Affinity by Canvaの新機能
これまでAffinity PublisherではEPUB文書を作ることができなかったが、この度Affinity by CanvaとなってEPUB出力機能が追加された。
例えば、以下の動画でEPUBファイルの作り方について解説がなされていた。
この動画も参考にしながらEPUB文書を作ってみる。
なお、流し込む文書は夜明け前 第一部上(島崎藤村)のテキストファイル(ルビあり)から、ルビ等を削除したテキストを使用した。
新規文書の作成と設定
動画ではA5サイズ程度の大きさが推奨されていたので、A5サイズで新規文書を作る。
紙の印刷物と併用したければCMYKプリセットを選んでもよいが、EPUBのみであればRGBプリセットでよいだろう。マージンも適宜設定しておく。

レイアウトスタジオになっていなければレイアウトスタジオに切り替え。
フレームテキストツールでページいっぱいにフレームテキストを作成。

特にスタイルを適用しない場合、フレームテキストの設定項目とベーステキストスタイルのどちらかが適用されてしまうので、どちらの設定も行っておく。
フレームテキストを和文フォント・文字色黒にする。
CMYKで文書を作った場合は、パレット名右側のスウォッチからC0M0Y0K100を選ぶ。


続いて、テキストスタイルパネル(無ければ、ウィンドウ→テキスト→テキストスタイルから出す)のベースを右クリック。
ベースを編集。

テキストの流し込み
ここまで準備ができたら、テキストを流し込む。
テキストエディタなどからコピーアンドペーストしてもよいし、フレームテキストを選んだ状態でファイル→配置からファイルを指定してもよい。
1ページに収まらない場合、右下に赤い▷マークが出るので、このマークをShiftキーを押しながらクリックすると、最終ページまで自動的に作られて文章が流し込まれる。


見出しスタイルの設定と適用
次に、見出しスタイルの書式設定をする。
テキストスタイルパネルのスタイル名(頭の¶は段落スタイルを意味する)を右クリック。
見出し1はゴシック太字に。

見出し2は初期設定のまま(ベースのフォントに対して太字)とした。

今回は作品名を見出し1に、巻名・作者名・章名を見出し2に設定した。
設定したい段落にカーソルを合わせ、テキストスタイルパネルのスタイル名をクリックするとそのスタイルが設定される。
章と章の間は改ページを挟むことにする。
テキスト→挿入→区切り→改ページ。

この見出し2に設定した段落がそのまま目次作成に使用される。
目次の作成
目次を挿入した箇所以降で、見出しに設定されている段落が自動的に拾い上げられ、目次が作成される。

ここまでの作業でページ数が増えているため、再び暫定最終ページの赤い▷マークをShift+クリックして最終ページまで作っておく。


エクスポート
EPUBエクスポートはファイル→エクスポート→エクスポートのダイアログから。
まずはFix Layoutの場合。
ドキュメント設定・小サイズ・高品質は用途によって選択。
今回は小サイズを選ぶ。
カバーページは、なし・ページをラスタライズ(1ページ目)・画像ファイルを使用の3つから選べる。
今回は画像ファイルを選択。

設定ができたら書き出し→ファイル名指定。
リフロー型も設定内容はほぼ同様である。
カバーページも同様に3種類から選べるが、リフロー型の場合のみAltテキストの設定ができる。

EPUBを開く
macだとApple Booksが最初から入っているため、EPUBファイルがそのまま開けるが、WindowsだとEPUBビューアが入っていない。
今回はThe calibre e-book readerとSumatraPDFで開いてみた。
Affinityのページ数と一致した形でEPUBが作成される。
目次のリンクも機能する。ただし、ブックマーク(電子書籍側の目次)には目次情報が反映されていない。
The calibre e-book readerの表示が一般的な電子書籍ビューアのものに近いと思うが、A5サイズだとやや小さいかもしれない。
このあたりは目的となる電子書籍ビューアや環境(PC向け、タブレット向け等)に応じて調整するとよい。
Fixed Layoutと違い、最初にカバーページの画像が挿入されている。
目次はAffinity作業時のページ数が表示されているが、リフローなのでページ数に意味はない。手動でページ数を削除することが可能であるため、書き出し前にページ数を削除するとよい。
目次のリンクが機能していること、ブックマークに目次情報が反映されていないこともFixed Layoutと同様である。
章と章の間のページ区切りは無視される。
画像を挿入する
テキストと目次が入ったEPUB文書を作れることが確認できたので、最後に画像を挿入してみる。
画像の挿入方法は大きく分けると2種類あり、一つはフレームテキストの文字内に貼り付ける方法(インライン画像)、もう一つはオブジェクトとして貼り付ける方法である。
インライン画像とするには、まずドラッグアンドドロップやファイルメニューの配置を使って画像をオブジェクトとして貼り付け、サイズを調整した後、切り取り。

フレームテキストツールを選び、挿入したい位置にカーソルを移動して貼り付けを行う。

(インライン画像でも、いったんフレームテキストの選択を解除すれば、画像のみ選択後にサイズ変更が可能。)
一方、オブジェクトとして貼り付けた画像はテキストの回り込みが可能である。
画像を選択し、テキスト→テキストの回り込み→テキストの回り込み設定を表示。

リフロー型はインライン画像しか挿入されない
上記文書をEPUBに書き出した結果を見てみよう。
まずはFixed Layoutの場合。
Affinityの編集画面と同様の配置・回り込みとなっている。




続いてリフロー型。インラインとして貼り付けた最初の画像は出てきたが、その他3つの画像は挿入されなかった。


リフロー型でEPUB書き出しをしたい場合、画像はインラインで貼り付けないといけない。
あくまで最低限の流れ、色々試してほしい
以上のような流れで、最低限のEPUBファイルを作ることができた。
本格的にEPUBファイルを作ってみたのは初めてであり、解説が十分でない点があると思われる。間違い等あれば指摘いただきたい。
















