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【阪田和典】 タスクが勝手に育つ日が来た

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最近、タスク管理ツールを開くたびに、書き込んだ覚えのないタスクが増えている気がして妙に落ち着かない。もちろんバグではないし、同期ミスもない。自分が無意識のうちに入力したのかとも思ったが、内容が妙に今の思考を追い越してくる。まるでタスクそのものが、こちらより先に成長して、こうしたほうがいいと提案してくるような感覚だった。そんなばかなと思いつつも、増えたタスクの一つ一つを眺めてみると、確かに避けていたことや、見ないふりをし続けていた細かい修正や改善が書かれている。タスクが自発的に育つという妄想じみた発想が、実は自分の思考の奥に眠っていた気づきを代弁しているだけなのかもしれない。

この現象に興味が湧き、あえて自分が書き込んでいないタスクを実行してみると、思いもよらないほど作業がスムーズに進む。今すぐ必要ではないが、後々詰まるポイントを先に片付けておくような動き方で、タスクが自分の行動を先導していく。まるで未来の自分が、今の自分へ助言を書き残したようにも感じられた。タスクが育つという発想は、実際には自分の思考がタスクという形を借りて先に進み、行動の準備を整えてくれている状態なのだと気づいてくる。つまり、タスク管理は単なる記録ではなく、思考の成長と一緒に進化する生命体のような側面を持っているのかもしれない。

そこで、あえてタスクを一度空に戻して、好きに育つように環境を整えてみた。必要最低限のタグと期限だけを残し、あらゆるカテゴリ分けを消し、縛りをほどいた結果、タスクはより自由に現れ、より具体的な形で提案されるようになった。自分が半端に放置していた技術的な疑問や、改善したいと思っていた小さな不満が自然と浮かび上がる。成長したタスクは、以前のように負担ではなく、気づきそのものとして扱えるようになり、気づいたころには仕事の流れが軽くなっていた。タスク管理の目的が、終わらせることから育てることに変わった瞬間だった。

今では、タスクを消化するという感覚より、タスクと会話をしているような気持ちに近い。こちらが息をつくとタスクがそっと形を変え、次に進む道を示してくれる。増えるタスクに疲れるより、その変化を楽しむほうがよほど生産的だと実感するようになった。タスクは負荷ではなく、未来の自分が今の自分に送るメッセージなのだと思えるようになると、やるべきことをこなすための道のりは驚くほど軽くなる。タスクが勝手に育つ日が来たのではなく、自分がようやくタスクの成長に追いついたのかもしれない。

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