はじめに
2025年10月1日(水)深夜、OpenAIから動画生成AI Sora2が突如リリースされました。
これまでの動画生成の中でダントツレベルの動画クオリティで、なおかつ専用のTikTokのような縦型ショートアプリもセットで公開するという発表がありました。
(前日にはAnthropicからClaudeの最新モデルのリリースがあり、大手ベンダーは発表時期がかなり連続して寝不足が続いています…)
さて、今回の記事では突如公開された最新の動画生成AI Sora2とその専用アプリについてリリース情報をもとに解説した上で、今後の動画生成AIの動向についてまとめます。
※ 最初のリリースはアメリカ・カナダに絞って公開されるそうです。今後徐々にエリアを拡大していくことが公式からアナウンスされています。
Sora2のPVで日本のアニメぽい映像も入っていたこともあり、日本向けにリリースされるのはそう遠くないような気もします。
目次
1|リリースの概要
2|何がすごいか / 面白いのか
3|想定される課題
4|今後の見込み
自己紹介
ひかるといいます。
東大で動画AIの研究をしていたり、TikTok運用なども手がけています。
動画・マーケ領域に特化したAIサービスや技術提供をするスタートアップのCEOでもあります。
「動画の民主化」をテーマでXを中心に動画×AIの情報発信や独自ツールの開発と公開などの活動をしております。
動画・広告・マーケ領域でAIを活用したい方はエッジの情報をもとに発信をしているのでフォローおすすめです。
1|リリースの概要
高品質な動画を生成できるSora2がリリース。
音声や音楽など映像以外の部品も同時に生成できるようで、ジャンルによってはSoraだけで動画作成を完結できるのケースも出てきそうです。
PVの中では日本アニメテイストの映像で流暢な日本語を話しているシーンがありました。BGMやSEだけでなく、音声生成もかなり高レベルになっている可能性があります。
「動画」としてかなり完成度の高いものが作れるようになってきているのではないかと感じます。
▼ OpenAI公式のポスト:
▼ サクッと事例を確認したい方はAIインフルエンサーのすぐるさんのポストなど参考になります:
2|何がすごいか / 面白いのか
▶︎ 映像のクオリティ:
これは言うまでもないかもしれません。PVを見る限り動画の一貫性やなめらかさ、物理法則への準拠などかなり高品質なものが生成されているように見えます。
基盤モデルの進化でさらにこの品質は向上していくはずです。
短編映画など本当に1-2年で公開されるかもしれません。
アニメもすごいです。。。
▶︎ 専用アプリとセットで公開:
OpenAIはTikTokライクなUIの生成AIネイティブなショート動画アプリを公開しました。
Sora2の技術で作成したショート動画をそのプラットフォーム上で公開して楽しむことができるそうです。
アプリも含めてリリースした背景は、アメリカでのTikTokの利用制限や買収などのやりとりでショート動画アプリとしての参入チャンスがあったという見立てもありますし、
そもそも動画を基軸とした新しいエコシステムを構築しようというOpenAIの大きな狙いもあると思います。
ショート動画はもはや一大産業です。
さらに生成AIならではの味を組み合わせたショート動画は新規ジャンルとして認知と浸透が進みます。
リアルな動画で溢れている既存のショート動画プラットフォームだけでは抱えきれない新しい体験がSora2のアプリでは体験できるかもしれません。
特にAIアニメや、AIショートドラマ、AIミュージックなどは既存のTikTokやYouTubeよりもこちらで繁栄していく可能性も十分ありそうです。
▶︎ 莫大なコストが発生する中で提供される:
初期リリース時点ではエリアを絞っている かつ 1本の動画は10秒程度の長さに制限されているようです。
(OpenAI内部の独自技術で動画の生成コストが非常に下がっていて、予想よりもコスパ良く運営できている可能性も否定できませんが、そうだとしてもかなりの費用の上に成り立っていると思います)
→ サム・アルトマンも莫大な費用かかっているサービスを出すのような旨の発言をSora2告知の数日前にXでポストしており、その費用の発生源がSora2でかなりコストをかけて攻めているのではと考えられそうです。
▶︎ 自身や友人をAI動画に登場させられる:
一貫性にかなり力を入れているようで、カメオ機能というものを使うと自身や友人をリアルなアバターとして動画に登場させることができるそうです。
これができると、AIショートドラマ制作が現実味を帯びてきます。
TikTokではショートドラマが流行っていますが、今後AIショートドラマは一大ジャンルになるのではないかと思って注目しています。
現在も「AIおばあちゃん動画」のようなジャンルは一つAIコンテンツのジャンルとして認知されていますが、これの最終進化系のようなイメージかもしれません。
(補足)
※ PVなど公式の公開情報をもとにした所感であるため、「実際に使ってみると思ってたより…」のようなこともあり得ると思います。
詳しくは実際に触ってみて動画生成AIの最先端を確かめていきます。
今後日本で使えるようになり次第、いくつかの用途で動画を作成してみてレビューをまとめようと思います!
3|想定される課題
公開情報や事例がまだ少ない状態なので、断定できない部分もありますが今後の課題となりうる点も記載しておきます。
▶︎ 動画生成コスト:
Veo3やKlingなど他の映像生成AIも同様ですが、生成コストは非常に高いです。
Google提供のVeo3だと1秒あたり約60円などするのでとてもじゃないが一般の方が気軽に使いまくれる値段ではないです。
技術動向や他社の状況を考えるとSora2もそれに匹敵する生成コストが発生しているはずで、TikTokのように気軽に投稿をたくさん試せる路線はもう少し時間がかかるかもしれません。
▶︎ ディープフェイク的なリスク(著作権等のリスク):
こちらはOpenAI側も様々リスクヘッジをしているはずですが、発表されている機能の一つに自身の画像をアップしておくと生成される動画の顔を自分にすることができる(ほぼDeepFakeと同様)機能があります。
今後一見しただけではAI生成の動画なのか、リアルな動画なのか分からないコンテンツが量産できるようになる中でどのように対応や市場として動きが出てくるのかは注目ポイントの一つだと思います。
4|今後の見込み:
生成AIの基盤の技術進化がますます進んで、動画生成の分野でも自然かつより自由に人間が制御できるように進化していくのは想像に難くありません。
TikTokでもTikTok ShopのリリースやAIアバターによる商品紹介機能など、ショート動画にAIを活用することが当たり前になっている流れを感じます。
そのような流れの中で動画生成AIは3つの方向性で活用されていくと考えています:
① 既存動画プラットフォームで広告的な文脈と掛け合わせて生成AIが活用されていく
② AI生成のコンテンツを一つの特大ジャンルとして捉えて専用のプラットフォームで拡大していく
③ 生成動画を素材の1つとして作品などに活用されていく
これらの観点についての考察や詳細な動向予測・ビジネス予測を具体シナリオを含みながら note でまとめましたのでぜひご覧ください!
「動画の民主化」をテーマでXを中心に動画×AIの情報発信や独自ツールの開発と公開などの活動をしております。
動画・広告・マーケ領域でAIを活用したい方はエッジの情報をもとに発信をしているのでフォローおすすめです。