金体系の情報が複数のページに分散していることがよくあります。MCPがこれらの情報をまとめて整理できるか検証しました。
検証内容:
WAFを使ってDDoSを防ぐ設定方法と、その設定にかかる費用について、分散したドキュメントを参照して一つにまとめることを試みました。
結果:
MCPはこれらの情報を一度の応答で整理し、統合的なHTML回答を生成できることを確認しました。
検証時に作成したHTMLは以下のURLで公開しています。
留意点(言語の壁):
参照元のドキュメントが英語であるため、入力が日本語でも、生成されるHTMLが英語になるケースがありました。そのため、希望する言語で出力させるために「日本語で作成してください」といった言語指定の指示が必要になります。
生成された回答内容は、自身で調査した内容と相違がないことも確認できました。
AWSの公式情報を効率的に、かつ正確にまとめてくれる強力なツールだと感じました。
