はじめに
Linux(Ubuntu、ZorinOSなど)でディスプレイの分数スケーリング(125%や150%)を使用していると、DiscordやObsidianといったElectronベースのアプリのフォントがぼやけて表示されることがあります。
これは、アプリが古い描画方式(X11、XWayland)で動作し、OS側で無理やり引き延ばされていることが原因です。これをWaylandネイティブで動作させることで、クッキリした表示に修正できます。
1. ぼやけているアプリの確認方法
まず、どのアプリが古い方式で動いているかを確認します。
ターミナルで以下のコマンドを実行してください。
xlsclients
ここに表示されるアプリ(discord, obsidian, slack など)は、現在ボケる原因である XWayland 上で動作しています。
2. 修正方法
アプリのインストール形式(Flatpak または deb)に合わせて、描画方式を Waylandネイティブ に切り替えます。
flatpakの場合
Flatpak版を使っている場合は、flatpak override コマンドで永続的に設定を上書きできます。
# discordの例
flatpak override --user --socket=wayland --env=ELECTRON_OZONE_PLATFORM_HINT=auto com.discordapp.Discord
# obsidianの例
flatpak override --user --socket=wayland --env=ELECTRON_OZONE_PLATFORM_HINT=auto md.obsidian.Obsidian
※ com.discordapp.Discord の部分は各アプリのIDに書き換えてください。
deb/apt版の場合
デスクトップエントリ(.desktopファイル)の起動オプションを編集します。
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設定ファイルをエディタで開く
sudo nano /usr/share/applications/slack.desktop -
Exec= の行を以下のように書き換えて保存する
Exec=/usr/bin/slack --enable-features=UseOzonePlatform --ozone-platform=wayland %U
※ アプリによってファイル名(slack.desktop など)は異なります。また、末尾の %U はブラウザ等からのリンク起動に必要なので、消さずに残してください。
3. 比較
XWayland
Wayland
明らかに後者のほうがくっきりしているのがわかりますね。
まとめ
Linuxの分数スケーリングにおける「ボケ」は、アプリ側をWaylandネイティブに対応させることで解決します。
設定後は再度 xlsclients を実行し、アプリ名が消えていることを確認してみてください。
この記事が、Linuxに移行したばかりで文字のボケに悩む方の助けになれば幸いです。

