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AWS コスト削減で見るべきポイントまとめ(EC2 / EBS / RDS / Backup 編)

Last updated at Posted at 2025-12-04

はじめに

AWS は柔軟で便利な一方、気付かないうちにコストが膨らみやすいサービスです。
特に、EC2・EBS・RDS・AWS Backup の組み合わせは、
「設定の重複」によって無駄な料金が発生しやすいポイントでもあります。

本記事では、実際の運用現場で行った調査内容をもとに、“AWS コスト削減チェックポイント” をまとめました。

  • これから AWS のコスト最適化を始めたい
  • 設定が複雑で把握しきれていない
  • バックアップ周りが特に高額になっている

という方の参考になれば幸いです。

1. EC2 のコスト削減ポイント

EC2 は AWS の中で最もコストを消費しやすいサービスです。
まずは以下の項目をチェックします。

✔ 不要インスタンスが稼働していないか

  • 停止中でも EBS のストレージ料金は発生します
  • 役割が不明なインスタンスが稼働していないか棚卸しする
  • Auto Scaling の残骸がないか確認

✔ スペックが大きすぎないか(リサイズ可能)

CloudWatch の CPU・メモリ・NetworkIn/Out を確認し、
“常に余裕がある” 場合はサイズダウンを検討できます。

例:
t3.large → t3.medium
m5.large → m5.medium

EBS の過剰 provision に注意

  • gp2 → gp3 へ移行すると 最大20〜30% のコスト削減
  • Provisioned IOPS (io1/io2) が必要か再確認
  • 未アタッチ(孤立)EBSの有無をチェック

補足:EBS ボリュームタイプ比較(sc1 / gp2 / gp3)

AWS の EBS は用途に応じて複数の種類がありますが、
コスト削減・パフォーマンス最適化の観点では以下 3 種類を把握しておくと便利です。

【EBS ボリュームタイプ比較表】

種類 性能 コスト 主な用途 補足説明
sc1(Cold HDD) 低い 最安 アクセス頻度の低いデータ、ログ保管、バックアップ 容量単価は最安だが、IOPS・スループットは低くシステムディスクには不向き
gp2(General Purpose SSD) 中程度(容量に比例) やや高め 旧環境で多く利用。現在は 非推奨(gp3へ移行推奨) IOPS が「容量依存」ため、必要 IOPS のために過剰容量を作るケースが多い
gp3(最新推奨)General Purpose SSD) 高い(IOPS・スループット調整可) 最も安価(gp2比で最大20〜30%削減) Webサーバ・アプリ・DB などほぼ全用途 IOPS とスループットを容量と独立して設定でき、コスパ最強の標準ストレージ

2. EBS スナップショットの削減ポイント

スナップショットは 残り続ける ため、放置するとすぐにコスト化します。

✔ 不要スナップショットの棚卸し

バックアップ設定の重複により、「1日3回スナップショットが作られていた」などのケースは実務で非常によくあります。

チェックすべきポイント:

  • 不要な AMI がスナップショットを保持し続けていないか
  • backup-plan が複数あり、同じEC2を二重バックアップしていないか
  • 7日保持 → 14世代 → 21世代 → 28世代… と増殖していないか

✔ AMI → スナップショットの依存関係

AMI を削除しても スナップショットが残る場合があります。
削除前に依存関係を必ず確認します。

3. RDS のコスト削減ポイント

RDS のコスト源は主に以下です:

  • インスタンスサイズ
  • ストレージ容量
  • スナップショット世代
  • マルチAZ構成

ここではスナップショット・バックアップ観点を中心に解説します。

✔ RDS 自動バックアップを理解する(PITR 対応)

RDS 自動バックアップには以下が含まれます:

  • 毎日の自動スナップショット
  • トランザクションログ(PITR用)
    これにより、任意の過去時刻(秒単位)に復元可能です。

保持期間:1〜35日
→ 多くの現場では 7日で十分

✔ AWS Backup スナップショットとの重複に注意

RDS には以下2つのバックアップ方式があります:

種類 PITR対応 用途
RDS 自動バックアップ ✔ データ復旧、時刻復元
AWSBackup スナップショット ✘ イメージとしてのバックアップ

2つが同時に動いていると、スナップショットが二重で増え続けます。

実際にあった例:

自動バックアップ:7世代
AWS Backup:7世代
合計14世代(×複数インスタンス)で高額化

👉 結論
RDS のデータ復旧が目的なら「RDS 自動バックアップだけ」で十分。
AWS Backup の RDS 対象を外すことで、大幅な削減効果があります。

4. AWS Backup のコスト削減ポイント

AWS Backup は強力ですが、使い方を間違えると高額化します。

RDS を Backup 対象にすべきか?

AWS Backup のスナップショットは PITR 非対応のため、
RDS 自動バックアップの完全な代替にはなりません。

AWS Backup が必要になるのは以下の場合:

  • Vault Lock(削除防止)を使いたい
  • 別リージョンコピー(DR対策)が必要
  • アカウント間バックアップ
  • 監査強化(CloudTrail統合)

上記を使わないなら、
RDS の AWS Backup は停止しても問題ありません。

✔ バックアッププランの重複に注意

よくあるミス:

  • 「cm-msp-backup-rule」
  • 「backup-plan-xxxx」

など複数プランで 同じリソースを二重バックアップ してしまうパターン。
RDS で1日3個スナップショットができてしまう、EC2で21世代になってしまう などはここが原因。

✔ 継続するなら “本来の強み” を活かすべき

AWS Backup の強みは以下:

  • Vault Lock(WORM) → ランサムウェア対策
  • 別リージョンコピー → DR
  • 成功/失敗レポート → 運用可視化
  • アカウント間バックアップ → 障害・内部不正対策

これらを使わない運用は ただのコスト増 になるため注意。

6. まとめ(全体チェックリスト)

AWS コスト削減で見るべきポイントを最後に整理します。

✔ EC2

  • 不要インスタンスがないか
  • リサイズ可能か
  • EBS が多すぎないか
  • AMI/スナップショットの整理

✔ EBS

  • 孤立ボリュームの有無
  • gp2 → gp3 変換
  • 過剰スナップショット削除
  • バックアッププラン重複なし

✔ RDS

  • RDS 自動バックアップの保持日数は適正か
  • PITR が必要な場合は自動バックアップ必須
  • AWS Backup と役割が重複していないか
  • 不要スナップショット削除

✔ AWS Backup

  • バックアッププランの重複がないか
  • RDS の対象は本当に必要か → 不要なら外す
  • Vault Lock や別リージョンコピーの活用可否
  • コスト=(スナップショット容量 × 世代数)に注意

AWS のコスト削減は 「むやみに削る」ではなく、
「役割の重複をなくす」 のが最大のポイントです。

本記事の内容が、自社環境のコスト最適化の参考になれば幸いです。

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