※この記事はAgileStudioに掲載した記事の転載です。
元記事:「目立つ活躍をした人にしか、感謝の声は集まりませんでした」小さな貢献にも感謝が届くようにしたチームの試行錯誤(トナリノ)
「目立つ貢献をしないと、感謝が飛び交うことがありませんでした」
今回紹介するのは、チームをいくつかのグループに分けて開発していたチームです。メンバーは全員リモートで働いています。
拾えていない貢献がある。この記事は、それを拾うために専用の会を作り、4ヶ月で行き詰まり、最後はふりかえりの中に畳み込んだチームの試行錯誤の記録です。
トナリノは、隣のチームの泥臭い試行錯誤をそのまま届けるコミュニティです。
様々なチームの「うまくいかなかったこと」「試してみたこと」「今の現在地」を記録しています。正解やTipsではなく、あるチームのリアルな試行錯誤をお届けします。
感謝は飛び交っていた。目立つ人にだけ
このチームのふりかえりはKPTAでやっていました。
その場で感謝やリスペクトが飛び交うこと自体は、すでにありました。 ただ、飛ぶ相手が偏っていました。 すごい貢献をしたり、目立つことをしないと、ふりかえりでは飛び交わない。
拾えていない貢献が、ふりかえりに出てこないままでした。
グループに分かれて動いていて、お互いが見えない
このチームは、いくつかのグループに分かれて開発していました。作業はモブプログラミングで進めます。グループの組み合わせは、スプリントごとにシャッフルしていました。
メンバーのスキルの差は大きくあり、モブでベテランと若手が組み合わさったときは、ベテランがバリバリやってしまう。 できる人だけが目立つ。 それを問題視していました。
あるグループの人が目立たないけどすごく良いことをしても、グループに分かれて動いているため、それが他のグループには伝わりません。グループに閉じてしまっている貢献を拾い上げたい。 それが動機でした。
そこまで大きな課題感があったわけではありません。やりたかったのは、チーム感や結束力を少しでも高めること。「チームにみんな貢献しているんだよ」という実感を持ってもらい、「ここにいる意味があるんだ」と感じてほしかった、と当時のメンバーは振り返ります。
付箋に書いて、送った人が発表する会を作った
チームメンバー全員が集まって、お互いに感謝・尊敬を送り合う会「THANKS CARD」を作りました。
- 全員リモートなので、Zoomに集まってMiroで実施
- スプリントのふりかえりを始める前のタイミング
- 毎スプリント(1週間ごと)に数十分
進め方は2つのステップです。
- まず、各自が送りたい人に向けてメッセージを付箋に書いて貼ります
- 次に、受け取る人を1人ずつ順番に取り上げ、その人あての付箋を、書いた本人が読み上げます
やり出したころは新鮮でした。
伝えられなかったことを本人に伝えられる。知らないメンバーに「こういうことがあったんだよ」と教えられる。感謝されたり、褒められたりする。
「良いなこの取り組み!」という感じだった、と当時のメンバーは振り返ります。
全員に送らなきゃ、という気持ちが湧いてきた
続けているうちに、雲行きが怪しくなってきます。
専用の時間を確保していたこともあって、全員に送らなきゃという気持ちが湧いてきました。本当は送りたい相手にだけ送ればいいはずなのに...この人に書くなら、この人にも書いた方がいいな、という気遣いです。
「毎週毎週探して送るのが大変だな」
そして、新しく褒めることがなくなりました。貢献していないわけではありません。また同じような貢献をしている。
「またこれね」
それは悪いことではないし、みんなちゃんと貢献しています。それでも、目新しいことを書けない、似たようなことしか書けない。やり方を変えないまま、4ヶ月続きました。
「後半苦しくなって終わってしまった」
やり方の改善をしていれば、続けられたかもしれない、と当時のメンバーは振り返ります。
特別扱いをやめて、Keepの意味を広げた
出し合うことだけに時間を使うのはもったいない。それならKeepで出せばいい。
会は畳むことにしました。
「少し寝かせることにしました。やりたくなったら、再開しましょ」
THANKS CARDとして書くのではなく、ふりかえりで書くようにしましょう、となりました。KPTAの中でやる。特別なエリアも時間も設けず、Keepエリアに出す。Keepの意味を広げました。
数えてみたら、ほぼ毎回出ていた
しばらくたってから、ふりかえりで出た感謝・尊敬をスプリントごとに数えてみました。ほぼ毎回出て、右肩上がりのグラフができました。
閉じていた貢献をある程度は拾い上げられるようになった、と当時のメンバーは振り返ります。
会をやめた後に残ったもの
「やってよかった」
「強化トレーニングみたいなもんだったのかもしれない」
感謝や尊敬を伝えることに対する耐性がついた。ふりかえりの中でそういうことを出すのに慣れた。そもそも褒めるのに慣れていない人もいましたが、慣れた。
専用の会を4ヶ月やったから、Keepに当たり前に出せるようになったのかもしれません。
メンバーに存在と貢献を感じてもらえた、とも言います。この人はこういうことをする人なんだ、と知るきっかけにもなりました。他の人と仕事をしている中での貢献を、聞けたからです。
皆さんのチームでは、小さな感謝やリスペクトが伝えられていますか
「このやり方がどのチームにも効くわけではなさそうだ」
お互いのことをよく分かっていない、関係性がまだできていない、メンバー間に心の壁がある。そういうチームなら、その壁を溶かす一助になるのではないか。
皆さんのチームでは、小さな感謝やリスペクトが伝えられていますか。
このチームの試行錯誤が、皆さんのチームへの「問い」になれば嬉しいです。
この記事は、「トナリノ」から生まれた試行錯誤の記録です。
様々なチームの泥臭い試行錯誤を、定期的に届けています。
他のチームの話も気になった方は、フォローしてもらえると嬉しいです。
Xでも同じテーマで発信しています → X(@はんそで)
