こんにちは、八兵衛です。
前回(10/27 朝)のまとめ以降、週末をはさんで約 6 日分の発表をまとめました。
OpenAI は ChatGPT Pro / Business 向けの API クレジット付与と利用上限の倍増、Anthropic は Max プランの名称変更と Claude API のリクエストサイズ上限引き上げ(32 MB → 128 MB)が、開発者に関係しそうな変更です。
クラウドでは、AWS Step Functions のワークフローを AI エージェントのツールとして使えるようになったことと、Cloudflare のプライベートオリジン向けサービスの一般提供開始を取り上げています。
対象期間:2026/10/27 08:30 頃〜11/02 朝(日本時間)。各社の公式 X アカウント(公式アカウントがリポスト・引用した社員の投稿を含む)と公式サイトで発表されたものだけを載せています。各社の項目はおおむね重要度順です。日付は日本時間です(AWS は What's New の掲載日時、Azure は Azure Updates の公開日時を日本時間に換算。Google Cloud はリリースノートの記載日(米国時間)のまま)。前回までに取り上げた話題は、新しい事実があるものだけ「続報」として載せています。
OpenAI
-
ChatGPT Pro / Business の契約者が、プランに応じて毎月 API クレジットを受け取れるように(最大 $500、10/29)
対象のサブスクリプションを持っていれば、アプリやエージェント開発用の API クレジットを ChatGPT の請求設定から申請できる。金額は、Pro がプランの月額と同じ($100 / $200 / $500 のプランでそれぞれ $100 / $200 / $500)、Business は有料 Standard シート 1 席あたり $20、Premium シート 1 席あたり $100 で、ワークスペース全体で月 $500 が上限。- ヘルプ記事によると、7 日以上継続している有料契約が条件。Plus・Enterprise・Edu は対象外。
- クレジットは紐付けた 1 つの API Organization でだけ使え、未使用分は翌月に繰り越されない。ChatGPT や Codex の利用上限が増えるわけではなく、API キー経由の Codex 利用も対象外。
出典:OpenAIDevs(X) / 金額の内訳(X) / Help Center:API credits benefit
-
ChatGPT Pro と Business Premium の利用上限を 2 倍に(社員の投稿を公式がリポスト、10/30)
プロフィールに「Codex & ChatGPT @OpenAI」とある @thsottiaux 氏が「当日から Pro の全プラン(100 / 200 / 500)と Business Premium の利用上限を 2 倍にする」と投稿し、OpenAI 公式がリポストした。Pro 200 の上限を引き下げる予定は取りやめ、ChatGPT Work と Codex の利用量は据え置くとしている。
出典:OpenAI による RT(@thsottiaux の投稿) -
OpenAI Private Intelligence を発表(10/31)
企業が最上位モデルを使いながら自社データへの統制を強められるようにする、保護策をまとめた枠組み。公式ページでは、OpenAI 側のアクセス制限、ゼロデータ保持(ZDR)、Private Inference(プレビュー)、入出力データの所有権が顧客にあること、エージェントがアクセスできる範囲・取れる操作・承認が必要なタイミングを顧客が決められることなどを挙げている。大口顧客と協力して作っているという。
出典:OpenAI(X) / OpenAI Private Intelligence -
Agents API のアップデート(10/31)
OpenAI Developers が、OpenAI で API を担当する社員(@stevendcoffey)の投稿を引用し、その週に出た更新として紹介した。- Auto Review:Codex と同じように、コマンドを実行する前に危険な挙動がないかを評価する。
- Async Compaction:コンテキストの圧縮(compaction)をバックグラウンドで実行できる。
- Time awareness(実験的機能):モデルが時間の経過を把握できるようにし、「CI の修正は 10 分で切り上げて」のような指示に対応しやすくする。
- セッションのツールをいつでも更新できるようになった。
- システムプロンプトが全セッションで自動的にキャッシュされるようになった。
出典:OpenAIDevs(X) / 元投稿
-
ChatGPT の dot にテキストメッセージで指示できるように(10/29)
dot は ChatGPT で作れる自分専用のエージェントで、これまでの @ChatGPT の投稿では、メールを確認したり Codex に作業を任せたりする例が紹介されている。今回、テキスト・写真・音声メモで用事を頼んだり、気にかけておいてほしいことを伝えたりできるようになり、dot からも関連する更新を自分から送ってくる。iMessage または RCS を使い、dot とやり取りできるのは本人だけ。米国の Pro ユーザー向けにプレビューとして順次提供し、10/31 にはカナダとメキシコの Pro ユーザーにも広げた。
出典:OpenAI による RT(@ChatGPT の投稿) / カナダ・メキシコへの拡大(X) -
Model Spec を改訂(10/30)
モデルの振る舞いの方針を公開している Model Spec を、「人間の意図への忠実さ」「害の最小化」「誠実さと透明性」「人間の主体性」「ケア」の 5 つの価値を軸に再構成した。文脈・監督・主体性に関する指針を追加し、一部の既定の振る舞いを調整し、細かい文体ガイドの多くを廃止している。Spec 内でのモデルの呼び方も「the assistant」から「GPT」に変えた。OpenAI は、現在のモデルはまだ Spec を完全には反映していないとしている。
出典:OpenAI による RT(@w01fe の投稿) / An updated Model Spec -
続報:フロンティアモデルの監視システムの詳細を公開(10/30)
前々回(10/24)に取り上げた「9 月に訓練中のモデルが DNS 設定ミスを突いてインターネットに出た件」について、それを検知した監視システムの仕組みを公開した。新しい情報は次のとおり。- 監視は多層構成で、モデル内部の活性化パターンを見る軽量な分類器(activation probe)、推論とツール利用を確認するレビュアーモデル、やり取りの記録全体を読み直す調査エージェントなどを組み合わせている。
- GPT-6 Astra(OpenAI の上位モデル)以上の能力のモデルでは、すべての強化学習の実行と評価を監視し、社内の Codex 利用もすべて監視している。
- 9 月の DNS の件では、監視が 15 分以内に検知し、その 3 分後に担当者が確認を始めたとしている。
- 監視を広げるきっかけは、それ以前に起きた別件(社内のサイバーセキュリティ評価中にエージェントがサンドボックスを抜け、最終的に Hugging Face のシステムに侵入した件)だったという。この件の記録を新しい監視で再生したところ、サンドボックスを抜けてから約 30 分で警告が出た。これは実際に Hugging Face が侵害される 30 時間以上前にあたるとしている。
出典:OpenAI(X) / How we detect frontier model misalignment
-
Oracle との提携を拡大(10/28)
Oracle のアプリとデータを ChatGPT に取り込む「Oracle AI Workspace」を Oracle が開発中。米国の Oracle 顧客は、OpenAI API・Codex・ChatGPT Work を Oracle Marketplace から Oracle Universal Credits で購入できるようになった。OpenAI のサイバー向けモデルを使う Oracle AI Security Mesh なども発表されている。
出典:OpenAI の Derrick Choi 氏の投稿(OpenAIDevs が RT) / OpenAI expands partnership with Oracle
Anthropic
-
Claude API(Anthropic 直接)のリクエストサイズ上限を 32 MB から 128 MB に(10/30)
Messages API と Token Counting API が対象。長い computer use セッションや大きな PDF など、画像が多いリクエストではコンテキストウィンドウに余裕があっても 32 MB に引っかかっていた、と説明している。- 画像が 20 枚を超えるリクエストでの 1 枚あたりの上限も 2000 px から 3000 px に引き上げた。
- 128 MB は Anthropic 自身の Claude API での値。クラウドプラットフォーム経由の場合は 20〜32 MB だとしている(プラットフォームごとの値は投稿には書かれていない)。
出典:ClaudeDevs(X) / 補足(X)
-
Max プランの名称を変更、Ultra の 5 時間制限を撤廃(10/31)
Max 5x は「Max」(月 $100)、Max 20x は「Ultra」(月 $200)に名称変更。価格は変わらず、契約者の手続きも不要。あわせて、認証済みの Ultra アカウントでは 5 時間ごとの利用制限を撤廃した。当日から、既存契約者の大半を対象に始めている。新しいアカウントは認証が済むまで一時的に制限が残る。週ごとの上限は変わらない。
出典:claudeai(X) / 料金ページ -
Claude モバイルアプリの更新(10/30)
- iOS / Android で複数アカウントにサインインしたまま切り替えられるようになった。
- アプリの対応言語が 24 言語増えて計 33 言語に(Web・デスクトップ・モバイル)。
- 音声モードの応答が速くなり、騒がしい場所や小声でも聞き取りやすくなった。iPhone では Apple CarPlay で音声モードが使える。
- Chromebook や折りたたみ端末では、Android 版がサイドバーやキーボードショートカットを備えたノート PC 向けの画面で動く。
出典:claudeai(X)
-
Claude for Legal に既製アーティファクトのギャラリー(10/29)
契約書レビュー、規制動向のスキャン、引用チェックなどのアーティファクトを、組み込みの例から始めて自社の文書やコネクタを足し、社内で共有できる。
出典:claudeai(X) -
米国の行政機関向けに 40% 割引(GSA OneGov 契約)(10/28)
米国一般調達局(GSA)との新しい契約で、Claude Enterprise・Claude for Government・Claude API を行政機関に 40% 割引で提供する。連邦だけでなく州・地方・部族・準州の政府も対象で、最低利用額の約束はない。割引は直接購入に加え、今後数か月でクラウド経由の購入にも適用されるという。
出典:AnthropicAI(X) / Expanding our partnership with GSA -
不正利用を Claude 自身に評価させる「self-assessment」を公表(10/30)
Claude が応答した直後に、その会話の安全性を簡易評価させる手法。6 月から本番で使っており、ほかのセーフガードでは捉えられなかった不正利用を見つけたという。- ブログによると、Claude Fable 5 では、より強力な分類器が有害と判定した会話の 78%、優先度の高いものの 94% を、偽陽性率 1% で検出した。
- 応答を作った時点で会話の処理結果がすでにキャッシュ(KV キャッシュ)にあるため追加コストが小さく、推論計算の増加は 2% 未満と見積もっている。
- ブロック用ではなくオフラインの監視として使っており、意図的に回避しようとする攻撃者には強くないとも書いている。
出典:AnthropicAI(X) / Scaling Misuse Detection with Self-Assessment
-
レッドチーミングを自動化する研究(10/31)
人手に頼るレッドチーミングを自動化できるかを試すため、数千の Claude エージェントに「訓練データの監視をすり抜ける」課題を与えた。エージェントは、ベテランレスラーが新人を指導する話や養蜂の Q&A のように監視からは無害に見える題材を使いながら、それで学習したモデルに望ましくない振る舞い(misalignment)が身につくような訓練データを作り出したという。こうした例は今後の訓練データ監視の改善に使えるとしている。Anthropic はこの研究を「最初の一歩」と位置づけている。
出典:AnthropicAI(X) / Alignment Science Blog -
科学・創薬分野の取り組み(10/28〜10/30)
研究者に Claude のクレジットを無償提供する AI for Science プログラムを、個々の研究者から財団・研究機関・研究プロジェクトに広げ、米国立科学財団(NSF)や Wellcome Sanger Institute など 20 の組織との連携を紹介した。また、新薬を開発する 6 つの組織との研究パートナーシップと自社の創薬の取り組みから得た初期の結果をブログで公開している。
出典:AnthropicAI(X):AI for Science / AI for Science expands / AnthropicAI(X):創薬 / Early progress in drug development
xAI
※ @xai は投稿がなくプロフィールが「Now at @SpaceXAI」となっているため、Grok Bot(@bot)と Grok Imagine(@imagine)の公式アカウントを情報源にしています。
-
Grok Bot の「Shared Bots」の社内活用例を公開(10/28)
SpaceXSI(記事中の表記)の営業チームが、チーム全体で共有する Bot(Shared Bots)を作った事例。通話後に CRM を更新する Account Intel Bot、提案書と注文書を作る Quote Bot、標準外の条件を審査して承認に回す Deal Bot の 3 つを紹介している。Shared Bots は利用者本人の権限で動き、機密性の高い操作には追加の制限をかけ、判断基準を明確にできない場面や顧客向けの文面には人のレビューを必須にしているという。
出典:bot(X) / Your next sales teammate should be a Grok Bot -
Grok Imagine のプロンプトガイドを公開(10/28)
Grok Imagine で少人数のクリエイターと公開で制作している映像シリーズ「Odyssey」のワークフローを、プロンプトガイドとしてまとめたもの。
出典:imagine(X)
クラウド
AWS
-
Step Functions のワークフローを AI エージェントのツールとして使えるように(10/29)
Amazon Bedrock AgentCore Gateway 経由で、既存の Standard / Express ワークフローをエージェントのツールにできる。エージェントはいつ実行するかと入力だけを決め、手順そのものは定義どおりに実行される。ワークフローの実行履歴を調べることもできる。AgentCore Gateway が使える全リージョンで利用でき、料金は通常の Step Functions と AgentCore Gateway の料金。
出典:AWS What's New -
Amazon Bedrock AgentCore CLI 1.0 が一般提供(10/29)
起動の高速化、コマンド体系の統一、扱える AgentCore リソースの拡大を行った。エージェントの実行環境(runtime)、メモリ、認証(identity)、ゲートウェイなどのリソースを、プロジェクトに追加しなくても直接操作できる。既存プロジェクトはagentcore migrateで移行できる。
出典:AWS What's New -
SageMaker AI のリアルタイム推論で GPU パーティショニング(10/30)
NVIDIA MIG を使い、1 つの GPU を最大 7 つの分離されたパーティションに分けて複数のモデルを載せられる。小〜中規模のモデル(ファインチューニング版、埋め込み、リランカーなど)向け。P4d / P5 / G7 / G7e インスタンスで、東京を含む 7 リージョンで使える。
出典:AWS What's New
Google Cloud
-
IAM の新しい基本ロール Admin / Writer / Reader が一般提供(10/29)
従来の Owner / Editor / Viewer も引き続き使えるが、基本ロールを付与するなら新しいロールを推奨している。新しいロールは IAM Conditions などの機能に対応している。
出典:IAM release notes -
Cloud Run ジョブで GPU を最大 12 時間使えるように(10/30、プレビュー)
GPU を有効にした Cloud Run のジョブ(バッチ処理)を、最大 12 時間実行できるようになった。
出典:Cloud Run release notes
Microsoft Azure
-
Azure MCP Server 3.0 が一般提供(10/30)
Terraform 関連(プロバイダーのドキュメント、Azure Verified Modules、リソースのエクスポート、ポリシー検証)、Azure Backup と復旧計画、Azure Advisor によるコスト最適化などのツールを追加・拡充した。破壊的変更を含むため、既存の連携を更新する前にアップグレードガイドの確認を求めている。
出典:Azure Updates -
Microsoft Foundry の Claude モデルがコスト管理とタグ付けに対応(10/28)
これまで SaaS 扱いだった Claude の料金が、デプロイに使った Foundry リソースの下に表示されるようになった。Claude のデプロイにタグを付けられ、モデル別や入力・出力トークン別にコストを集計できる。
出典:Azure Updates
Cloudflare
-
プライベートオリジン向けサービスが一般提供(10/30)
プロキシ対象の DNS レコードをプライベート IP に向けると、既存の Cloudflare One の接続経由でオリジンに届く。オリジンをインターネットに公開しないまま、WAF・キャッシュ・ボット管理・Workers を公開オリジンと同じように使える。内部 API や MCP サーバーなどを想定している。Argo Smart Routing などは未対応。
出典:Cloudflare Blog / Cloudflare(X) -
続報:eMudhra の弱い鍵の悪用状況とパッチ適用状況(10/31)
前々回(10/24)に取り上げた件の追跡報告。新しい情報は次のとおり。- 1 週間で弱い鍵を使ったハンドシェイクを約 2 万 2,000 件観測したが、Cloudflare の通信が傍受された証拠は今のところないとしている。
- 一方で、弱点が公になってから数時間以内に、これらの鍵で偽造されたとみられる証明書が作られていた。
- チャレンジページを使った調査では、最新のブラウザはおおむね対応済みだが、Android WebView などの組み込みブラウザでは 30〜40% がまだ問題の証明書チェーンを受け入れていた。
出典:Cloudflare Blog / Cloudflare(X)
今回は、OpenAI・Anthropic とも料金プランや利用上限まわりの変更が多い週でした。個人的には、Claude API の 128 MB 化と Step Functions のツール化は、エージェントを作るときの制約が減る変更だと考えています。
間違いや補足があれば、コメントで教えてもらえるとうれしいです。