ハイライト
- OpenAI が「GPT-6.1 Terra」を公開:computer use を強化した高速・低価格モデル。標準 API 価格(入力・出力)は GPT-5.6 Terra 比で 50% 安い。Amazon Bedrock でも一般提供が始まった。
- OpenAI、自社モデルが数学・CS・物理で 3 つの成果を得たと発表:局所平滑化予想の証明、指数時間仮説(ETH)の反証などを主張。いずれも OpenAI 側の発表で、外部の研究者による検証はこれから。
- Anthropic が IPO に向けて SEC に S-1 を提出:Nasdaq Global Select Market にティッカー「ANT」で上場予定(株数・価格帯は未定)。
- Workers AI で KV キャッシュがリクエスト間で混線するインシデント:Cloudflare が GLM-5.3 モデルで起きた件を SGLang と協調開示。極端に長いコンテキストという特定条件下で発生した。
対象期間:2026/10/24 15:00 頃〜10/27 朝(日本時間)。前回まとめ以降に各社公式 X アカウント・公式サイトで発表されたものだけを載せています。日付は日本時間です。AWS は What's New の掲載日時(Posted on)、Azure は Azure Updates の公開日時を日本時間に換算しています。Google Cloud はリリースノートの記載日(米国時間)のままです。
OpenAI
-
GPT-6.1 Terra をリリース(10/27)
視覚的な推論と精度の高い computer use(画面を見てソフトウェアを操作する機能)を強化し、文章もより自然になった高速・高効率モデル。Plus / Pro / Enterprise / Edu の全ユーザーが、ChatGPT Work と Codex で当日から使える(X の告知では「rolling out now」)。API ではgpt-6.1-terraとして利用可能。- API 標準価格は入力 $1、キャッシュ入力 $0.05、出力 $5(いずれも 100 万トークンあたり)。標準 API 価格は GPT-5.6 Terra や GPT-6.1 Sol より 50% 安いとしている(AWS の告知では「入力・出力トークン価格が少なくとも 50% 安い」)。
- OpenAI の公称ベンチマークでは、Agents' Last Exam(業務ソフトウェアを使うエージェントのベンチマーク)の medium reasoning effort 時に、GPT-6 Astra と同等の性能をトークン単価 1/10 で出した。
- 同じく OpenAI の公称値では、タスクの完了は GPT-6 Astra や GPT-6.1 Sol より平均 3 倍以上速い。
- コンテキストウィンドウは 1,050,000 トークン、最大出力 128,000 トークン。ツール呼び出しには Responses API が必要。
- OpenAI の Preparedness Framework では、サイバーセキュリティ分野で「Critical」の閾値に該当すると評価された。GPT-6 Astra 向けに作った保護策をそのまま適用している。
- 高度なリサーチや複雑なコーディングには、引き続き GPT-6.1 Sol / GPT-6 Astra を推奨。
出典:OpenAI(X) / Introducing GPT-6.1 Terra / モデルドキュメント
-
OpenAI、自社モデルが数学・CS・物理で 3 つの成果を得たと発表(10/27)
OpenAI は、社内モデルが次の 3 つを出したと主張している。いずれも OpenAI 自身の発表で、外部の研究者による検証はこれから。- 数学:全次元での局所平滑化予想を証明したと主張。これにより、全次元での掛谷予想と Stein の制限予想も解決するとしている。
- 計算機科学:指数時間仮説(ETH)を反証したと主張。
- 物理:QCD や標準模型の統一的な完成を含む、4 次元の場の量子論の存在を数学的に厳密に証明したと主張。純粋な Yang–Mills 理論の存在証明も含むという。OpenAI はこれを、クレイ数学研究所のミレニアム懸賞問題「量子 Yang–Mills 理論」の「一部」と位置づけている。
数学と計算機科学の 2 件は、自然言語の証明と Lean による形式化を GitHub で公開済み。検証の進め方は分野ごとに違う。 - 数学:外部グループは置かず、AI の出力を公開し、研究者がそれぞれ自由に検証・解説する形。
- 計算機科学:Russell Impagliazzo 氏・Ramamohan Paturi 氏(UC San Diego)と Ryan Williams 氏(MIT)が率いる外部グループが検証と解説を担う。コミュニティにも公開の場での検証を呼びかけている。
- 物理:David Gross 氏が率いる外部グループが担当。AI が出した資料の公開は保留し、グループ自身が解説を書く。
OpenAI はこれらの成果について学術上の功績を求めないとしている。
出典:OpenAI による RT(OpenAI の研究者 @danintheory の投稿) / Working with academic communities to build scientific understanding
-
Codex CLI 0.164.0 にプリセット機能(10/25)
よく使うプロンプトと、モデル・推論レベルなどの設定をまとめて保存し、作業中に「Ctrl+X → P」または/presetsで呼び出せる。元投稿はプロフィールに「Codex CLI @OpenAI」とある Felipe Coury 氏のもので、OpenAI Developers がリポストした。
出典:OpenAIDevs による RT / 元投稿
Anthropic
-
IPO に向けて SEC に S-1 登録届出書を提出(10/26)
Anthropic, PBC がクラス A 普通株式の新規株式公開について S-1 を提出。Nasdaq Global Select Market にティッカー「ANT」での上場を予定しており、売り出し株数と価格帯はまだ決まっていない。登録届出書はまだ効力を生じていない。
出典:AnthropicAI(X) / Anthropic files S-1 with the SEC -
Claude for Nonprofits プラグインを公開(10/27)
約 30 の非営利団体と一緒に作ったスキルとコネクタのセットで、資金調達(助成元の調査、提案書や報告書の作成、寄付者との関係維持)、マーケティング、採用、理事会運営などを支援する。最初に使う「組織マップ」スキルでは、寄付者データ・助成金ファイル・財務・規程などをどこに保管しているかを Claude が質問し、メモリが有効ならその一覧(マップ)を保存する。他のスキルはこのマップを参照して情報の場所を判断する。Team / Enterprise の非営利プランには追加料金なしで自動インストールされる。Claude を使う非営利団体は 2 万 5,000 を超えたという。
出典:claudeai(X) / Expanding Claude for Nonprofits
xAI
※ xAI 製品の情報源は Grok Bot(@bot)と Grok Imagine(@imagine)の公式アカウントです。
今回は新しい発表なし。
クラウド
AWS
-
OpenAI GPT-6.1 Terra が Amazon Bedrock で一般提供(10/27)
Bedrock API から直接呼べるほか、ChatGPT Work や Codex で Bedrock 上のモデルを使うよう設定することもできる。コンテキストウィンドウは入力最大 100 万トークンで、テキストと画像の入力に対応。
出典:AWS What's New -
AWS KMS が耐量子暗号の ML-KEM に対応(10/26)
NIST FIPS 203 の ML-KEM-512 / 768 / 1024 をサポート。Encapsulate / Decapsulate API で共有秘密を確立でき、「今収集して後で解読する」攻撃への対策になる。中東(UAE・バーレーン)と中国以外の全リージョンで利用できる。
出典:AWS What's New -
IAM Identity Center の信頼できる ID の伝播がリージョン間に対応(10/26)
ユーザーの ID を、別リージョンで動く AWS サービスにも引き継げるようになった。追加料金なし。
出典:AWS What's New -
EC2 Auto Scaling で Launch Before Terminate をアカウント単位で既定化(10/26)
インスタンスを入れ替えるとき、新しいインスタンスがヘルスチェックに通ってから古いものを終了する動作を、アカウント内のすべての Auto Scaling グループの既定にできる。対象はインスタンスの更新(instance refresh)、リバランス、ヘルスチェックによる置き換え、最大インスタンス存続期間による置き換えなど。設定は新しいPutAccountSetting/DescribeAccountSettingsAPI で管理でき、全リージョンで追加料金なし。
出典:AWS What's New
Google Cloud
-
Apigee X:MCP ツール引数の送り先を変更(10/26)
OpenAPI でin: header/in: cookieと宣言された引数を、クエリ文字列ではなくヘッダー / Cookie としてバックエンドに送るようになった。- cookie 引数を 1 つ以上含むツール呼び出しでは、
Cookieヘッダーが宣言済みの cookie パラメータだけで丸ごと置き換えられ、それ以外の Cookie は送られない。バックエンドが必要とする Cookie はin: cookieとして宣言しておく必要がある。 - デプロイ済みの MCP プロキシは、設定を再生成する(新しいリビジョンをデプロイする)まで従来の動作のまま。
- 対象は Apigee X(全リージョン)。Apigee hybrid についての記載はない。
出典:Apigee release notes(2026/10/26)
- cookie 引数を 1 つ以上含むツール呼び出しでは、
-
Cloud Armor にセキュリティポリシー条件のビジュアルビルダー(10/26)
マッチ条件を画面上で組み立てられる新しいツール。マルチクラウドやハイブリッド構成のバックエンドを守るルール作りに便利だとしている。
出典:GoogleCloudTech(X)
Microsoft Azure
-
Network Watcher の VNet フローログのフィルタリング、Azure Updates で一般提供として告知(10/27)
IP アドレス、ポート、プロトコル、暗号化の状態、フローの状態、通信方向などの条件で、ログに残すフローを絞り込める。PowerShell に加えて Azure portal からも設定できるようになった。なお、執筆時点では Microsoft Learn のドキュメントにまだ「プレビュー」の表記が残っている。
出典:Azure Updates / Microsoft Learn:Filter virtual network flow logs
Cloudflare
-
Workers AI の GLM-5.3 で、KV キャッシュがリクエスト間で混線したインシデントを報告(10/27)
2026/8/27〜9/9(UTC)、68 万 1,280 トークンを超える長いプロンプトへの 155 件の応答に、同じモデルへ少し前に送られた他の顧客のリクエストのデータが混ざっていた。極端に長いコンテキストという特定条件下でのみ起きた問題で、影響は GLM-5.3 だけだったという。- Cloudflare は、prefill 側の KV キャッシュ容量(68 万 1,280 トークン)がコンテキスト長(1,048,576 トークン)より小さいことをリリース前から把握していた。収まらないプロンプトはエンジンがエラーで拒否する想定だった。
- ところが SGLang の prefill/decode 分離モードにバグがあり、拒否されたはずのリクエストがそのまま処理され、以前のリクエストのデータが残ったキャッシュを使って応答が生成されていた。
- 意図的な悪用の証拠は見つかっていない。分離構成で SGLang を運用している事業者には v0.5.22 以降へのアップデートを推奨している。
出典:Cloudflare Blog / Cloudflare(X)