はじめに
以下のアドベントカレンダーに参加しています。
「もっと勉強しておけばよかった」という学びの失敗談がテーマですが、
個人的には、失敗したとしても「もっと勉強しておけばよかった」と後悔するくらいであれば、そこから学び直せば良いと考えています。
なので、少し視点を変えて「勉強しておいてよかったもの」について書いてみたいと思います。
日々の業務の中で、「これを知っていて助かった」「ここで詰まらずに済んだ」と感じる場面は意外と基礎的な技術に支えられていることが多くあります。
今回はLPI Japanの企画ということもありますので、私自身も実際に取得しており、基礎知識が学べる LinuC (Linux) と HTML5 Professional (HTML5) について紹介したいと思います。
どちらも、派手な新技術ではありません。しかし、長くエンジニアとして仕事をする上で、確実に効いてくる基礎力だと感じています。
LinuC (Linux)
Linux の知識は、バックエンド・インフラ・フロントエンドを問わず、多くの IT エンジニアにとって共通基盤となる技術です。
近年はクラウドや PaaS の進化により、OS を強く意識せずに開発できる場面も増えました。しかし、障害対応や調査の局面では、依然として Linux の理解が求められます。
例えば以下のような場面です。
- ログやプロセスの状態を確認したい
- コンテナや VM の中で何が起きているかを把握したい
- クラウド障害時に、最低限の切り分けを行いたい
こうしたとき、Linux の基礎知識があるかどうかで、対応のスピードや安心感が大きく変わります。
LinuC は単なるコマンド暗記ではなく、
「Linux とはどういう思想で作られているのか」
「プロセス、ファイル、ネットワークはどのように管理されているのか」
といった点を体系的に学べる点が非常に良いと感じました。
また、生成 AI の活用が進むにつれて、CLI を前提とした操作や環境理解の重要性はむしろ増していると感じています。
AI にコマンドを生成させる場合でも、その結果を正しく理解・判断するためには、基礎知識が不可欠です。
以前はLevel 3まででしたが、最近では、アーキテクトレベルに位置付けられる Level 4 も登場しています。
HTML5 Professional (HTML5)
フロントエンド開発では、React や Vue などのフレームワークを使うのが一般的になり、HTML を直接書く機会は確かに減っています。
それでも、HTML5 の基礎知識は今なお重要だと感じています。
理由の一つは、フレームワークはあくまで HTML の上に成り立っているからです。
DOM 構造、セマンティックなタグの意味、アクセシビリティといった概念を理解していないと、問題が起きた際の切り分けが難しくなります。
また、実務ではフレームワークやライブラリを利用していても、以下のような「泥臭い対応」を求められることも少なくありません。
- 既存の古い画面の修正
- ライブラリが使えない制約環境での対応
- CSS や JavaScript が複雑に絡み合った不具合調査
こうした場面では、HTML5 の基礎知識がそのまま武器になります。
「なぜこの挙動になるのか」を説明できるかどうかは、基礎を理解しているかどうかに大きく依存します。
HTML5 は一度しっかり学んでおくと、フレームワークが変わっても知識が陳腐化しにくい点も魅力です。
おわりに
「もっと勉強しておけばよかった」と後悔する場面を減らすためには、流行技術だけでなく、基礎を体系的に学ぶことが重要だと感じています。
LinuC や HTML5 は、資格勉強としては地味に感じるかもしれません。しかし、実務経験と結びついたときに、その価値を強く実感できる分野です。
これから学び直しを考えている方や、基礎力を強化したい方にとって、本記事が一つの参考になれば幸いです。