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【7ステップ】開発タスクを確実に完走するための実践ガイド

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参考記事

この記事は以下の記事に大きく影響を受け、書きました。わたし自身の学習記録の側面が強いです。元記事が非常に参考になるので、ぜひご一読ください。

【新人プログラマ応援】開発タスクをアサインされたらどういう手順で進めるべきか by @jnchito


はじめに

「このタスク、お願いできる?」

実務に入って間もない頃、この一言がどれだけプレッシャーになるか。期待に応えたい気持ちと、何から手をつけていいかわからない焦り。そのギャップで苦しんでいる開発者は意外と多いはずです。

この記事では、タスクをアサインされてから完了するまでの具体的な進め方を、実例ベースで解説します。

この記事で想定する読者

  • 実務経験が浅く、タスクの進め方に不安を感じている開発者
  • タスクに着手したものの、途中で詰まって動けなくなってしまう人
  • 「もっと効率的な進め方があるはず」と感じている人

想定する開発シナリオ

プロジェクト: Laravel製の社内管理システム(運用3年目)
タスク内容: ユーザー管理画面に検索フィルター機能を追加

  • 名前、メールアドレス、登録日範囲で絞り込み可能に
  • 検索条件をURLパラメータで保持
  • 検索結果はページネーション対応

開発環境はセットアップ済み、という前提で進めます。


Step 1: 現状把握 – 今のシステムを「体験」する

やること: ローカル環境で実際に画面を操作して、現行の挙動を確認する

最初にすべきはコードを読むことではなく、画面を触ることです。

具体的なチェックポイント

  • ユーザー管理画面にどうアクセスするか?(メニュー構造、URL)
  • 現在の一覧表示はどんな状態か?(ソート順、表示項目、件数)
  • ページネーションは既に実装されているか?
  • 類似機能は他の画面にあるか?(他のマスタ管理画面など)

なぜこれが重要か

画面を触らずにいきなりコードから入ると、「この画面ってこういうUIだったのか...」と後で気づいて手戻りが発生します。ユーザー視点で現状を体験することで、追加する機能がどうあるべきか具体的にイメージできるようになります。

よくある落とし穴:

  • 権限不足でページが表示できない → シーダーで管理者ユーザー作成が必要
  • テストデータが足りなくてページネーションの動作確認ができない

Step 2: 要件の解像度を上げる – 曖昧さを残さない

やること: 機能の仕様を具体的なレベルまで詰める

「検索フィルター追加」という指示だけでは情報が足りません。実装に必要な粒度まで要件を明確にします。

確認すべき項目リスト

UI/UX面

  • フィルターの配置場所は?(一覧の上? サイドバー?)
  • 検索ボタンのラベルは?「検索」「絞り込み」「フィルター適用」?
  • リセットボタンは必要?
  • 検索中のローディング表示は?
  • 検索条件が空の場合はどうする?(全件表示? エラー?)

機能面

  • 部分一致? 完全一致? 前方一致?
  • 日付範囲の指定方法は?(カレンダーUI? テキスト入力?)
  • 複数条件を指定した場合はAND検索? OR検索?
  • 検索結果のソート順は?(登録日降順? 名前昇順?)

非機能面

  • 何万件までデータが増える想定?(パフォーマンス要件)
  • 検索結果のページネーションは何件/ページ?
  • URLパラメータで検索条件を共有可能にするか?

既存機能から学ぶ

他の画面に似た検索機能があれば、その実装を確認しましょう。UIの統一感だけでなく、共通コンポーネントが使えるかもしれません。

「なぜ」を理解する

タスクの背景も聞いておくと、より良い実装案が見えてきます。

  • 誰がこの機能を使うのか?(管理者? 一般ユーザー?)
  • どんな課題を解決したいのか?(現状の不便さは?)
  • どれくらいの頻度で使われる?(毎日? たまに?)

: 「サポート担当が毎日、特定期間に登録したユーザーを確認する作業がある」という背景を知れば、日付範囲の入力UIをより使いやすくする必要性が見えてきます。


Step 3: コードの地図を描く – 実装の全体像を掴む

やること: 関連するコードを読んで、どこに何があるか把握する

ここでようやくコードを開きます。ただし書くためではなく、読むためです。

調査ポイント

ルーティング

routes/web.php の該当部分を確認
→ ユーザー管理画面は resource() 使ってる? 個別ルート定義?

コントローラー

UserController@index の現在の実装は?
→ ページネーションはどう実装してる?(simplePaginate? paginate?)
→ クエリビルダーの書き方は?

ビュー

resources/views/users/index.blade.php
→ どのレイアウトを継承してる?
→ どんなコンポーネントを使ってる?(Bootstrap? Tailwind? 独自CSS?)

モデル

User モデルにスコープはある?
→ 検索用のローカルスコープを追加すべき?

既存の類似機能

他の管理画面に検索機能があれば参考にする
→ FormRequest でバリデーションしてる?
→ 検索条件の保持方法は?

テストコードの確認

既存のテストがあるか確認します。

  • Feature テストでユーザー一覧のテストはある?
  • どんなテストケースが書かれてる?
  • テストの書き方のお手本として使えそう?

テストがない場合: 今回新たに書く必要があります。工数見積もりに含めましょう。

データベースの確認

-- usersテーブルの構造確認
DESCRIBE users;

-- 本番相当のデータ件数確認(開発環境で)
SELECT COUNT(*) FROM users;

-- インデックスの確認
SHOW INDEX FROM users;

検索対象カラムにインデックスが貼られていない場合、パフォーマンス問題が起きる可能性があります。


Step 4: タスクを「食べられるサイズ」に分解する

やること: 実装内容を30分〜1時間で完了できる小タスクに分ける

ここが最も重要なステップです。大きなタスクは誰も完了できません。 小さく切り分けて、1つずつクリアしていきます。

分解例: 検索フィルター機能

□ ルーティング設定
  - routes/web.php で検索パラメータを受け取れるように確認(既存ルートで対応可能か?)

□ FormRequest 作成
  - SearchUserRequest を作成
  - バリデーションルール定義(name, email, registered_from, registered_to)

□ コントローラー修正
  - UserController@index で検索パラメータを受け取る
  - 検索ロジックを実装(クエリビルダーでWHERE句追加)
  - ページネーションに検索パラメータを引き継ぐ

□ ビュー作成
  - 検索フォームのHTMLを作成
  - 既存の一覧表示の上に配置
  - 検索ボタンとリセットボタン追加

□ 検索条件の保持
  - 検索後も入力値をフォームに再表示
  - old() ヘルパーを使う

□ 空検索時の挙動実装
  - 全項目未入力時は全件表示
  - バリデーションメッセージ表示

□ スタイリング調整
  - フォーム要素のレイアウト調整
  - レスポンシブ対応確認

□ テスト作成
  - Feature テストで検索パターン網羅
    - 名前のみで検索
    - 複数条件での検索
    - 日付範囲での検索
    - 該当なしの場合

分解のコツ

  1. ファイル単位で分ける: 1タスク = 1〜2ファイルの修正
  2. 動作確認できる単位にする: 各タスク完了後に「動いた!」を確認できるように
  3. 依存関係を意識する: FormRequestを先に作らないとコントローラーが書けない、など
  4. 見積もりも書く: 各タスクに所要時間の目安を付ける

見積もりの記入例

□ FormRequest 作成 (20分)
□ コントローラー修正 (40分)
□ ビュー作成 (60分) ← 一番時間かかりそう
□ テスト作成 (50分)

不安なタスクには「⚠️」マークをつけておきます。

□ ビュー作成 (60分) ⚠️ Blade初めて書くので時間かかるかも

Step 5: 実装方針をレビューしてもらう

やること: タスク分解の内容を先輩エンジニアに確認してもらう

ここまで、まだコードは1行も書いていません。

これが重要です。いきなりコードを書き始めると、方向性を間違えて大幅な手戻りが発生するリスクがあります。

相談時に伝えること

  1. タスクの理解: 「ユーザー管理画面に検索フィルターを追加します」
  2. 実装方針: 「FormRequestでバリデーションして、コントローラーで検索条件を受け取って...」
  3. タスク分解リスト: 「こういう順番で実装しようと思っています」
  4. 所要時間見積もり: 「トータル4時間くらいを想定しています」
  5. 不安な点: 「Bladeでの日付入力UIが初めてなので、ここで詰まるかもしれません」

得られるメリット

  • 実装方針の間違いを早期発見
  • 「もっと簡単な方法あるよ」というアドバイス
  • 不安な部分への事前サポート約束
  • 「そこまで分解できてれば大丈夫」という安心感

Step 6: 実装する – 小タスクを1つずつ潰す

やること: タスクリストに沿ってコードを書く

ようやくコーディング開始です。でも、もう迷うことはありません。やることが明確だからです。

実装時の基本ルール

ルール1: 上から順番にやる

タスクリストの順番には意味があります。飛ばさずに上から進めましょう。

ルール2: 1タスク完了ごとにコミット

git commit -m "Add FormRequest for user search"
git commit -m "Implement search logic in UserController"

小刻みにコミットすることで、問題が起きても戻りやすくなります。

ルール3: WIPプルリクエストを作る

実装開始したら、すぐにWIP(Work in Progress)のプルリクエストを作成。

[WIP] Add search filter to user management screen

これにより、他のメンバーが進捗を確認でき、早期にフィードバックがもらえます。

ハマったら30分ルール

実装中に詰まったら、30分で見切りをつけます。

1. 詰まった → タイマー30分セット
2. 30分後 → まだ解決してない?
3. → すぐに助けを求める

「自分で解決したい」という気持ちはわかりますが、1人で3時間悩むより、先輩と15分ペアプロする方が圧倒的に効率的です。

中間レポートを出す

正常系が動くようになったタイミングで、一度動作確認してもらいます。

「名前検索までは動くようになりました。方向性合ってますか?」

こうすることで、仕様の認識ズレによる手戻りを防げます。


Step 7: レビューを受けて完了

やること: プルリクエストのWIPを外してレビュー依頼

全タスクのチェックが埋まったら、実装完了です。

完了前のセルフチェック

  • すべての検索パターンをブラウザで手動確認した
  • テストが全てパスする
  • コミットメッセージが適切
  • 不要なコメントアウトやconsole.logが残っていない
  • コードフォーマットが整っている(Pint/Linterを実行)

プルリクエストの説明文

## 概要
ユーザー管理画面に検索フィルター機能を追加しました。

## 変更内容
- 名前、メールアドレス、登録日範囲での検索が可能に
- 検索条件をURLパラメータで保持
- 検索結果のページネーション対応

## 動作確認
- [x] 名前のみで検索
- [x] 複数条件での検索
- [x] 検索結果0件の場合
- [x] ページネーション動作

## スクリーンショット
(実際の画面キャプチャを添付)

レビューで修正依頼が来ても、大きな手戻りはないはずです。事前に方針を確認しているからです。


まとめ: なぜこの手順が有効なのか

この記事で紹介した7ステップは、一見遠回りに見えるかもしれません。

でも実は、これが最短ルートです。

従来のやり方(失敗パターン)

タスクを受ける
→ いきなりコーディング開始
→ 途中で仕様の不明点に気づく
→ 実装方針を間違えていたことが判明
→ 大幅な手戻り
→ 納期遅延

この記事のやり方(成功パターン)

タスクを受ける
→ 徹底的に事前調査
→ タスクを小さく分解
→ 実装方針を確認
→ 迷わずコーディング
→ 計画通り完了

最も重要なポイント

「急がば回れ」 です。

焦ってコードを書き始めるのではなく、ゴールまでの最短経路を見つけることに時間を使う。最短経路が見えたら、あとは迷わず進むだけ。

タスクを「食べられるサイズ」に切り分ければ、誰でも完走できます。


おわりに

実務経験が浅い頃は、タスクをもらうたびに不安になります。でも、正しい手順を知っていれば、その不安は確実に減っていきます。

この記事が、誰かの「初めてのタスク完走」の助けになれば嬉しいです。

もし詰まったときは、遠慮せずに周りに助けを求めてください。それもまた、プロの仕事の進め方です。

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