はじめに
どうも、株式会社Relicの熊田です。
ありがたいことに「AIエージェント開発 / 運用入門[生成AI深掘りガイド]」をご献本いただきましたので書評を書いていきます。
※著者のみのるんさん、大坪さん、塚田さんありがとうございます!!
構成
本書は全8章構成となっており、LLMの基本を軽くおさらいしつつも徐々に様々なフレームワーク(LangGraph、Mastra、Strands Agent etc)を活用したハンズオンや、アーキテクチャ(マルチエージェント、エージェンティックワークフロー、アンビエントエージェント)に手を伸ばし、MCPやA2A、LLMOps、セキュリティなど幅広くカバーしており2025年秋現在AIエージェントに関わる開発シーンにおいて出来る限り最新情報を盛り込む気概をみせた気合の一冊となっていました。
1章: LLMとAIエージェントの基本
2章: LLMのAPIを使ってみよう
3章: AIエージェント開発ツールの紹介
4章: LangGraphでAIエージェントを作ってみよう
5章: MastraでフルスタックのAIエージェントアプリを作ろう
6章: 応用的なAIエージェント開発に挑戦しよう
7章: LangfuseでLLMOpsに挑戦しよう
8章: AIエージェントの安全性おLLM-as-a-Judgeによる評価
付録
誰向けか
- AIエージェントアプリをこれから開発してみようと考えている方
- 普段AIエージェントアプリをLangGraphで開発しているが他のフレームワークもキャッチアップしたい方
- 業務多忙の中、時短で体系的なキャッチアップをしたい方
本書は入門とあるように、ハンズオンとフルカラーの図解が豊富なため初心者の方でも手に取りやすいよう工夫が施されています。
個人的おすすめ章
第5章の「MastraでフルスタックのAIエージェントアプリを作ろう」
個人的には第5章の「MastraでフルスタックのAIエージェントアプリを作ろう」をまず最初に挙げたいです。私は普段の業務でAI/LLM関連支援をメインに携わっており、PoC的なものからβ版や本番とフェーズや大小は様々ですが、クライアントのニーズも多角・複雑化していっています。
PJによっては特に初期フェーズでは私自身が生成AIの力を存分に使ってフルスタックに要件・フロントエンド・バックエンド・インフラと一気通貫でやるなんてケースもあります。
世の中のAI/LLM部署は同じような感じじゃないかなと勝手に思っており、本章ではMastraの強み、Mastra基本機能、ワークフロー構築からWebアプリ統合、Amplifyへのデプロイ、Cognitoによる認証認可と、必要な要素が丁寧な解説と図解込みで盛り込まれています。
第6章の「応用的なAIエージェント開発に挑戦しよう」
次におすすめしたいのが第6章の「応用的なAIエージェント開発に挑戦しよう」です。
AIエージェントやワークフローの開発する際や勉強会などでよく触れるのですが、AIエージェントにおける自律性と制御性はトレードオフの関係にあったり、シングルエージェントorマルチエージェントが有効なユースケースや特有の考慮事項があります。
なんでもかんでもAIエージェントにすればいいというわけでもなく、適切なデザインパターンの使い分けを意識する必要があることをインプットしてもらえる章になっています。
※AIエージェント開発に関する考慮事項は、以下の記事も参考にするとより理解が深まると思います。
また、本章では7月のNew YorkのAWS Summitで発表されたAmazon Bedrock AgentCoreと、同じくAWSが発表したOSS AIエージェントSDKであるStrands Agentsを使ったマルチエージェント構築ハンズオンが掲載されています。まだまだ情報が多くはないツールなので本書でトライしてみるのもおすすめです。
まとめ
多くのフレームワークによるAIエージェントやワークフロー、LLMOpsなどについて手を動かしながらインプットが可能になっており、自身の環境において何が最適かを検討する際の手助けとなる1冊に仕上がっているなと感じました。
おわりに
本記事では、『AIエージェント開発/運用入門』の書評をご紹介します。私自身、SBクリエイティブ社の「深堀りガイド」シリーズAmazon Bedrock生成AIアプリ開発入門で共著を経験したからこそ分かるのですが、本書の隅々から著者3名の並々ならぬ努力と熱意が感じられます。全てを熟読したわけではありませんが本書はこれからAIエージェント開発を始めたい方にとって間違いなく良書となる1冊だと思います!