本記事は「 TTDC Advent Calendar 2024 」 13日目の記事です。
はじめに
オープンソースで交通シミュレーションを行えるCARLAをインストールしてみました。
実際にCARLAを利用するためには、ソフトウェアインストールを含むいくつかステップを踏む必要があります。
本記事では、その手順の概要を紹介していきます。
また、今回は社内で構築済みの環境に合わせて、バージョンは0.9.13をインスト―ルします。
CARLAとは
CARLAはオープンソースの自動運転向けシミュレータです。
デフォルトでマップ・車両・センサーシミュレーションなどを備えた3D環境を提供しているので、
自動運転向けのシミュレーションだけでなく、様々な目的利用できます。
CARLAはゲーム開発環境であるUnrealEngine(以降UE)をベースとして構築されており、都市や道路はOpenDriveで設定されています。
APIはpythonとc++で提供されています。
本記事では、Windowsへのインストール手順を紹介していますが、CARLA自体はLinuxにも対応しています。
また、CARLAにはパッケージ版とソースコード版がありますが、開発向けのソースコード版のインストールを行っていきます。
CARLA公式サイトより引用
前提
- 安定したインターネット環境があること
- 充分な時間が確保できていること
CARLA公式サイトによると終了までに4時間以上かかります。 - GitHubアカウントがあること
- EpicGamesのアカウントがあること
システム要件
以下CARLA公式サイトより引用
x64System
空きメモリ 165[GB](CARLA本体32[GB]、関連ソフトウェア133[GB])
GPU 最低6[GB] 推奨8[GB](ただし機械学習は専用GPU推奨)
TCPポート デフォルトで2000,2001が利用できる必要がある
作業環境
OS Windows 10
プロセッサ AMD Ryzen 7 5700X 8-Core Processor 3.40 GHz
メモリ 128 GB
GPU NVIDIA GeForce RTX 3060
CARLAインストール
関連ソフトウェアのインストール
CARLAの実行にはいくつかの関連ソフトウェアが必要になるのでまずは、順番に関連ソフトウェアをインストールしていきます。
インストール後はpathを通しておく必要があります。
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CMakeインストール
https://cmake.org/download/
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Gitインストール
https://git-scm.com/downloads -
Makeインストール
https://gnuwin32.sourceforge.net/packages/make.htm
Makeは3.81のバージョンをインストールしてください。
公式サイトによると、それ以外のバージョンではCARLAのビルドが失敗する恐れがあるそうです。
以下のコマンドでMakeのバージョンを確認できます。make --version
-
7Zipインストール
https://www.7-zip.org/ -
Python3 x64インストール
x32バージョンをインストールすると競合が発生する可能性があるため、アンインストールが必要です。
https://www.python.org/downloads/ -
Epic GamesアカウントとGitHubアカウントを連携
以下のUEのサイトを参考に連携していきます
https://www.unrealengine.com/en-US/ue-on-github
Visual Studio の 2019インストール
Visual Studio 2022も専用に設定を変更すれば利用できるようですが、今回はVisual Studio 2019 Professional版を利用します
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Windowsスタートボタンをクリック
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すべてのアプリをクリック
-
Visual Studio Installerをクリック
-
変更をクリック
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「.NETデスクトップ開発」、「C++によるデスクトップ開発」にチェック
CARLA用のUE4.26を取得
CARLA用のUE4.26をリポジトリからクローンします。
cdコマンドでクローン先に移動してからクローンしてください。「C:\carla」にクローンする場合は以下のコマンドを実行します。
cd C:\carla
git clone --depth 1 -b carla https://github.com/CarlaUnreal/UnrealEngine.git .
bat実行
0.9.12以降のCARLAでは以下のbatを実行する必要があるそうです。
Setup.bat
GenerateProjectFiles.bat
「UE4.26」プロジェクトのビルド
UE4.26フォルダ内の「UE4.sln」ファイルをVisual Studio2019で開く
- ビルドバーで「Development Editor」、「Win64」、「UnrealBuildTool」の項目を選択します。
- ソリューションエクスプローラーの「UE4」を右クリックして「ビルド」を選択します。
時間がかかるので気長に待ちます。
CARLAのインストール
CARLAのプロジェクトをリポジトリからクローンします。
git clone https://github.com/carla-simulator/carla
環境変数の設定
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UEの環境変数を設定
CARLA用のUE4をインストールした場所を「UE4_ROOT」として設定します。
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pythonAPIの環境変数を設定
CARLAプロジェクトのeggファイルがある場所を「PYTHONPATH」として設定します。
CARLAのインストール
CARLAをインストールしていきます。
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x64 Native Tools Command Prompt for VS 2019を実行
CARLAのコマンドはこのツールから実行する必要があります。 -
CARLAインストールフォルダへ移動
今回は「C:\carla\」にインストールしたので以下コマンドを実行cd C:\carla
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アセットを取得
最新のアセットを取得するためにいかを実行します。Update.bat
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Python API クライアントをコンパイル
シミュレーションを操作するためのPython APIクライアントをコンパイルします。make PythonAPI
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サーバーをコンパイル
このコマンドはCARLAを起動するたびに毎回実行する必要があります。make launch
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シミュレーションを開始
エディタ上の三角の形をした「プレイ」を実行でシミュレーションが開始されます。
終わりに
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
最後になりますが、本記事の内容に誤りなどあれば、コメントにてご教授お願いいたします。
参考
https://carla.readthedocs.io/en/0.9.13/build_windows/