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Google のユニバーサルカートの仕組みと、UCP・AP2・Google Pay・Stripe の Link の関係

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Last updated at Posted at 2026-10-16

本記事は Claude Code と一緒に調べ、書きました。公式の記事と文書の確認、図の作成、文章の校正に使っています。何を調べるかの判断と、内容の最終的な確認は筆者が行いました。

2026年10月15日、Google が買い物かご「Universal Cart」(以下、ユニバーサルカート)を米国で提供し始めました。

検索の AI モードで見つけた商品も、Gemini のアプリで見つけた商品も、利用者が自分でかごに保存でき、店が違っても同じかごにたまる、という機能です。

これを読んで、私は三つの疑問を持ちました。かごは Google が持つのに、購入の契約はどこにあるのか。UCP や AP2 という規格は、このかごのどこに出てくるのか。支払いに使う Google Pay は、Stripe の Link とどう違うのか。この記事では、Google の公式の記事と開発者向けの文書を読んで、その答えをまとめます。

実機では試していません。提供が米国だけで、手元では使えないためです。書いたことは公開された文書を読んで確かめたもので、動かした結果ではありません。

先に結論

  • ユニバーサルカートは、利用者が保存した商品を、Google が値下がりや在庫の面で見張る、Google 側の買い物かごです。購入の契約は店のままで、Google が販売者になるわけではありません。
  • 店との接続は、Google などが公開している UCP(Universal Commerce Protocol)という規格が受け持ちます。かごを店のサイトへ渡す方式と、Google の画面の中で購入を終える方式があります。
  • AP2(Agent Payments Protocol)は、エージェントが利用者に代わって買う場面の権限の証明です。10月の提供開始の記事には自動購入の記載がなく、買うのは利用者が押したときです。
  • Google Pay と Link は、どちらも利用者の側の財布です。ユニバーサルカートの隣に置くのは Google Pay で、Link と比べるのも Google Pay です。
  • 日本での提供は、公式の文書のどこにも書かれていません。

用語

用語 意味
ユニバーサルカート Google の検索の AI モードと Gemini のアプリで使える、複数の店をまたぐ買い物かご
AI モード Google 検索の中の対話形式の検索
Shopping Graph Google が持つ商品情報の集合。公式の説明では、継続的に更新される 600 億件超(原文は 60+ billion)の商品の掲載を持つ
UCP Universal Commerce Protocol。AI と店のあいだで、商品の検索から注文後の対応までをやり取りする共通の規格。Apache License 2.0 で公開されている
AP2 Agent Payments Protocol。エージェントが利用者に代わって支払うときの、権限と内容の証明の規格。Google が 2025年9月17日に発表した
エージェント 利用者に代わって、調べる、選ぶ、買うといった作業を進める AI の仕組み
販売者 購入の契約の相手で、売上を計上する者。公式の文書では seller of record、merchant of record
トークン カード番号の代わりに店へ渡す、その取引専用の情報。店にカード番号が残らない
決済代行会社 店に代わって、カード会社への請求を受け持つ事業者
オーソリ カード会社が、その支払いを承認するかどうかを判断すること
Gemini Spark Google が 2026年の Google I/O で発表した、利用者に代わって動き続ける個人向けの AI エージェント

何ができるのか

公式の記事[1][3]から、機能を整理します。10月の提供開始の記事に書かれているものと、5月の予告にだけ書かれているものを分けました。

機能 内容 10月の記事 5月の予告
店をまたぐ一つのかご 利用者が、検索の AI モードで保存したハンドバッグと、Gemini のアプリで保存したセーターやリップグロスを、同じかごに入れられる あり あり
価格と在庫の見張り Google が、Shopping Graph をもとに、値下がりや在庫の復活を利用者に通知する あり あり。価格の履歴も見られる
クーポンと支払いの提案 Google が、使えるクーポンを探し、利用者のカードの特典を踏まえて、どの支払い方法が得かを助言する あり あり。ポイントの特典も示す
購入 利用者が、Google Pay で数タップ、または店のサイトへ移して購入する あり あり
部品の組み合わせの確認 かごが、パソコンの部品のような、組み合わせの合わない商品を指摘し、代わりを提案する 記載なし あり
追加の入口 利用者が、検索、Gemini、YouTube、Gmail からかごに入れられる 検索と Gemini が挙がっている 4つが挙がっている。YouTube と Gmail は後から
分割払い Google Pay の中で、Affirm と Klarna の分割払いが選べるようになる 記載なし あり(店向けの記事[2])

連携している店として、Nike、Sephora、Target、Ulta Beauty、Walmart、Wayfair と、多くの Shopify の店が挙がっています[1][2][3]。10月の記事に自動購入の記載はなく、購入は「買う準備ができたときに、手間なく信頼できる形で購入できる」と、利用者が操作する場面として書かれています[1]。

5月の予告では「この夏」に始めるとされていましたが、実際の提供は10月でした。遅れた理由は、公式の文書に書かれていません。

仕組みの三つの層

ユニバーサルカートという名前がつくのは、利用者向けの画面だけです。その下は、公開された規格で動いています。ここから先は、公式の記事ではなく、開発者向けの文書から読み取った内容です。

ユニバーサルカートと、その下の規格の関係

層 受け持つもの 規格や製品
利用者向けの画面 かごを持つ、値段を見張る、クーポンを探す ユニバーサルカート(Google の機能)
店との接続 商品の検索、かごへの追加、購入手続き、注文後の対応 UCP
権限の証明 利用者が、エージェントにその購入を任せたことの証拠 AP2

UCP の公式サイトが挙げる機能は、商品の検索と照会、かごの作成、会員情報との紐付け(OAuth 2.0)、決済、注文の管理、宿泊の予約(草案)、食事の注文(近日)です[5]。共同開発者として、Google のほか Walmart、Target、Shopify、Stripe などが挙がっています[5]。ユニバーサルカートが使うのは、このうち、かごの作成と決済の部分です。

店の側の実装

カートの引き渡し

Google は開発者向けの文書で、カートの引き渡しを、利用者が検索の AI モードや Gemini でためたかごを店のサイトへ移す仕組みと説明し、これがユニバーサルカートを支えるものだと明記しています[9]。店が実装するものは次のとおりです。

店が実装する点 内容
公開する情報 /.well-known/ucp に、UCP の情報(プロファイル)を置く。かごの機能の名前は dev.ucp.shopping.cart
受ける窓口 Google が POST /carts でかごの中身を送ってくる。店は CreateCart を実装する
認証 API キー、または OAuth 2.0
応答の目安 1秒以内
範囲 現在はかごの作成と引き渡しだけ。文書の言葉では、かごの中身が Google から店へ一方向に取り込まれるだけで、店のかごの状態が Google に戻ることはない

この方式では、店は、ネイティブ決済も、支払いの接続も、注文の管理も実装しなくて済みます。購入は店のサイトで完結するので、店は既存の決済画面をそのまま使えます[9]。

ネイティブ決済

Google の画面の中で購入を最後まで終える方式です。店は四つの窓口を実装します[8]。

窓口 呼ばれる場面
POST /checkout-sessions 利用者が購入ボタンを押したとき。Google は商品と、市区町村と郵便番号程度の住所を送り、店は合計・税・支払い方法を返す
GET /checkout-sessions/{id} Google が、複数商品のセッションの内容を取得するとき
PUT /checkout-sessions/{id} 利用者が配送先を変え、Google が税や送料の再計算を求めるとき。利用者が支払いボタンを押すとき
POST /checkout-sessions/{id}/complete Google が、支払いを済ませて、注文の確定を求めるとき

支払いでは、店が受け取るのはカード番号ではなく、Google Pay が出したトークンです。店は handler_id が設定した Google Pay のものと一致するか確かめ、トークンを取り出して、自社の決済代行会社に渡します。店は、応答にトークンそのものを含めません[8]。認証は Authorization: Bearer ヘッダーで、機械どうしの認証と、利用者のアカウントの紐付けの両方に使われます。文書の版は 2026-04-08 でした。

クーポンと参加の手続き

割引の入口は二つあります。Google がマーチャントセンター(店が Google に商品情報を送る管理画面)のフィードから取り込む自動適用の販促と、利用者が入れるクーポンです。1回のセッションで適用できるクーポンは10個までで、店は、無効なクーポンには、期限切れや無効といった決まった誤りコードを返します[11]。

参加には Google の承認が要ります。手順は、マーチャントセンターで配送、返品、商品のフィードを整え、順番待ちの名簿に登録し、承認を待ち、UCP の情報を用意し、窓口の認証を実装する、という順です。Google は同じ文書で、UCP の仕様に定められた機能のすべてが Google の画面で使えるわけではない、とも注意しています[12]。

支払いと承認

Google Pay の位置

ユニバーサルカートの購入では、利用者の支払い方法は Google Pay に保存されたもので、店には Google Pay が出したトークンが渡ります[8]。販売者は店のままです。10月の記事は、購入の確認の連絡と問い合わせへの対応を店から直接受け、店が販売者であり続けると書いています[1]。

AP2

AP2 は、ユニバーサルカートそのものの部品ではなく、エージェントが自動で買う場面のための規格です。公式の紹介では、委任状(Mandate)が三種類あります[7]。

委任状 中身
意図の委任状 「白いランニングシューズを探して」のような最初の依頼。委任して任せる場合は、価格の上限や時期の条件を持つ
かごの委任状 エージェントがかごを示したあと、利用者が署名する(任せた場合は、条件が満たされたときにエージェントが自動で作る)。品目と値段を変更できない形で記録し、見たとおりの値段で払うことを担保する
支払いの委任状 支払い方法を、署名されたかごの中身に結びつける。あとから否認できない記録になる

これらは検証可能な資格情報で署名され、権限(利用者が、その購入をエージェントに任せたか)、真正性(店が、エージェントの要求が利用者の本心か確かめられるか)、責任(不正や誤りが起きたとき誰が負うか)の三つの問いに答えるためのものです。60以上の組織が協力しています[7]。

5月の予告は、AP2 を使った購入が、Gemini Spark を皮切りに、今後数か月のうちに Google の製品へ入る、と説明しています[3]。Spark は、お金を使う前に許可を求める設計とされています[6]。したがって、現時点で公式に確かめられるユニバーサルカートの購入は、利用者が押して買う形で、エージェントが任された条件で自動的に買う形は予告の段階です。

Google Pay と Stripe の Link の違い

ここまでに何度も出てきた Google Pay が、Stripe の Link とどう違うのかを整理します。

Link の説明は、Stripe の文書「Link エージェントウォレット」[13]で確かめました。エージェントが顧客の Link のアカウントに接続し、特定の購入について支払いを申請し、顧客が承認すると、1回限りの決済用の認証情報が返ります。この認証情報は、インターネット上のあらゆる場所の取引に使えます。エージェントによる決済の対象は米国とカナダの顧客で、購入先の店はその国の外にあってもかまいません。

Google Pay は、Google の公式の紹介ページ[14]によると、店頭では Google ウォレットにカードを入れてスマホをかざして払い、ネットでは Android と Chrome に保存した支払い情報での入力と、購入ボタンから払えます。ユニバーサルカートの購入では、店に Google Pay が出したトークンが渡ります[8]。

Google Pay Link
作った会社 Google Stripe
ユニバーサルカートでの役割 購入のとき、利用者の支払い方法として使われる 登場しない
エージェントに渡す仕組み ユニバーサルカートの購入では人が押す。エージェントに任せる支払いは AP2 が予告の段階 エージェントが申請し、顧客が承認すると、1回限りの認証情報が返る
対象 日本語の紹介ページがある。提供範囲は確かめていない エージェントの決済は米国とカナダの顧客

二つの違いを、財布と店の受け口に分けて描くと次のようになります。利用者の側に Google Pay と Link が並び、店の側には Stripe のような決済代行会社がいます。Link は、Stripe が利用者の側にも出している財布です。

利用者の側の財布と、店の側の受け口

ユニバーサルカートで買うときの流れは次のとおりです。かごは Google が持ち、利用者が「買う」を押すと Google Pay からトークンが店へ渡り、店は自社の決済代行会社に請求します。契約と売上は、店のままです。決済代行会社は店が選ぶもので、Stripe は一例です。

ユニバーサルカートでの購入の流れ

なお、エージェントどうしがやり取りするための規格に A2A(Agent2Agent)があります。この購入の流れにはエージェントどうしのやり取りが出てこないので、ここまでの話との関連は薄いです。ただ、AP2 は A2A と、AI が外部の道具につながるための規格である MCP の拡張として使えると公式に書かれており[7]、UCP も通信の方法の一つに A2A と MCP を挙げています[5]。どちらも、規格の下にある通信の部品として出てきます。

提供の経緯と地域

日付 出来事 出典
2025-09-17 Google が AP2 を発表 [7]
2026-03-19 UCP に、複数商品のかご、商品情報の取得、会員情報との紐付けが加わった [4]
2026-05-19 ユニバーサルカートを予告。この夏に米国の検索と Gemini で始めると説明 [3]
2026-09-16 店向けの記事で、UCP の決済が米国で順次始まり、オーストラリアとカナダは2027年初めと説明 [10]
2026-10-15 ユニバーサルカートが米国で提供開始 [1]

ユニバーサルカートの提供は米国だけです[1]。UCP の決済の提供地域は、米国で順次始まり、カナダとオーストラリアが2027年初め、英国がその後と説明されています[2][10]。日本の記載はありません。UCP の仕様と開発者向けの文書は公開されていて、日本からも読めます。ただし、AI モードと Gemini で公開するには Google の承認が要り[12]、日本の店が承認を受けられるかどうかは、文書から確かめられません。

この記事で確かめていないこと

  • ユニバーサルカート自体の利用者向けのヘルプ(データの保存期間、削除、通知の設定)。10月の記事は、プライバシーポリシーへのリンクだけで、個別の説明は書いていません。
  • YouTube と Gmail からの追加の提供時期と、提供が夏から10月に遅れた理由。
  • 第三者の評価(報道、店の反応、使い勝手の検証)。公式の記事と文書だけに基づいています。
  • Google Pay の日本での提供範囲。公式の紹介ページに日本語版があることまでしか確かめていません。
  • 引用の原文。公式のページの一部は、要約を通して読みました。Shopping Graph の件数、販売者の記載、提供地域の三点は原文の文で照合しましたが、ほかの英語の引用は、正確な文言を出典のページで確かめてください。

出典

  1. Suresh Ganapathy「An intelligent new shopping cart」Google, 2026-10-15. https://blog.google/products-and-platforms/products/shopping/universal-cart-launch/
  2. 「How we're helping retailers thrive with new Universal Commerce Protocol features and AI tools on Google」Google, 2026-05-20. https://blog.google/products-and-platforms/products/shopping/shopping-updates-google-marketing-live/
  3. 「Introducing the Universal Cart and more ways to help you shop」Google, 2026-05-19. https://blog.google/products-and-platforms/products/shopping/google-shopping-cart/
  4. 「AI shopping gets simpler with Universal Commerce Protocol updates」Google, 2026-03-19. https://blog.google/products-and-platforms/products/shopping/ucp-updates/
  5. Universal Commerce Protocol 公式サイト. https://ucp.dev/
  6. 「Catch up on 12 major I/O 2026 moments」Google, 2026-05-28. https://blog.google/innovation-and-ai/technology/ai/io-2026-keynote-moment-videos/
  7. 「Announcing Agent Payments Protocol (AP2)」Google Cloud, 2025-09-17. https://cloud.google.com/blog/products/ai-machine-learning/announcing-agents-to-payments-ap2-protocol
  8. UCP ネイティブ決済(REST)のガイド, Google for Developers. https://developers.google.com/merchant/ucp/guides/checkout/native
  9. UCP カートの概要, Google for Developers. https://developers.google.com/merchant/ucp/guides/overview/cart-overview
  10. 「Boost your holiday sales with these agentic commerce updates」Google, 2026-09-16. https://blog.google/products-and-platforms/products/shopping/google-shopping-updates-holiday-shopping/
  11. UCP クーポンと割引の概要, Google for Developers. https://developers.google.com/merchant/ucp/guides/overview/promo-codes
  12. UCP 統合ガイドの目次, Google for Developers. https://developers.google.com/merchant/ucp/guides
  13. Stripe「Link エージェントウォレット」. https://docs.stripe.com/agentic-commerce/agents/link-agent-wallet
  14. Google Pay の紹介ページ. https://pay.google.com/about/

出典は2026年10月16日と17日に取得しました。

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