はじめに
ターミナルで動くAIコーディングエージェント Claude Code、使っていますか?
- コードのリファクタ
- テストコードや型定義の生成
- Git操作や調査タスクの自動化
など、「ちょっと面倒だけど、AIに丸投げしたい作業」をまとめて任せられる、かなり便利なツールです。
ただ、本家Claude(Sonnet / Opus)を素直に使おうとすると、
- それなりに 課金が重い
- 本番クラスのモデルをずっと回すのはためらう
- でも、性能は落としたくない
というジレンマが出てきます。
そこで出てくるのが、Z.AI の「GLM Coding Plan」+ GLM-4.6 です。
- Claude Code / Cline / OpenCode などから利用できる「コーディング専用プラン」
- コンテキストは 200Kトークン級
- 体感的にも Claude Sonnet 3.5 クラスの実力
- そして 月3ドル〜 という価格帯
「このクラスのモデルを、月3ドルでClaude Codeからほぼ投げ放題」はさすがに反則では?
と思ったので、公式ドキュメントを噛み砕きつつ、Claude Code のエンジンを GLM-4.6 に載せ替える手順をまとめました。
先行して「Claude Codeのモデルをglm4.6に切り替えてみた」といった記事もありますが、本記事では以下の点も補完しています。
- GLM-4.6 / GLM Coding Plan の概要
- なぜ 月3ドル がインパクト大きいのか
/statusコマンドでの実際の確認方法(v2.0.44の実例)- よくあるハマりどころと対策
これから導入する人がそのまま真似できるレベルを目指してまとめます。
GLM-4.6とGLM Coding Planのざっくり概要
公式説明や各種レビューをざっくりまとめると、GLM-4.6 + GLM Coding Plan はこんなパッケージです:
-
AIコーディング専用のサブスクプラン
- Claude Code / Cline / OpenCode / Roo Code など、主要なエージェントから利用可能
-
価格は月3ドル〜
- Claude Sonnetクラスの性能を、1/7くらいのコスト+3倍近い使用量イメージで使える
-
200Kトークンの長コンテキスト
- 複数ファイルをまたぐ修正や、既存プロジェクトの読み込みに向いている
-
Claude Sonnet 3.5クラスの実戦性能
- ベンチマークだけでなく、実際の開発案件でも「十分使える」と評判
要するに、
「Sonnet級のコーディング性能を、月3ドルでほぼ投げ放題」
という、コスパお化けプランになっています。
個人開発・副業・趣味プロジェクトなら、1ヶ月使ってみるだけで元が取れる人も多いはずです。
やることの全体像
先にやることをまとめておきます。
- Claude Code をインストール
- Z.AI で GLM Coding Plan のAPIキーを発行
- スクリプト or 手動で
~/.claude/settings.jsonを設定 - Claude Codeを起動して、
/statusで 本当にGLM-4.6になっているか確認
特別なフォークやプラグインは不要で、Anthropic互換エンドポイントに切り替えるだけです。
前提条件
- Node.js 18 以上
- ターミナル操作がある程度できる(WSL2でもOK)
- Z.AI アカウント(無料作成可)
- GLM Coding Plan を契約済み(クレカ登録/月3ドル〜)
Step 1. Claude Code をインストール
公式どおり、まずはClaude Codeをインストールします。
# Claude Code をグローバルインストール
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
# 任意のプロジェクトへ移動
cd your-awesome-project
# 起動(※まだ設定前なので本家につながります)
claude
インストール時に権限エラーが出た場合は、以下を試してください。
- macOS / Linux:
sudoを付けて再実行 - Windows:管理者権限のターミナルで実行
💡 Note: この段階では、まだAnthropic本家のAPIを使う前提のままです。後のステップで Z.AI 側に差し替えます。
Step 2. Z.AIでGLM Coding PlanのAPIキーを発行
次に、GLM Coding Plan用のAPIキーを作ります。
- ブラウザで Z.AI Open Platform にアクセスし、Sign up / Login
- Billing / Plan ページから **GLM Coding Plan(コーディング用サブスク)**を選択
- LiteやBasicプランで 月3ドル〜 スタートできます
- メニューの 「API Keys」 を開く
- 「Create API Key」から新しいキーを発行し、コピーしておく
⚠️ 注意: APIキーは GitHub に直書きしないで、できるだけ環境変数や設定ファイル(
.env等)で管理しましょう。
このAPIキーが、後ほど ANTHROPIC_AUTH_TOKEN としてClaude Codeから参照される形になります。
Step 3. GLM Coding Plan とClaude Codeをつなぐ設定
ここが一番のポイントです。方法は2パターンあります。
- 公式スクリプトで自動設定(推奨)
-
~/.claude/settings.jsonを手動編集
3-1. 公式スクリプトで自動設定(macOS / Linux推奨)
一番手軽なのは、公式が配布しているスクリプトを叩く方法です。
curl -O "[https://cdn.bigmodel.cn/install/claude_code_zai_env.sh](https://cdn.bigmodel.cn/install/claude_code_zai_env.sh)" \
&& bash ./claude_code_zai_env.sh
これを実行すると、ホームディレクトリの ~/.claude/settings.json が自動生成(または更新)され、中に必要な設定が書き込まれます。
イメージとしては、こんな内容です(実際はあなたのAPIキーが入ります):
{
"env": {
"ANTHROPIC_AUTH_TOKEN": "YOUR_ZAI_API_KEY",
"ANTHROPIC_BASE_URL": "[https://api.z.ai/api/anthropic](https://api.z.ai/api/anthropic)",
"API_TIMEOUT_MS": "3000000"
}
}
ポイントは2つだけ:
-
ANTHROPIC_AUTH_TOKEN→ Z.AIのAPIキー -
ANTHROPIC_BASE_URL→https://api.z.ai/api/anthropic
これで、Claude CodeからのリクエストはAnthropicではなくGLM-4.6側へ飛ぶようになります。
Windowsの場合
WSL上で同じスクリプトを実行するか、次の「手動編集」パターンを参考にsettings.jsonを自作してください。
3-2. 手動で ~/.claude/settings.json を編集する
スクリプトが使いづらい環境では、直接JSONを書いてもOKです。
ファイルパス: ~/.claude/settings.json (Windowsなら %USERPROFILE%\.claude\settings.json)
{
"env": {
"ANTHROPIC_AUTH_TOKEN": "YOUR_ZAI_API_KEY",
"ANTHROPIC_BASE_URL": "[https://api.z.ai/api/anthropic](https://api.z.ai/api/anthropic)",
"API_TIMEOUT_MS": "3000000"
}
}
すでに settings.json がある場合は、"env" セクションだけ追記/編集してください。
JSONのカンマ付け忘れや重複定義でフォーマットを壊すと、Claude Codeが起動しなくなるので注意です。
Step 4. /status でGLM-4.6になっているか確認する
設定が終わったら、必ずモデルが切り替わっているかを確認します。
cd your-project-directory
claude
起動したら、Claude Codeのプロンプトで /status を叩きます。
> /status
自分の環境(Claude Code v2.0.44)では、例えば次のような出力になりました:
Settings: Status Config Usage (tab to cycle)
Version: 2.0.44
Session ID: d983f4e8-9e88-44b7-bce4-5b939b2d6b07
cwd: D:\work\glm46_test1
Auth token: ANTHROPIC_AUTH_TOKEN
Anthropic base URL: [https://api.z.ai/api/anthropic](https://api.z.ai/api/anthropic)
Model: Default (glm-4.6)
Memory:
Setting sources: User settings, Shared project settings, Local, Command line arguments...
ここで重要なのは Model: Default (glm-4.6) の行です。
-
Model: Default (glm-4.6)になっていれば → ✅ GLM-4.6に切り替わっています -
Model: Default (claude-3.5-sonnet)などAnthropicのモデル名が出ていれば → ❌ まだ切り替わっていません
バージョンによっては Opus -> glm-4.6 のようなマッピング表示になる場合もあるようですが、**「いまどのモデルが選ばれているか」**だけ見ればOKです。
Tips: 使用するモデルのマッピングを変更する場合(上級者向け)
デフォルト設定では、Claude Code内部のモデル変数は以下のようにGLMモデルへ自動的にマッピングされています。
| Claude Code 内部変数 | デフォルトの GLM モデル |
|---|---|
ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL |
GLM-4.6 |
ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL |
GLM-4.6 |
ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL |
GLM-4.5-Air |
もし、これを手動で変更したい場合(例:Sonnet呼び出し時に別のGLMモデルを使いたい場合など)は、settings.json の env セクションにマッピングを直接記述することで上書き可能です。
{
"env": {
"ANTHROPIC_AUTH_TOKEN": "YOUR_KEY...",
"ANTHROPIC_BASE_URL": "...",
// 以下を追加してマッピングを上書き
"ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL": "glm-4.5-air",
"ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL": "glm-4.6",
"ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL": "glm-4.6"
}
}
ただし、モデルマッピングのハードコード(手動固定)は推奨されていません。
これを記述してしまうと、Z.AI側でGLMモデルがアップデートされた際、自動的に最新モデルへ切り替わらなくなるためです。
もし手動設定を行ったあとで、再び最新のデフォルトマッピングに戻したい場合は、settings.json から上記のマッピング設定行を削除してください。
月3ドルで「どこまでできるのか?」
実際に使ってみて、「これが月3ドルはさすがに強い」と感じたポイントを3つだけ挙げます。
1. 「とりあえず投げる」が怖くない
Claude Sonnetをそのまま従量課金で使っていると、「この相談はAIに投げるべきか…?」「トークンもったいないかも…」と考えてしまいがちです。
GLM Coding Planなら、
- 小さいリファクタ
- 設計レビュー
- テストコードやDoc生成
みたいなタスクを とにかく遠慮なく投げられる ようになりました。
**「考える前に投げる」**運用ができるのは、想像以上に快適です。
2. 長いコンテキスト+複数ファイル変更に強い
200Kトークン級のコンテキストがあるおかげで、
- Laravel / Spring Boot / Next.js などの中〜大規模プロジェクト
- 複雑なドメインロジックの修正
- 既存コードベースのレガシーリプレイス相談
などでも、割とちゃんと話が通じます。
「このディレクトリ丸ごと読んで、設計レビューして」「この3ファイルまとめてリファクタリングして」みたいな雑な相談でも、月3ドルなら許容範囲です。
3. Sonnetクラスの性能で「コスパ重視運用」ができる
GLM-4.6は、ベンチマークや実案件報告でも Claude Sonnet 3.5 クラスに近い評価を受けており、
- 型安全・責務分割を意識したコード
- テスト・例外処理・ログ方針まで含めた提案
- ライブラリアップデートやマイグレーションの相談
といった「仕事でちゃんと使う」場面でもかなり戦えます。
このクラスのモデルを月3ドルでほぼ投げ放題と考えると、個人開発〜小規模チームなら十分すぎるコスパだと思います。
よくあるハマりどころと対策
パターン1:AnthropicのAPIキー入力画面から進めない
claude 起動時に Anthropic のAPIキー入力を求め続けられる場合、ANTHROPIC_AUTH_TOKEN または ANTHROPIC_BASE_URL のどちらかが設定されていない可能性が高いです。
対策:
-
~/.claude/settings.jsonを開いて"env"セクションを確認 - スペルミスがないか、URLが正しいか確認
- 一度すべての Claude Code を終了し、新しいターミナルから
claudeを再起動
パターン2:/status でGLM-4.6にならない
/status を叩いても Model: Default (glm-4.6) にならない場合:
- JSONのフォーマットが壊れていて、設定を読めていない
- 別の設定ソース(Enterprise policiesなど)が上書きしている
対策:
-
settings.jsonの"env"だけを残して最小構成にしてみる - 一度
settings.jsonを退避し、公式スクリプトで作り直す -
新しいシェルを開き直してから
claudeを起動する(古いセッションでは環境変数が反映されないことがあります)
まとめ
Z.AI の GLM Coding Plan を使うと、Claude Code のエンジンを GLM-4.6 に載せ替えられます。
- Claude Code をインストール
- Z.AI で GLM Coding Plan に加入し、APIキー発行
-
~/.claude/settings.jsonにANTHROPIC_AUTH_TOKEN/ANTHROPIC_BASE_URLを設定 -
/statusでModel: Default (glm-4.6)になっているか確認
手順はこれだけです。これで、月3ドルでSonnetクラスのコーディング体験がほぼ投げ放題になります。
「Claude Codeは便利だけど、料金がちょっと…」と感じている人は、一度 GLM-4.6 + GLM Coding Plan を試してみる価値はかなり高いと思います。