はじめに
今回のプロジェクトにて「IBM Spectrum Protect」を使ってバックアップ環境を作成しましたので、
備忘録として残しておきたいと思いました。
IBM Spectrum Protect(旧Tivoli Storage Manager)の情報は少なく、
書籍も7年前に出版されたIBMの書籍以外見たことがないです。
間違っているところがありましたらご指摘いただけると幸いです。
IBM Spectrum Protectで何ができる?
SAN(Storage Area Network)やLAN経由で下記を実行することができる。
①バックアップ・リストア
バックアップとは、万が一に備えて別のストレージにデータを保存しておくことであり、リストアは保管したデータを戻すことを指す。
②アーカイブ・リトリーブ
アーカイブとは、ストレージ装置にデータを移動することで、リトリーブはアーカイブしたデータを元に戻すこと
③マイグレーション・リコール
マイグレーションとは、実データをストレージ装置に移動しておき、ポインタのみ保持することで、リコールは元の場所に実データを戻すこと
普段使わないデータを速いストレージに保管するのはもったいないですからねぇ、、、
構成
環境 | バージョン |
---|---|
WindowsServer 2016 | - |
IBM Spectrum Protect | v.8.1.8 |
IBM Spectrum Protect Client | v.8.1.8 |
サーバの構築
製品のインストール
インストーラがGUIなので、特に戸惑うところもなくインストールできる。
DB2が既に入っているサーバへはインストール不可なので注意が必要。
参考:
dsmserv.opt
サーバで変更する内容は全てこの「dsmserv.opt」に詰まっている(はず)。サーバのインスタンスディレクトリにこのファイルは配置されている。
参考:
ポリシーの定義
管理クライアントが必要なので、先にクライアントをインストールする必要がある。ポリシーの概念は下記の通り。
ポリシードメイン
管理方針に従うノードの集合体
ポリシーセット
Activeにするとポリシーセットの内容が反映される。通常は一つのポリシーセットを作成しておけば事足りる
管理クラス
バックアップコピーグループ・アーカイブコピーグループのそれぞれ1つずつが集まったもの。
クライアントオプションファイル(dsm.opt)にて包含・除外リストを記載することで、ファイル単位での世代管理が可能になる。
コピーグループ
保存先、保管世代数、保管日数などの指定を行う
ストレージオブジェクト
ボリュームは、ランダムアクセス・順次アクセスどちらとも作成可能である。
ノード定義
クライアントノードを定義する。ここで登録したパスワードでアクセスしてバックアップを行う。
クライアントの構築
IBM Spectrum Protectクライアントインストール
クライアントのインストールもGUIでぽちぽちなので間違うところはなさそうな感じでした。
参考:
dsm.opt
include-excludeリストを作成することにより、ファイル単位でのバックアップ可否や管理クラスとの紐付けが可能になる。
・・・
inclexcl [include-excludeリストのパス]
・・・
参考:
その他メモ
レクラメーション
順次ボリュームで不要になったファイルをいい感じに消してくれる。
マイグレーション
上位のストレージから、下位のストレージ(低速)に移動させるようなことをさす。TSMDBが情報を保持しているので、管理者や利用者が意識することはなく高速ストレージの容量を有効的に利用することができる。
スクラッチボリューム
事前にストレージプールに登録されていないボリューム。足りなくなったストレージプールに自動的に割り当てられる。定期的にストレージプール内で使用可能なスクラッチボリュームの数を確認する必要がある。
TSMDBバックアップ(v.8.1.2以降)
デフォルト値がv8.1.2から変更となっているので注意が必要。PROTECTKeys=Yes がデフォルトとなったため、Password の指定が必須となった。
プログレッシブ・インクリメンタル・バックアップ
永久増分バックアップ。他のソフトと違い、定期的にフルバックアップと取らないのがIBM Spectrum Protectの特徴の一つだそう。ストレージの使用率削減が可能。