前回は Littlewood多項式 の根集合をプロットして、美しい画像をご紹介しました。今回はその応用として、さらに一般化したケースを扱ってみます。
https://qiita.com/hachieh/items/6acfc3bdc7d769dfff70
Littlewood多項式のおさらい
Littlewood多項式とは、係数が $1$ または $-1$ のみ で構成される多項式のことです。
この「$1$, $-1$」という組み合わせは $1$ の $2$ 乗根($x^2 = 1$ の解) と見なせます。
今回は、係数を$1$ の $m$ 乗根に一般化した多項式を考えます。
つまり、係数が
$$
\zeta_i=𝑒^{2\pi i/𝑚}
$$
としたときの多項式
$$
f(x)=\sum_{𝑘=0}^𝑛 𝑎_𝑘𝑥^𝑘
,\quad
a_k\in \lbrace \zeta_0,\zeta_1,\zeta_2,…,\zeta_{𝑚−1} \rbrace
$$
を対象とした根集合を考えます。
計算条件 $m$ が大きくなるとバリエーションが指数的に増えます。そこで、方程式の数がだいたい$100$万程度になるように次数を設定しました。(根の数は×$m$)
\begin{array}{rrrrr}
m & 1^m重根 & 次数 & 方程式の数 & \\
\hline
2 & 1^2重根 & 19 & 1,048,576 &←前回実施 \\
3 & 1^3重根 & 12 & 531,441 & \\
4 & 1^4重根 & 9 & 1,048,576 & \\
7 & 1^7重根 & 6 & 823,543 &
\end{array}
結果
出力した画像がこちらです。
画像の範囲は原点を中心とした$-2.0$~$2.0$の正方形を切り取っています。
次数と点数は上記表を参照してください。
$m=3$
$m$ の値によって模様が劇的に変化しているのがわかります。次数が大きくなるほど、集合全体は円形に近づいていくようです。
重心をとる
前回と同様に、各方程式の重心を計算しました。
重心の考え方についてはこちらを参照
https://qiita.com/hachieh/items/3a462ae90c742fe28da9
各方程式について、ランダムに $1$ つの根を取り除いたうえで複素数和を計算した値を描画しています。
$m=3$
原点を中心とした2.4078049200755722×2.4078049200755722
$m=4$
原点を中心とした2.507784990419168×2.507784990419168
$m=7$
原点を中心とした2.4178979739546778×2.4178979739546778
$m$ の次数が大きくなると、穴の数が増えてく
$360°/m$ の回転対称性が現れる
といった特徴が見て取れます。とても美しいですね。