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会社にサウンド制作環境を導入した話

Posted at

Writer:      Yosuke Okusa
Director:   Yosuke Okusa
First Post: 2020-08-20

はじめに

新卒&ベトナム1年目、ゲームプランナー/サウンドクリエイターの大艸(おおくさ)です。
過去のGREVO Tech Blog記事で、ブログの文章や構成のディレクター兼翻訳担当としてちょいちょい登場してました。気付かなかった方はぜひ過去記事を読んでみてくださいネ☆

▶︎ Unity2019でUI Builderを触ってみた話
▶︎ リモートに最適なSlackbotを作った話

露骨な宣伝はさておき、今回はGREVOがサウンド制作環境を導入した話をつらつら書いていきます。

  • ゲーム企画に必要なリソースとして、サウンドをオリジナルで作りたくなる。
  • 1曲作って偉い人に話してみよう! → 環境構築。
  • 創作しながら得た金で食う飯はウマい。
  • ゲームの雰囲気や世界観が肉付けされ、開発陣のモチベーションも上がる。

詳しい経緯も含めて見ていきましょう。

環境構築に至るまで

ゲームの企画や仕様を練っているとあれこれ思いつきます。新たな要素やビジュアルイメージだけでなく、こんなサウンドが欲しい、などなど。。
今回も発端は企画中にBGMやSEのイメージが浮かんだことだったりします。

元々おおくさはアレンジャー/DTMer(※)というのもあり(実は皇族の御前でアレンジ作品の自作自演をやったこともあります)、企画と並行して思いついたサウンドを密かに自分のマシンにメモしていました。
※Desktop Musicする人のこと。

しかしながら、自分のマシンはカスタムなしのMacBook Airで容量・メモリともにショボく、DTMをやるには苦しくなってきている、というのが正直なところでした。

画像はWikipediaより
▲使っていたマシンはここまでヴィンテージではないものの、個人的にはCPU:Corei7、メモリ:16GBくらいの性能が安心ライン。

会社で機材を揃えてもらう

そこで、とりあえずデモ(というかスケッチ)を1曲作ってみて、機材の事情やゲームをクオリティアップしたい旨を踏まえ、会社で機材を用意できないか、PMや偉い人に直接相談してみました。

dtmImg00_soundsketch.png
▲iOSでメモした実際のBGM。これをLogicにインポートして仕上げていくという流れで作業することが多い。

結果、余っていた型落ちiMacを使えることになり、SSD換装、DAWやMIDIキーボードの購入など、必要機材を取り揃えてもらいました。とりあえず思いついたら相談してみるというのが功を奏した模様です。やったぜ。

音楽制作は底なしの沼みたいなところがあるので、やろうと思えば際限なく予算を投じることはできます。しかし、開発規模や、ベトナムでは機材流通量があまり豊富ではないことなども鑑みて、今回は慣れ親しんだ機材+αな環境を構築し、コスパよくクオリティを上げることを目指しました。

さて、前置きが少し長くなりましたが、実際に用意した機材をみていきましょう。

導入した環境:総予算は$〇〇〇!?

kizainogazoudayo.png

  • マシン: iMac 21.5 inch, Late 2013 (2.7GHz Core i5 / 16GB RAM / 500GB SSD / Catalina)
  • DAW: Logic Pro X
  • オーディオインターフェース: Focusrite Scarlette 4i4
  • モニタヘッドホン: Audio Technica ATH-M40x
  • MIDIシーケンサ: M-Audio KeyStation 61 MK3

こうして書き出してみると、ハード周りはビギナーみたいな環境ですね(汗
マシン自体は購入していないので、全部合わせても1000ドルくらいしかしませんが、コスパよく新たに買い揃える前提ならこんな感じでしょうか。
上記に加えて、音源やプラグインはNative Instruments KOMPLETE、East West Symphonic Orchestra、iZotope Ozoneなど、もともと持っていた私物を中心に使用しています。

サウンドを生業とするプロの方も同じ機材や音源・プラグインを使っていることがありますね。
上記の環境でも、DAW・音源・プラグインともに問題なく動かせますし、ゲームをクオリティアップできるBGMやSEを作ることはできます。(マシンが古いのは否めないのですが!笑)
DTMはメモリが全てとかよく言われますが、16GBが個人的な安心ラインというのはそういうことです。

クオリティに直結する、サウンドの統一感

ゲームがある程度動くようになってくると、エフェクトやサウンドなど演出が欲しくなってきます。おおくさは作曲部屋が欲しいです。
BGMやSEを外部の素材だけで済ますこともできますが、それだけでは音圧や雰囲気などが製作者によって異なり、どうしても統一感がなく、継ぎ接ぎ感が拭えないことがあります。これはアートやUI素材にも共通して言えますね。

また、企画・開発に関わっている社内の人間がサウンドも作ることで、ゲーム世界観の肉付けや、そこに必要な音についてのコンセンサスもとりやすくなります。
違和感を失くしたり、ユーザー体験の補強をしやすくなる わけですね。

実際、やりとりも直接その場でできるため「この音どうですか?」「この曲はもっと明るめにしてください」といった確認もしやすく、急な追加オーダーや修正にも対応しやすかったように思います。社内にサウンド制作する人がいることの強みといえそうです。「妖怪的な声」というオーダーがあったりしましたが、それはまた別のお話・・・。

サウンドを作る側としては、個人では揃えにくい環境を揃えてもらえるという点、企業に入ることのメリットになるのではないでしょうか。結構Win-Winだと思います。

音でチームのモチベーションアップ!

開発画面や実機でのテスト中にBGM、SEが鳴ると、テンションが上がる人も多いと思います。
あくまで体感ですが、サウンドが入ってからはチーム全体の作業に対するモチベーションが上がったように思えます。

具体的な要素が揃ってくると、リリースされたときにユーザーが体験するものをイメージしやすくなります。思い描いていた完成図との差を見出して、さらなるクオリティアップにつなげることもできますね。

dtmImg02_synth.png
▲目や耳から入る情報は、潜在的にヒトの意識に影響するようです。

ただし、モチベーションが上がって「あれもしたい」「これもしたい」というのがどんどん湧いてくると、スケジュールに影響が出かねないので、進行周りは要注意だったりします。うーん、クリエイティブ。。
ゲームで例えるなら、サブクエストやアイテム収集ばかりやって、メインストーリーがなかなか進まない、という状態ですね。
目先のことだけに囚われないようにする、そんな注意も開発では大切です。

環境導入して思ったこと

さて、こうして振り返ってみると、ゲーム企画・サウンド制作・海外勤務という夢を新卒1年目で射止めていました。やったー。
敢えて言葉を選ばずに書くなら、**ゲーム作ってDTMしながらお金もらえるの最高か?**って感じですね。

実際に手を動かす人がどう感じるかって、効率やモチベーションにつながることも多くて大事だと思います。さらに上のレイヤーで考えるなら、実作業する人たちの考えや感じ方をうまく導くことができれば、製作がストレスフリーでスムーズなものになるかもしれません。

また、今回の環境整備を通して、自分のやりたいことは、探したり考えるだけでなく声に出すことが重要だと改めて実感しました。
これはクリエイティブ以外のことにも当てはまると思いますが、言葉にして誰かに伝えることで、周りや思わぬところからサポートを得られることもあります。主張することで初めて見えてくることもあったり、何より自分自身に言い聞かせることにもなりますね。

サウンド制作環境はいいぞ。(^p^)
それでは。

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