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TL;DR

  • 本記事は、はじめてのアドベントカレンダー Advent Calendar 2023の19日目の記事になります。
  • いわゆる、退職エントリです。むしろ退職日記かも。
  • ボーナスのカットに真正面からぶつかり、戦い、勝利して、
    その後報復に合い、会社を辞めることを決めた、ただの平社員の話です。
  • 信頼は大事。そして、信頼を構築したり、守ったりする為のコミュニケーションも大事。
  • 嘘吐きは嫌いです。汚い嘘は他者も、自分をも壊します。やめましょう。
    他人を貶めてまで得る幸せなんて、どこにも無いよ。

本エントリを書くまでのきっかけ

上記エントリを読ませて頂いた時に、
マジメでは無かろうが、誠実に生きるという事は難しいと思った上で、
でもそうしておいて良かった、と思った事が自分にもありました。
以前、転職をした際に強く感じた事です。

自分は2児の親ですが、生き方を曲げてまで、
不誠実な世界で生きる姿を子供たちには見せられないと思いました。
そして会社を辞め、別な会社に拾ってもらい、
今はまた以前とは異なるステージで仕事に取り組んでいます。

自分の基本思想

強く伝えたい。
私は嘘吐きは嫌いだ。不誠実なヤツも嫌いだ。
信頼出来る人と仕事をしたい。それは高望みで、傲慢で、ワガママかもしれないが、
少なくとも自分は他人から見て、信頼出来る人と思われる様に生きたい。
他者に信頼を望むのだから、他人から信頼を勝ち取れる人間でありたい。

そんなエントリで、ただのポエムで、ただの雑記です。

退職の経緯

※本項にはフェイクが入っている部分が何点かあります。特定防止の為。
読み物と思って頂ければ幸いです。
長い自分語りなので、興味の無い方はブラウザバックして下さい。

突然のボーナスカットの通達

今も続くコロナ禍の初年。
当時私は、地方の某中小企業の社内SEでした。勤続年数は10年を超えていました。
そんな時、突然社長より、全社員向けにボーナスカットの通知がありました。
額は7割の減額。減額の理由は、業績の不振が影響ではなく、
「社員がたるんでいるから」との事でした。
当時発表されていた某航空会社のボーナスカットに倣い、
その企業でもボーナスをカットして「発破をかける」との事でした。

当時勤めていた会社はボーナス偏重型の給与形態で、
私はそれだけの幅でカットされるとすれば、約2か月分の給料を失うのと同義です。
年収で言うと、10%に近い減額となります。

一般的な勤め人の方なら分かると思いますが、
年収を10%減額されると、まともに暮らせなくなる人が出ます。
自分も相当に怪しい部類でした。

そんなバカげた理由でのボーナスの減額が本当にあるのか?という発想に至り、
実は社員には言い辛い理由が何かあるのではないか、と探りを入れる事にしました。

実態調査

まず、親しかった経理の方々に探りを入れてみました。
実は内部的に業績が傾きかけていたり、何か大きな損失を出してしまったりなど、
自分を含めた社員レベルでは知らないだけかもしれない、との仮定がありました。

しかし、これについては真っ白。業績も思った程悪くなく、
普通にボーナス支給が出来るレベルの業績だと言う事が分かりました。
たまたま風向きが良かったという事実も一定ありますが、
コロナ禍において、影響は出辛い企業でもあったのです。

結局の所本当に「社員がたるんでいるから」という理不尽な理由だけで
全社員のボーナスを大幅にカットされそうになっているという事が分かり、
そんな勝手、まかり通ってたまるか、と思いました。

相談

所属していた部の部長に時間を取ってもらい、相談をしました。
「逆らうべきではないし、君の考えを見直すべきではないか」と跳ね返されました。
私より立場のある人は皆、静観の一手だったのです。

同じ様な考えを持ってくれる人はいましたが、
動いたって良い事なんて無いよ。目を付けられて終わりだよ。
そう諭されただけでした。

対峙

その次の日、私は社長にアポイントメントを取りました。
かなり難航しましたが、何とか了承を取る事が出来ました。
二人しかいない応接室で、もう一度ボーナスをカットをする理由を聞き、
長々とした説明をされ、沢山の言い訳の結論はこういう事でした。

「だって会長(前社長)がそう言うから」

社長は前社長の気まぐれに応える為だけに、
従業員の給料を生贄に捧げたんだと分かりました。
話を聞くのもバカらしかったです。

要するに、こんな理不尽な理由でボーナスカットが実施されるのは、
目の前にいる社長が、前社長に反発するのが面倒で、嫌だったからでした。
保身以外、何も考えていない無能がそこにいました。

一瞬の追い風

その後、前社長より「社員から不満が出ているのではないか?」と、
社長に回答を求めた内容が社内掲示板のスレッドに上がり、
そのコメント内では、私が社長と面談し、説明を求めた事についての
顛末を回答せよ、と書かれていました。

即座に社長のコメントが付き「本人には対面で説明しており、不満は解消済です。」
そのまま、そのスレッドは社長によって締め切られました。
社内で言われていた掲示板上での「言論の自由」なんて物は、幻想に過ぎませんでした。

通達

賞与支給日の直前に、社員を集めた全体集会が開かれ、前社長は不在の中、
正式に社長からボーナスの減額が通達されました。
その理由の中心は、あろうことか「業績の不振」でした。

社長は流石に「たるんでいるから」と言う理由を提示出来なかったのか、
ただそれでも結果だけでも追求しようとしたのか、
社員には本来の理由とは別の、理由を提示しました。
自分の不始末を、会社の不始末にすげ替えました。

誰もが「そんな訳ない」と思っている中、
ただ無理やりにでも、要求を飲めと言わんばかりの姿がありました。
即座にその日の午後、有給を取った私は前社長にアポイントを取りました。

直談判、そして勝利

前社長に何故かあっさりと面会を許された私は、
数時間に及び前社長に熱弁をし、ボーナスの理不尽なカットを行うべきではない事、
かつ社長が社員に対して、前社長に黙って二枚舌をした事を告げ、
そんな事は到底許される事ではない、とも告げました。
これは前社長に対しての背信行為だ、とも。

要するに、この様に立ち向かってくる姿が、前社長の「望んだ結末」だった様です。
賞与の減額案自体が馬鹿げた内容なのは分かっていて、
コロナ禍に立ち向かう人が欲しかった、俺に向かって来る人が欲しかった、
の様な事を言われた記憶があります。
「この件は俺に任せろ」とか、言われた様な記憶もあります。
これ自体、馬鹿げた話なので、どうでも良いです。

その翌日、前社長より全社員向けに、
賞与は通常支給。従来通りに変更、と通達がありました。

この日飲んだビールは大変美味しかった記憶があります。
珍しく少し高いビールを買ったんだっけ。そこまでは覚えていません。
ただの平社員が、数百人規模の企業の、全社員の賞与の減額という、
大問題の発生を間際で阻止出来た喜びに震えました。
例え、その役者が誰に知られなくても。

一方で、社長は前社長より大変お叱りを受けた様です。
それはそうだろうな、と他人事に思っていました。

報復、そして敗北

その約一か月くらい後の話。
自分がPMを担当していた、1年程かけていたプロジェクトが、
あと1か月程でリリースとなる予定で、直前の準備をしていた頃。

突如、社長より、対象のプロジェクトの完全停止が言い渡されました。

対象のプロジェクトは、社内の特定部署の効率化を行う事が出来るもので、
月間でも15時間程度の作業減、それが数十拠点に存在する為、
大幅な時短効果が見込めるプロジェクトでした。

その実施の為に必要な、機器のアップデート、準備なども事前に終え、
先行投資で稟議を通して既にコストがかかっている状態であり、
かつ全拠点に配置や、作業手順などの準備を進め終えた段階でありました。
さらには、移行の為のデモ期間に入っていたのです。

自分は抗議しました。そして、プロジェクトの意義と、効果を説明しました。
それらは全て無視され「遊んでるんじゃないぞ」と吐き捨てられました。
あの時のニヤケ面は、二度と忘れません。

部長に入念に確認をしました。
自分が作ったプログラムは、その日の内に、全て削除しました。
バックアップも。全て、消し去りました。
関係各所に入念にお詫びをし、説明をして、大変残念がられました。

こういう事はそれ以降様々な形で、頻繁に起きました。
この会社ではもう働けないな、と思いました。

転職

その後に、同一県内の別企業にてSEとして採用が決まり、
速やかに退職の手続きをし、現在の企業に勤めております。

私が退職する直前に、
社長より「あのプロジェクトどうなってる?」と問い合わせがありました。
部長は「一度停止させた事と、担当者がいなくなるので、一年以上先ですね」
と回答していました。

当時、何を止めたのかさえ、分かっていなかったのでしょう。

今の職場では幸いにも課内の上司や仲間に恵まれ、
給与自体は下がりましたが、心理的安全性が確保された、
今の労働環境に落ち着くことが出来ました。

風の噂で、私が退職した後には、
私の後に続き、一部の重要部署では大量の離職も起こったそうです。
そして私が退職した年の次の春に、
かの社長は、社長の座を降りたようです。相談役になったそうで。

だとして、あの時我慢すれば良かったのか、と聞かれるとNoです。
多分その前に、私の心が壊れていました。

どちらが正しかったのか?

私は、私の意見が正しいと思っていますが、
見方を変えれば、私は上からの指示に従わない、敵でしょう。

本エントリは、私の一方的な意見や観点に過ぎません。
ですが、私は一切の嘘を言わなかったし、
誤魔化さなかったし、自分の気持ちを偽りもしませんでした。
仕事に対しても、真っ直ぐに向き合いました。
部長にも、前社長にも、社長にさえも、全力でぶつかりました。
ただ企業のあり方について、社会に属する人間のあり方について、
強く弁を奮っただけでした。

この一連の出来事の結果は、社長も私もLOSEでした。
ただ、私は勤めた企業で触れ合ってきた、
信頼した仲間達の生活を結果的に守りました。

連絡は取れてないけど、皆さん元気にしているだろうか。
急に辞めた私を恨んでいるかもしれません。
それでも仕方ないか。

でも、私の労働に対する誇りだけは、確かに守りました。
それだけで良いのかもしれません。

転職してみた結果

やむなく転職という結果になった自分ですが、
自分は転職して、良かった、と言うことが多かったです。
知らなかった知識がこれだけあるのか、と。
また新しい事を学んで、それをさらに活用して、という事が出来るのか、と。
エンジニアとして、まだ成長出来るきっかけになりました。
給料は下がりましたが、また取り戻して見せます。
その為に、資格試験を受けたり、勉強を続ける事をやめられません。困ったな。

これは、前職の会社に居ただけなら、多分していなかった事です。
終わりが無い知識の海に飛び込むのも、楽しいと言えると思います。

おわりに

ここまでして、自分の生活を犠牲にするかも、という恐怖を抱えながら、
自分の信念を貫いて戦った事に意味はあったのでしょうか。

私は、あったと思います。
一度吸われた甘い蜜は、二度三度と吸われます。
悪しき成功体験は詰ませるべきではありません。序章で断ち切るべきです。

後で後悔したってもう遅い。後悔する前に今、その時に動いた方が良い。
そんな時は思い切って戦って、結果、負けたって良いのでは無いでしょうか。
それ自身も経験で、自分は人間としてひとつ、成長出来たと思っています。

自分がもっと世の中を上手く渡れる人間だったら、
違うやり方もあったのかもしれません。でも自分には出来なかったな。

ただ、これから厳しい世界を生きていくだろう自分の子供達に、
「あの時何故転職したの?」と聞かれたら、胸を張って答えようと思います。

「誇りを守る為だよ」って。
そんな私は今日も、まだ理解が足らない知識の参考書をめくっています。

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