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【受験レポート】カラーユニバーサルデザイン検定3級

Last updated at Posted at 2025-09-24

ユニバーサルデザインとは?

Wikipediaによると、ユニバーサルデザインの定義は以下の通りです。

文化・言語・国籍や年齢・性別・能力などの個人差にかかわらず、できるだけ多くの人々が利用できることを目指した建築(設備)・製品・情報などの設計(デザイン)や、その実現プロセスを指します。

つまりユニバーサルデザインとは、すべての人が使いやすいように配慮されたデザインを意味します。
ユニバーサルデザインの具体例として、以下のようなものが挙げられます。

信号機: 音響式信号機は、目の不自由な人が音で信号を判断できるように作られています。
自動販売機: 飲料の取り出し口が低い位置にあったり、硬貨投入口が広くなっていたり、誰でも使いやすいように工夫されています。
駅の改札: 広めの通路が設けられており、車椅子や大きな荷物を持った人もスムーズに通行できます。
ノンステップバス: 床が低く、段差がないため、車椅子利用者やベビーカー利用者、高齢者などが乗り降りしやすいです。
点字ブロック: 目の不自由な人が安全に歩けるように、床に凹凸をつけたブロックが敷かれています。
文房具: 右利き、左利きどちらの人も使いやすいよう工夫されたハサミや定規などがあります。
アルコール飲料の缶: 目の不自由な人が間違って飲んでしまわないよう、缶の上部に「おさけ」と点字で記載されています。
お札: 目の不自由な人が触って判別できるよう、異なる形状のマーク(識別マーク)が印刷されています。

Webサイトにおけるユニバーサルデザイン

Webサイトにおけるユニバーサルデザインは主に以下のような点が挙げられます。

  • フォントの選定
  • 文字サイズの調整
  • 色彩の選定

サイトにユニバーサルデザインを採用することで、より多くのユーザーに利用されやすくなり、ユーザーエンゲージメントやユーザーサティスファクション(使い心地の満足度)向上も期待できます。
ユニバーサルデザインの必要性は、今後もさらに高まっていくと考えられます。これは、高齢化社会の進展や、多様な背景を持つ人々が共生する社会の実現に向けて、より多くの人が快適に暮らせる環境づくりが不可欠だからです。

こうした背景から、今後の対応を強化していくことは、社会全体の重要な課題と言えるでしょう。

カラーユニバーサルデザイン(CUD)とは

カラーユニバーサルデザイン(CUD)とは、色覚に特性を持つユーザーや高齢者など、色の認識に困難がある人にも適切に情報を届けるための取り組みです。前述のWebサイトにおける具体的な施策例の中では「色彩の選定」にあたります。

「CUD」は、「Color(色)」+「Universal Design(普遍的なデザイン)」の略であり、色覚の多様性を前提とした設計思想になります。

人の色覚(色の感じ方)は大きく5種類に分けられ、先天的要因だけでなく加齢や病気によっても変化します。CUDは、そうした多様な色覚に配慮した配色・設計を行い、誰もが正しく情報を受け取れるデザインを目指すものです。

つまりCUDは、「ユニバーサルデザインの考え方を“色”に特化して応用したもの」といえます。

CUD検定3級について

この検定はNPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)が主催し、CUDの基本的な考え方をより多くの人に広めることを目的としています。

受験概要

  • 受験料:5,000円(税込・クレジットカード払い)
  • 実施方法:オンライン
  • 合格条件:全問正解で合格。デジタル認定証を発行。

検定の内容は以下の通りです。

ステップ1:色覚の基礎 ・光が色になるしくみ
・色覚の分類と呼び方
・色覚タイプと特徴
・色覚タイプと割合
ステップ2:色覚シミュレーションツールの活用 ・「色覚シミュレーション」って何?
・ツールの機能と使い方
・ツールの特徴と役立て方
ステップ3:色覚の遺伝・進化と検査 ・色覚の遺伝
・色覚と進化
・知っておきたい色覚検査のこと
ステップ4:カラーユニバーサルデザインの基本原則 ・CUDの考え方
・覚えよう!CUD3つのポイント
・CUDマークとCUD検証

合格するとこのような合格証書が配布されます。

ud.png

関連資格との比較

CUD検定以外にも、ユニバーサルデザインに関連する資格はいくつか存在します。以下に代表的なものを比較します。

資格名 主催団体 内容 難易度 受験料 備考
CUD検定3級 NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO) 色覚多様性に対応するための基礎知識 低い 5,000円 オンライン。やり直し可能。色に関する基礎教養に最適
UD検定3級 NPO法人ユニバーサルデザイン推進協会 製品・建築・サービス・情報など広範囲のユニバーサルデザイン知識 低い 8,800円 オンラインまたは会場 3級UDC講座を修了した者が、検定試験を受験可能 形式:Webフォーム(オンライン)、マークシート試験(会場)
色彩検定(UC級) 色彩検定協会 WCAG/JIS X 8341-3に基づくWebアクセシビリティの専門知識 高い 6,000円

受験を通じて得られた学びと気づき

CUD検定3級は難易度は高くないものの、学習を通じて色覚タイプの基本やシミュレーションツールの活用方法など、これまで知らなかった点に多く気づかされました。

特に「P型」「D型」など赤緑色覚異常のタイプ分類や、日本人男性の約5%が該当するという割合を知ったことは大きな学びでした。

色覚タイプの整理

CUDで学習する代表的な色覚タイプを以下に整理します。

タイプ 特徴 日本人男性の割合
正常3色覚(C型) S・M・Lの3種類の錐体細胞がすべて機能しており、赤、緑、青の3色の色を他の人と同様に認識できる。 約95%
1型(P型/Protanope) 赤の錐体細胞に異常があり、赤い光を感じにくい。赤色付近の色と緑色付近の色が似て見え、赤色が黒く見えることがある。 約1.5%
2型(D型/Deuteranope) 緑の錐体細胞に異常があり、緑の光を感じにくい。赤色と緑色が見分けにくい。緑色が暗く見える(プロタノピアのケースでは赤色も暗く見える)。 約3.5%
3型(T型/Tritanope) 青の錐体細胞に異常があり、青色を感じにくい。青紫色と黄色などの区別がつきにくい。 きわめて稀
1色覚 S、M、Lのいずれかの錐体細胞、または全ての錐体細胞が機能していない状態。色をほとんど感じず、明暗のみで世界を認識する。 きわめて稀

制作チェックシート(CUD対応)

検定内容をもとに、CUD対応のデザイン確認ポイントをまとめました。

1. 基本の心構え

□ 色だけに依存しない情報設計を意識する
□ 配慮が必要なユーザーの視点で考える
□ 文字・形・パターンを併用する

2. 配色選び

□ 淡い色同士を組み合わせない
□ 明度差・彩度差を意識する
□ 赤と緑は補助的な要素を併用する

3. 情報伝達

□ 記号・線種を活用し識別を補助
□ コントラスト比 4.5:1(通常文字)以上を確保
□ 色の名称を明記して共有可能にする

4. 見え方確認

□ シミュレーションツールで検証
□ モノクロ再現でも情報が伝わるか確認
□ 細かい要素で重要情報を表現しない

5. 制作全体

□ 必要に応じてリテイクや第三者の意見を反映
□ 誰にとってもわかりやすいかを常に確認

日常における“気づき”の変化

CUDを学ぶと、日常の見え方が根本から変わります。

街中の看板、商品パッケージ、プレゼン資料、WebサイトのUIなど、これまで気づかなかった「色による不便さ」や「配慮不足」に敏感になります。

これは単なる知識習得ではなく、「多様な視点を持つ」という体験そのものです。この気づきが、日常生活や仕事でより良いデザインを考えるための重要な糧となるのではないでしょうか。

反省点

今回、色彩検定協会のUC級の存在を見落としていたことは、今後の反省点です。CUD検定3級は達成感を得るにはハードルが低かったものの、色覚の多様性やデザインへの配慮について深く考える良い機会となりました。機会があれば、さらに難易度の高いユニバーサルデザイン関連の検定にも挑戦してみたいと思います。

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