はじめに
「この人怒ってるのかな?」「こんな初歩的な質問できないや...」
もしあなたがエンジニア(エンジニアでないとしても)であるならば、そう思った経験があるのではないでしょうか。私も経験があります。リモートワークが一般的となり、テキストコミュニケーションが主流となった今、そのようなネガティブな感情を抱く機会は少なくありません。
コロナの影響もあり、フルリモートやそれに近い環境で就業する方も増えてきたことでしょう。私自身、Webエンジニアとしてのキャリアをスタートしてから現在に至るまで、出社をした経験はほとんどありません。リモートネイティブとでも言えるでしょうか。
ご存知のとおり、リモートワークについては、その是非やあり方について、活発に議論がされています。今回はそういった、「リモート環境下における生産性の高い業務の進め方」などには言及せず、「現場のエンジニアがいかにして心理的安全性高く働くことができるか」にフォーカスします。
今回は例として、コードレビューにおけるテキストコミュニケーションを想定して、どのようなコミュニケーションが望ましいか検討します。
悪い例
悪い例として、以下の2つを提示します。エンジニアとしてチーム開発を経験したことのある方であれば、見たことがあるようなやり取りではないでしょうか。
①
@implementer
レビューしました。
3点指摘したので、修正お願いします。
@reviewer
修正完了です。
②
@implementer
追加ですが、コンフリクトが発生しているので、解消後に再度コメントお願いします。
@reviewer
コンフリクト解消しました。レビューお願いします。
丁寧にコミュニケーションする
まず一つ目が、とにかく丁寧にコミュニケーションすることです。対面のコミュニケーションと同様に、テキストコミュニケーションでも重要です。
- もしよろしければ、〜していただけると幸いです
- お手すきで構わないので、〜お願いします
- お忙しいところ申し訳ないのですが〜
このような構文を用いることで、受け手に安心感を与えることができます。
感謝の気持ちを伝える
次に、感謝の気持ちを伝えることです。これも、対面のコミュニケーションにも言えますが、意図が伝わりにくいテキストコミュニケーションではより重要性が増します。
- 対応いただきありがとうございます
- 実装いただきありがとうございます
このような一言を付け加えることで、受け手に安心感を与えることができるでしょう。
とりあえず絵文字や「!」を使っておく
最後が、絵文字や「!」を使う、です。
今どき、プライベートで絵文字や「!」をむやみに使っていると「おじさん構文」と揶揄されたりして、気持ち悪がられるリスクが高いですが、仕事に関して言えば、使っておいて損はないです。
なにか相手に指摘する場合でも、絵文字があるだけで受け手に与える安心感は増します。
ちなみに、私が多用する絵文字は、「🙇♂️」「🙏」「👍」です。
※「PCでどうやって絵文字を打つんだよ!」と思った方もいるかもしれませんので補足ですが、MacであればCommand + Control + Spaceで絵文字の入力画面を表示できます。
良い例
以上を踏まえて、悪い例を改善してみました。かなり安心感が増しているのがわかるのではないでしょうか。
①
Before
@implementer
レビューしました。
3点指摘したので、修正お願いします。
@reviewer
修正完了です。
After
@implementer
実装ありがとうございます👍レビューしました!
3点指摘しましたので、お手すきで修正いただけると助かります🙇♂️
@reviewer
ご指摘ありがとうございます🙏
以下のコミットで修正しました!
`2xxxxxx`
お手すきで構わないので、再度レビューお願いします🙇♂️
②
Before
@implementer
追加ですが、コンフリクトが発生しているので、解消後に再度コメントお願いします。
@reviewer
コンフリクト解消しました。レビューお願いします。
After
@implementer
追加で申し訳ないのですが、コンソールの方でエラーとWarningが発生しているみたいなので、お手すきで修正お願いします🙏
また、priceの型はnumberではなく、stringではないでしょうか?差し支えなければ変更していただけると助かります🙇♂️
修正後、改めてメンションいただければすぐにレビューします!
@reviewer
ご指摘ありがとうございます!完全に見逃していたので助かりました🙏
以下のコミットで修正しました👍
`2xxxxxx`
お手すきで再度レビューお願いします🙇♂️
対面コミュニケーションの機会を作ろう
「テキストコミュニケーションをハックする」をテーマに、どのようなコミュニケーションを図れば互いに心地よく働くことができるか、例を挙げて示してきましたが、「実際に話して仲良くなる」に勝る方法はありません。とはいえ、毎日オフィスで顔を合わせる必要はありません。たまにでも、実際に会ったり、通話したりするなどして自己開示ができていれば、コミュニケーションのハードルが下がり、心理的安全性を高めることができるでしょう。
おわりに
エンジニアの採用面接で「チーム開発の経験について」は定番の質問です。そして、最近は「リモートワークの経験について」もまた聞かれる機会が増えているように思います。テキストベースの非同期的なコミュニケーションを得意としておくことのメリットは大きいでしょう。巷では「テキストコミュニケーションは難易度が高い」と言われたりもしますが、コツさえ掴めば、対面のコミュニケーション以上に簡単です。本稿を参考に「テキストコミュニケーションをハック」していただけると幸いです。
※本稿はこちらにも掲載されております。