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バックアップとしての海外の気象衛星

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台風接近中なのに気象衛星トラブル

2025年10月12日0時30分頃から静止気象衛星「ひまわり9号」の観測に障害が発生し、全ての衛星画像の提供ができない状態になった。

その後、可視画像について8時20分から「ひまわり8号」の観測による画像提供を開始。
引き続き、赤外画像等について「ひまわり8号」の観測への切り替え作業を実施中とのアナウンス。

バンド13などの赤外画像についても16時30分頃の画像からほぼ正常な配信がなされるようになり、気象庁発表では22時00分から提供開始とアナウンスがあった。

なお、赤外画像の安定提供にここまで時間かかった理由として、気象庁は第2報で「赤外画像等については、正常な観測データの提供には観測機器を所定の温度まで冷やす必要があり、この冷却作業にさらに時間を要することから、提供開始までしばらく時間を要する見込み」と解説している。
ちなみに赤外画像センサーは-210℃くらいに冷却して運用しているらしい。

折しも台風23号が伊豆諸島へ接近中。
ニュースでは「台風の観測には雨雲レーダーなどの観測データやスーパーコンピュータでの予測などを使って対応しているということで、「警報や注意報の発表に支障はない」」と気象庁の見解を伝えていた。

確かに台風は雨雲レーダーが捕捉できる領域を進んでいる。
とはいえ、赤外画像が無い場合、夜間の解析に少なからぬ影響が生じたのではないか。

海外の衛星画像利用も念頭に?

実は、日本上空を捉えている気象衛星はひまわりだけではない。中国や韓国も自国の経度に合わせた気象衛星を上げている。そして両国とも衛星画像を公開している。

中国 FY-2

韓国 GEO-KOMPSAT-2A

これらのサイト、気象予報士はブックマークしておいて損はない。

特に韓国の衛星画像は可視・赤外・水蒸気等16バンドの画像が10分間隔で公開されており(2019年7月まで遡れる!)、解像度や座標の問題はあれど気象状況を十分把握可能なレベルである。
例えば、ひまわりの赤外画像として代表的に示されているものは10.4μmで、GEO-KOMPSAT-2AだとIR(10.5μm)が近く、可視画像はVIS(0.64μm)が近い。

気象庁が「警報や注意報の発表に支障はない」と明言した一因として、トラブル時には韓国など海外の衛星画像をある程度参考にできるということがあったのではないか。

なお、次号機として予定されているひまわり10号は運用開始が当初2029年度予定だったのが、大気の3次元観測機能『赤外サウンダ』開発の遅れにより2030年度予定へ延期となっている。

ひまわり8・9号の状況次第では、ひょっとしてひょっとすると一時的に韓国の気象衛星画像で代替せざるを得なくなるのかもしれない。
とはいえ、韓国の気象衛星は現状GEO-KOMPSAT-2Aが2029年までGEO-KOMPSAT-2Bが2030年までの2機体制で、ひまわり10号の運用予定からするとぎりぎり。
その後はGEO-KOMPSAT-5が2031年から1機体制となる見込みのようで、将来的には日韓間で相互バックアップをするような裏密約があるのかとも思わされる。

国際的なバックアップ体制のありがたさを感じるとともに、日本の技術力や予算配分に関して危機感を抱かざるを得ない。

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