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DevSecOpsを実現する特権アクセス管理(PAM)の導入戦略を考えてみた

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はじめに:上司から「PAM導入しろ」って言われたんだけど…

最近、上司から突然「DevSecOpsをテーマに、特権アクセス管理(PAM)を導入しろ!」ってミッションが降ってきて、PAMをどうやって導入していくか、その戦略を考えてみました。

DevSecOpsにおけるセキュリティの課題とPAMの役割

DevSecOpsの環境下では、以下のようなセキュリティ課題が顕在化しやすく、PAMがその解決に貢献します。

  1. 自動化されたプロセスにおけるシークレット管理の複雑化:

    • CI/CDパイプライン、Infrastructure as Code (IaC) ツール、コンテナオーケストレーションなど、自動化されたプロセスでは、APIキー、データベース認証情報、クラウドクレデンシャル、SSHキーといった「シークレット」が大量に利用されます。
    • これらのシークレットがコードリポジトリにハードコードされたり、環境変数として不適切に管理されたりすると、サプライチェーン攻撃や内部不正のリスクが高まります。
    • PAMの役割: PAMは、これらのシークレットを一元的に安全に保管し、必要な自動化ツールやサービスに対して、必要な時にのみ動的にシークレットを提供します。これにより、シークレットの漏洩リスクを最小限に抑え、自動化のセキュリティを確保します。
  2. 開発者・運用者の特権アカウント管理の課題:

    • 開発者や運用者は、開発環境、テスト環境、本番環境のサーバー、データベース、クラウドコンソールなど、多岐にわたるシステムにアクセスするための特権を必要とします。
    • これらの特権が過剰に付与されたり、適切に監視・制御されていなかったりすると、誤操作によるシステム障害や、悪意のある内部者による情報窃取・システム破壊のリスクが生じます。
    • PAMの役割: PAMは「最小特権の原則」を徹底し、開発者や運用者に対して、必要なリソースに、必要な期間だけ、最小限の権限でアクセスを許可します。また、特権セッションの監視・記録を行うことで、不正な操作を検知し、インシデント発生時の追跡を可能にします。
  3. コンプライアンスと監査の要件:

    • DevSecOpsの迅速なリリースサイクルにおいても、GDPR、PCI DSS、SOC 2などの規制や内部監査の要件を満たす必要があります。特権アクセスに関する詳細なログや証跡がなければ、これらの要件を満たすことは困難です。
    • PAMの役割: PAMは、すべての特権アクセスに関する詳細な監査ログを自動的に収集・保管し、レポート機能を提供します。これにより、コンプライアンス要件への対応を容易にし、監査時の証跡として活用できます。

DevSecOpsを実現するためのPAM導入戦略

DevSecOpsの文脈でPAMを効果的に導入するためには、以下の戦略的なステップを踏むことが重要です。

ステップ1:現状の評価と要件定義

  • 特権アカウントの棚卸し: 組織内に存在するすべての特権アカウント(人間、アプリケーション、サービスアカウントなど)を特定し、その利用状況、アクセス範囲、重要度を評価します。
  • リスクアセスメント: 特定された特権アカウントに関連するセキュリティリスクを評価し、PAM導入によって解決すべき具体的な課題を明確にします。
  • DevSecOpsワークフローの理解: 開発、テスト、デプロイ、運用における現在のワークフローを詳細に理解し、PAMがどこに、どのように統合されるべきかを検討します。
  • 要件定義: 最小特権の原則、シークレット管理、セッション監視、監査ログ、既存ツールとの連携(CI/CDツール、IaCツール、ID管理システムなど)といった具体的なPAM要件を定義します。

ステップ2:PAMソリューションの選定と設計

  • 機能要件の合致: 定義した要件を満たすPAMソリューションを選定します。特に、自動化されたプロセス向けのシークレット管理機能(API経由でのシークレット取得など)や、開発者・運用者向けのセキュアなアクセスゲートウェイ機能が重要です。
  • スケーラビリティと柔軟性: 変化の速いDevSecOps環境に対応できるよう、将来的な拡張性や、様々な技術スタック(クラウド、コンテナ、マイクロサービスなど)への対応能力を持つソリューションを選びます。
  • アーキテクチャ設計: PAMソリューションを既存のITインフラ(IDP、SIEM、CI/CDツールなど)とどのように統合するか、アーキテクチャを設計します。API連携やプラグインの利用を積極的に検討し、開発ワークフローを妨げないようにします。

ステップ3:段階的な導入と統合

  • パイロット導入: まずは小規模なチームや特定の開発環境でPAMをパイロット導入し、効果と課題を検証します。
  • シークレット管理の自動化: CI/CDパイプラインやIaCツールで使用されるシークレットの管理から着手し、ハードコーディングされたシークレットをPAMに移行します。これにより、自動化プロセスのセキュリティを大幅に向上させます。
  • 開発者・運用者への適用: 開発者や運用者が特権アクセスを行う際の経路をPAM経由に統一し、最小特権の原則を適用します。セッション監視や記録を開始し、可視性を高めます。
  • 既存ツールとの連携強化: ID管理システム(Active Directoryなど)との連携によるユーザープロビジョニングの自動化、SIEMとの連携によるセキュリティイベントの集中管理など、既存のセキュリティツールとの統合を進めます。

ステップ4:運用、監視、継続的改善

  • ポリシーの継続的な見直し: 開発プロセスの変化や新たなリスクに対応するため、PAMポリシーを定期的に見直し、最適化します。
  • 監視とアラート: PAMソリューションから生成されるログを継続的に監視し、異常なアクセスや不審な行動をリアルタイムで検知できるようアラートを設定します。
  • 開発者・運用者への教育: PAMの重要性、安全な利用方法、セキュリティベストプラクティスについて、開発者や運用者への継続的な教育と意識向上活動を行います。
  • フィードバックループの確立: セキュリティチームと開発・運用チームが密接に連携し、PAMの運用に関するフィードバックを共有し、継続的な改善サイクルを回します。

まとめ:PAMでDevSecOpsをもっと強く、もっとスムーズに!

DevSecOpsって、開発のスピードとセキュリティを両立させるための、まさに「最強の組み合わせ」ですよね。でも、その最強さを本当に引き出すには、特権アクセス管理(PAM)が欠かせないんです。PAMを導入すれば、自動化されたプロセスで使う秘密の情報(シークレット)をしっかり守れるし、人間がシステムにアクセスする時も、ちゃんと権限をコントロールできます。調べてみるとかなり重要なことだと実感しました。

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