こちらは、TUNA-JPアドベントカレンダー 2023 の15日目の記事です。
毎年恒例、おうちクラウド のお時間です!
おうちクラウドって、何?
「各ご家庭で1台以上のPCを用意してネットワークにつなげ、ちょっとした準備することで、VM/コンテナ等を介したハードウェアリソースを活用するシステム」のことを おうちクラウド と呼称しています。
実はこの企画、2020年からアドベントカレンダーやっているので、ご興味ある方は、過去のエントリを見て下さい。
- 2020年 NUCで始めるVMware Tanzu (※. おうちクラウドの前身)
- 2021年 おうちクラウド考察2021 with TCE
- 2022年 おうちクラウド2022
2023年のおうちクラウドニュース
IntelがNUC事業を撤退
いきなり残念なお知らせです。
2023年7月11日、IntelがNUC(Next Unit of Computing)事業からの撤退するというニュースが報じられました。
2012年に 鮮烈なデビューを果たし、ミニPCというジャンルを確立したリーダー的な存在でした。そこから毎年世代を重ねて洗練されていったIntel NUCですが、Intel低迷の煽りを受けた形となりました。
なお、NUC というブランド自体は ASUS に譲渡されました。
よって、引き続きASUSからNUCが販売される可能性が高いのですが、ASUSのサイトには、NUCの概要や商品仕様が掲載されているものの、実際にASUSから購入する方法が不明でした。ASUS Store からの販売や、新製品の発表が待ち望まれるところです。
余談ですが、Intel NUC は今のところ、Amazonから購入できます。
Intel製のものを購入できるのは、これが最後のチャンスだと思うので、歴史の証人になりたい方は購入するのも良いかと思いますw
事業撤退の背景
(※. 個人の考察です)
事の発端は2020年に遡ります。AppleがIntel製CPUの採用を辞めて、ARMアーキテクチャ(Appleシリコン)を採用し、非常に成功しました。特にARMの特徴である Big.LITTLE テクノロジによって、高性能と高効率を両立することができ、ノートPCのバッテリ駆動時間を大きく改善しました。また、この時IntelのCPUは、AMD のCPUと比べ、パフォーマンス面でも水を開けられていました。
2022年10月になり、 Intelは第12世代Coreシリーズ を発表し、市場のトレンドを受けて、Pコア(高性能コア)とEコア(高効率コア)の両方を載せたアーキテクチャを採用してきました。そしてこれを、NUCにも採用し始めました。
私はこれこそが、Intel NUC事業撤退の要因だと推測しています。NUCの購入層は、デスクトップPC用途よりもホームサーバーとして使っている人が大半だと思っています。そういった人たちは、高効率(低消費電力)をそこまで気にしません。むしろ、複数リソースを常時稼働し続けるので、混在コアだと扱いづらい、すらあります。
特にESXiを扱う場合、1年経っても未だに混在コアに対応していないため、インストールに苦労します。
アジア圏のミニPCメーカーが躍進(した気がする)
本来なら、Intelの撤退によってミニPCの先行きが不安視されるところですが、2年ほど前から徐々にアジア圏のミニPCメーカーが勢力を伸ばしてきており、特に今年になって、日本でも購入しやすくなっている気がします(※. 個人の感想です)。
本日は、「(私にとって)オススメのミニPCメーカーランキング」を発表します!
まずは、購入サイト欄を以下のように評価しました。
- ◎:日本向けに特化した専用サイトから購入可能
- ◯:日本語に機械翻訳された専用サイトから購入可能
- △:英語の専用サイトから購入可能
- ✗:Amazon等から購入、または、買い方が分からない
その他の項目は、以下の観点です。
- AMD CPUを搭載したミニPCのラインナップが存在するかどうか?
- ベアボーンキットとして購入できるか?
上記の観点を元に、以下の様に順位付けしてみました。
メーカー名 (国) | 購入サイト | AMD CPU | ベアボーン | 特徴 |
---|---|---|---|---|
1位 MINISFORUM (香港) | ◎ | あり | あり | 私の推しメーカーです。個性的なラインナップを揃え、サイトも見やすく、価格も安いです。よく使うので欠点をあげると、配送に時間がかかる点と、商品の入れ替わりが激しく特定モデルを紹介しづらい。 |
2位 GMKTec (中国) | ◯ | あり | あり | サイトは機械翻訳っぽいが、分かりやすさの点では悪くはない。ラインナップも充実していて、価格も安いものがある。 |
3位 ASUS (台湾) | ◎ link | あり | あり | ASUS Storeから購入可能。ただし、Mini PCカテゴリはGoogle検索から直接辿る以外の方法が不明。「よくある質問」が良く書けていて、安心して購入できる。しかし、その製品の特徴とかが分かりづらい。また、全体的にお高め。 |
4位 GIGABYTE (台湾) | ✗ | あり | ? | BRIXというブランドで販売しているが、専用購入サイトをもたず、Amazon等が代理店となって販売している。 |
5位 Beelink (中国) | △ | あり | ✗ | 英語サイトだが、恐らく購入できそう。ただ、サイトが使いづらく、ベアボーンが無さそう。価格は安め。 |
6位 CHUWI(ツーウェイ) (中国) | ◎ | ✗ | ✗ | サイトはしっかりしているし、安い。ただし、ラインナップが少なく、AMD製もなく、ベアボーンもない。 |
他にも様々なメーカーがあるはずなので、「このメーカーいいよ!」という情報お持ちでしたら、是非コメント欄に寄せていただけると嬉しいです!
待望の 48GB メモリが出荷!
去年、こんなこと を書きましたが、そんな矢先の2023年1月、ついに、48GB のDDR5モジュールが発表されました!
実際に市場に、SODIMM DDR5 48GB×2枚組(合計96GB) が投入されたのは、2023年7月位からです。なお SODIMM とは、ノートPCやミニPCに換装可能な小さなサイズの規格です。また、マザーボード側が DDR5 に対応している必要があります。Amazonでは、以下のメーカーから購入できます。
価格の推移を見ると、48GB×2枚組 の初期の最安値は 54,380円 でしたが、現在の最安値は 49,880円 あたりで落ち着いています。私は、もう一段安くなったら買おうと思っています。。
64GBが96GBに変わると、そんなに嬉しいのでしょうか?
答えは、メチャクチャ嬉しいです。例えば私のケースだと、おうちクラウドで vSphere8 から登場した vSAN ESA をやろうとして、現在のスペックでは運用を断念しました。その悔しさを表にしてみます。
ESXiのメモリ搭載量 | 64GBの場合 | 96GBの場合 | 備考 |
---|---|---|---|
vSAN RSA (旧方式)上のESXi1台あたりの空きメモリ量 | 52GB | 84GB | RSAが 12GB 程度メモリを消費 |
vSAN ESA (新方式)上のESXi1台あたりの空きメモリ量 | 29GB | 61GB | ESAが 35GB 程度メモリを消費 |
※. 備考の消費量はあくまで目安であり、実際の環境や構成によって異なります。
元々vSANはエンタープライズ向けの製品なので、もっと大きなメモリを持つマシンでの利用を想定されてるのですが、とにかくメモリを食うようになりました。一般的なミニPCは上限が64GBまでだったので、vSAN ESAにすると、残り29GBになってしまいます。96GB搭載されていれば、空きメモリ量にだいぶ余裕ができます。
2023年の総括と2024年の展望
正直言うと、今年はあまりおうちクラウド活動ができていませんでした。。何故なら、今までの活動の結果、買いたい物を一通り揃えてしまったからです。
ですが、つい最近、Private AIの支援をやるようになって、GPU がメチャクチャ欲しくなってきました。AI処理は、GPUがあるのとないのでは、全然スピードが違うのです。
よって2024年は、「おうちクラウド with GPU」をテーマにしようかなと、今のところ思っております。乞うご期待!