挫折を数えたことはあるか?
今年の私の挫折回数は、 36回 だ。
多いだろうか? それとも少ないだろうか? いちいち数えているなんて暇人だな、と笑うかもしれない。けれど、私はこの数字を、勲章のように少し誇らしく思っている。
「挫折」はエンジニアを強くする。
ありふれた言葉だが、凡庸なエンジニアである私が、この激流のような業界で生き残るために辿り着いた、ひとつの真理だ。
避けるべきは「挫折」ではなく「停滞」
かつて私は、失敗を恐れ、コードに触らない理由を探しては自己嫌悪に陥るような、どこにでもいる弱い人間だった。 「融通無碍」に憧れ、何者かになろうと藻掻いていた。
けれど、ある時気づいたのだ。 何もしないで安全圏から自分を責めるより、血まみれになってでも前にぶっ倒れるほうが、精神的にはよっぽど「楽」なのである。
そこで私は、「百折不撓(ひゃくせつふとう)」を2025年の抱負として掲げることにした。幾度失敗しても志を曲げない。何度でも折れてやろう、と決めた。
そうして記録し始めたのが、冒頭の 36回 という数字だ。
この 36回の挫折 の裏には、 36回の「挑戦」 があった。
技術的な壁、チームビルディングの失敗、期待通りの価値を出せなかったプレゼン。
その一つひとつが、私の未熟さを突きつけ、心をへし折ってきた。
しかし、挫折の数だけ、私は「できない」を「できる」に変える機会を得たことになる。あるいは少なくとも、自分の無力さを知り、他者に助けを求める術(サーバントリーダーシップや、あるいは単なる「愛嬌」かもしれない)を学ぶことができた。
傷だらけの生存戦略
私は、呼吸をするように新しい技術をキャッチアップできる天才ではない。 「技術が好きでたまらない」というキラキラした熱狂とも、少し距離を置いている。
そんな私がプロフェッショナルとして、「約束を守れるやつ」として価値を提供し続けるための生存戦略。 それが、 泥臭く挫折を繰り返すこと だった。
スマートに解決なんてできなくていい。 36回膝をついても、37回立ち上がれば、それは前進だ。そう思わなければ到底続けられなかったと思う。
エンジニアの強さとは、エラーを出さないことではない。 エラーログと向き合い、原因を突き止め、修正し、再びビルドを走らせる。その執念深いサイクルの回数にこそ、強さは宿る。
結論
もしあなたが今、何かに躓き、自分の不甲斐なさに打ちひしがれているなら、数えてみてほしい。
それは今年何回目の挫折だろうか?
その数字は、あなたが挑んだ証だ。傷だらけのその手は、昨日よりも確実に、強くしなやかにコードを叩けるようになっている。
私は凡庸なプロとして、これからも挫折を数え続けるだろう。
100回挫折する頃には、また少し、マシなエンジニアになれている気がするからだ。
余談
普通に、つらいよ。でもね、やらないより心はつらくなかったりする。
これを笑うやつは、いい日を選んで目ェ噛んじまえよ。