はじめに
このファイル、開くのに5分かかります
そんな声が、私の前職の部署では日常でした。
中を覗くと、マクロと数式の森。誰がいつ書いたのかも分からないVBAコード。
それでも 動くからいいじゃん と言われ、誰も手を出せない――まさに 秘伝のタレ Excel です。
Excelは本当に優秀です。関数で計算、グラフで可視化、簡単なアプリのような動作までできてしまう。
でも、優秀すぎるがゆえに、いつしか なんでもExcelでやる文化 が根付き、属人化という落とし穴にはまってしまうのです。
現場のリアルな課題
私の経験では、Excelの限界は 人 と 構造 にあります。
誰か一人にしか分からないロジック。入力ルールが守られず壊れていくシート。
そして、印刷レイアウトを整えるためだけに一晩かかることも……
- 属人化
- 作成者しか理解できないマクロ構造
- メンテナンス負荷
- 小さな変更にも大きな時間がかかる
- データの分断
- 部署ごとに違うExcelが存在し、整合性が取れない
DX化を進めるには、まずこの構造を 仕組み として見直すこと が必要です。
私が実際にやったDX化の一歩
私のチームでは、まずExcel業務を 観察 することから始めました。
誰が、どのデータを、どのように使っているのか。意外と 毎日開いてるけど実際は使ってない列 も多かったんです。
次に行ったのは、Power AutomateとSharePointの導入。
これにより、Excelを 情報を貯める箱 から 情報を流す仕組み に変えました。
たとえば申請フロー。以前はExcelファイルをメール添付で回していましたが、
Power Automateで承認プロセスを自動化。
担当者が変わっても止まらない仕組みを作ることができました。
DX化はツールの置き換えではない
よく Excelをやめてクラウドに移行すればDXだ と誤解されがちですが、私はそうは思いません。
大事なのは、Excelで築かれた 思考の流れ を壊さずに進化させること。
Excelは悪ではない
問題は、なぜそれをExcelでやっているのか を誰も考えなくなったこと
DX化とは、単にシステムを入れることではなく、
仕事のやり方を見直し、目的に合ったツールを選ぶこと だと実感しています。
まとめ
私にとってのDX化は、 便利なExcel から 正しく使えるExcel へのアップデートでした。
Excelを完全に捨てる必要はありません。
けれど、 Excelがなくても回る仕組み を少しずつ育てること。
それが、現場から始める本当のデジタル変革だと思います。
DX化の目的は ツールを導入すること ではなく、 業務の価値を高めること です。
Excelを敵視する前に、まずは 何を解決したいのか を整理しましょう。