JavascriptランタイムのBunを業務でも使ってみて感じたこと:フロントエンド開発者から見た「新しい速さの世界」
⚠️ 免責事項
本記事は筆者個人が開発・業務の中で感じた体験や見解をもとに記述したものであり、すべての内容が正確であることを保証するものではありません。また、所属する組織の公式な見解を代表するものでもありません。開発・技術選定を行う際は、必ず一次情報(公式ドキュメント等)を確認のうえ、自己責任で判断してください。
最近、SNSで開発者が取り上げていることも多いBun。自分も以前から個人開発で何度も使ってきたが、実際に業務案件でBunとElysia.jsを使用した経験を経て、その魅力を改めて強く感じた。この記事では、普段フロントエンド中心でJS/TSばかり触っている自分の目線から、Bunの“速さ”と“驚き”を中心に語りたい。
⚙️ Bunとは何か?
まず簡単に説明すると、BunはJavaScriptとTypeScriptのためのランタイムである。Node.jsやDenoと同じように、サーバーサイドでJS/TSを実行できる環境だが、その最大の特徴は「速さ」と「オールインワン設計」にある。
Bunは、Zigという低レベル言語で書かれており、非常に高パフォーマンスに動作する。
また、単なるランタイムにとどまらず、以下のような機能を内包している:
- パッケージマネージャー(npm互換)
- バンドラ
- テストランナ
- TypeScriptネイティブ対応
従来Node.js環境ではnpm、ts-node、jest、esbuildなどを組み合わせていたものが、Bunで完結する。
🚀 Bunとの出会いと最初の印象
Bunを初めて触ったときにまず感じたのは、とにかく速いということ。インストールも、依存関係の解決も、スクリプト実行も、ビルドも、とにかく全部が速い。体感として「npm install」ではなく「bun install」を使った瞬間に、「え、もう終わったの?」というレベルだった。
Node.jsが長年デファクトスタンダードとして君臨しているが、Bunはその延長線上にありながらも、体験としてまったく新しい。npm互換性も高く、既存のJS/TSプロジェクトをBunに乗せ替えるのも比較的容易であると感じている。つまり、Node.jsを使ってきた人にとってBunの学習コストは低い。
🧑💻 業務案件でのBun使用体験
たまたま入った案件で、APIサーバにBun + Elysia.jsが採用されていた。Bunを業務で使う案件はまだ珍しく、個人的にはとても嬉しい経験だった。実際に触ってみると、ユニットテスト実行の速さにまず驚いた。開発中に何度もテストを回すたびに、そのレスポンスの良さが快感になる。
後から技術選定当時を知るメンバーに聞いたところ、「理由はシンプルに“速いから”」だったという。確かにそれだけで選ぶ価値がある。Bunはその“速さ”を、ランタイム、パッケージ管理、ビルド、すべての層で実現している。
🧩 BunはTypeScriptを直接実行できる
業務の中で気づいたもう一つの特徴が、BunがTypeScriptをそのまま実行できるランタイムであることだ。内部的にはトランスパイルしているが、開発者としては意識する必要がない。
つまり、bun run devするだけで、TypeScriptのままAPIサーバを動かせる。これはNode.jsでは当たり前ではない体験だ。開発中のサイクルが驚くほど短くなる。
ただし本番環境では、当然ながらbun buildでJSに変換してから実行するのが推奨だ。型情報や開発依存を含めたまま動かすのは避けたい。
bun build src/index.ts --outdir dist
bun run dist/index.js
🔗 参考: Bun公式ドキュメント: Bundler
🧱 バイナリビルドの衝撃
Bunを使っていて最も衝撃を受けたのは、「バイナリビルド」機能の存在だった。bun build --compileコマンドで、Bunランタイムとアプリケーションを単一の実行ファイルとしてまとめられるのだ。
bun build --compile src/index.ts --outfile api
これを実行すると、apiというバイナリが生成される。驚くべきことに、このファイル単体で動作する。つまり、実行環境にBunすらインストールされていなくてもOK。まるでGoやRustのような世界観だ。
ここで注目すべきなのは、これは単に「JSファイルを1つにまとめた」レベルの話ではないということ。Webpackやesbuildのバンドルとはまったく別物だ。JSのコード、依存関係、Bunランタイムそのものまでもが、ひとつの実行ファイルに詰め込まれている。いわば、JavaScriptで書いたコードが“アプリケーションそのもの”になるという体験だ。
たとえば、これまでであれば「Node.jsをインストールし、依存をnpm installし、.envやビルド済みJSを配置して…」という一連のデプロイ作業が必要だった。しかしBunのバイナリビルドを使えば、生成されたapiファイルひとつをサーバに置くだけで済む。実行環境を準備する手間がほぼゼロになる。SSG(Static Site Generator)でサイトを静的ファイルとして吐き出すように、BunではAPIサーバそのものを「静的なバイナリ」として配布できるような感覚だ。
./api
この瞬間、TypeScriptやJavaScriptが“インタプリタ依存のスクリプト言語”だった時代から抜け出し、GoやRustに近い運用スタイルを手に入れたような気分になる。まさにフロントエンド開発者が「ビルド済み実行ファイル」という世界に足を踏み入れる瞬間だ。
個人的には、これを最初に知ったとき「JavaScriptでそんなことできるの!?」とかなりの衝撃を感じた。しかもベータ機能ではなく、BunとElysiaの両方で公式に推奨されている手法である。スクリプト言語だったJavaScriptが、いまや「バイナリ化できる言語」になったというのは、長年JSを触ってきた人間にはまさに革命的な出来事だ。
🔗 参考:
Bun公式: Single-file executable
ElysiaJS公式: Compile to binary
🌏 まとめ:Bunは次世代のTypeScriptランタイムだ
Bunは単なるNode.js互換ランタイムではない。TypeScriptをネイティブに動かし、依存解決を爆速にし、最終的にはバイナリとして配布までできる。まるでフロントエンド開発者がGoのような開発体験を得る未来が、すでにここにある。
業務で実際に使ってみて感じたのは、「Bunは開発者をわくわくさせるツール」だということ。JS/TSエンジニアにとって、これは単なる速さの話ではなく、新しい可能性の入口なのだ。