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【阪田和典】プログラミング中に「カップラーメンの待ち時間」で最強のデバッグができる理由

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バグが取れない。printを仕込みまくっても、スタックトレースを読んでも、頭の中がどんどん濁っていく。そんなとき、僕がよくやるのが「カップラーメンを作る」ことだ。湯を注いで、3分間待つ。ただそれだけ。でもこの3分が、驚くほどデバッグを進めてくれる。

デバッグの一番の敵は、バグそのものではなく「脳の誤作動」だと僕は思う。長時間コードを追い続けると、脳が「見たいものしか見えなくなる」状態に陥る。自分のロジックを信じすぎて、明らかな間違いを見落とす。だから一度、強制的に脳をリセットしなければならない。

このとき、スマホを見たりSNSを開いたりすると逆効果だ。情報の洪水で、脳が別のノイズにさらされる。そこで最適なのが、カップラーメン。お湯を注いで3分間、ただ待つ。その単調な時間が、思考の再起動ボタンになる。手も口も動かさず、湯気の向こうでぼんやりと「さっきのif文、条件逆じゃないか?」と浮かぶ。

人間の脳は、集中しすぎると視野が狭まり、少し緩めると潜在意識が働き出す。だからこそ、頭を休ませる3分間が、論理的にはありえない気づきを生む。AIの学習モデルも同じで、訓練データを詰め込みすぎると過学習を起こす。人間もまた、情報の入力を一度止めて「重みを調整」する必要があるのだ。

僕はこの3分の間、できるだけ「考えない努力」をする。お湯が麺をほぐしていくのを眺めながら、頭の中でコードをそっと寝かせる。すると、ふとした瞬間に浮かぶ。「あれ、あの関数、再帰の出口条件おかしくない?」。そして席に戻ると、嘘みたいに一発で直る。これは偶然じゃない。脳の構造上、当然の流れだ。

エンジニアリングには、非効率な儀式のような時間が必要だと思う。コードレビューでも、設計でも、詰めすぎると見えなくなる。プロジェクトを救うのは、意外と「何もしない3分」だったりする。

もし今、あなたがデバッグ地獄で抜け出せないなら、エディタを閉じて、ヤカンに火をかけてほしい。Steamの湯気が上がるころ、きっとあなたの頭の中のスタックもクリアされているはずだ。

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