Administrateとは
AdministrateはRails用の管理画面Gemの有名どころのひとつです。
Rails界隈では FactoryBot の開発元として有名な thoughtbot が開発しています。
DSLなしでRailsの標準のみで構成されているというコンセプトであり、Rails標準の作法のみでカスタマイズが行えるため、とても扱いやすい管理画面ライブラリでした。
ただ、まだまだ一般的に使えるようになるには機能が不足しているにも関わらず開発は停滞しており、バージョンも10年間ずっと v0.x 系が続いていました。
私は2024年頃から、自分のアプリケーションで使っていて不満に思っていた部分などをPRで提案するような形で参加しており、いくつか大きめの機能も採用してもらっていました。
2024年はver.1リリースに向けて先方が少し動き出していた時期だったため、比較的対応してもらえた印象ではありますが、それでもレスポンスは非常に遅いと感じていました。
ついに正式リリース
それが2025年11月、ようやく v1.0.0 リリースとなりました。
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Rails7/8対応、Stimulus対応などが入り少しモダンになりつつ、新機能も少し入り、待望のリリースとなりました。
リリースはthoughtbotのオフラインイベント中にライブで行われたようです。すごい。
ひと区切り
しかし、これはあくまでひと区切りです。
長年開発が停滞していたことにより最新のRails事情に追従できていない部分も多く、この先開発を進めていくと必ず大量のBreaking Changesが発生するため、その影響が少ないうちに一旦v1.0としてリリースしておきましょう。くらいだと思います。
ここから先の開発次第では次期バージョンは互換性のないほどの変更があるかもしれません。
実際、私が今出しているPRやIssueでは結構大規模にリファクタリングする案を相談中であり、先方もそれなりに肯定的なので、そういう方向になるかもしれません。
まだ使わないでもらいたい
ということで、ver.1にはなりましたが、Administrateはまだまだ開発中です。
今まで互換性を気にしていて大きく変えることができなかった部分をこれから大きく変えていくことが予想されるため、今導入してしまうと次期バージョンへの対応が地獄になると思いますので、今はまだ様子を見ていることをオススメいたします。
次期バージョンの予定
次期バージョンに向けてこんな案が進行中です。
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コンテキスト注入
- ユーザーのロールによってフォームを出し分ける といった要望に現状ほぼ対応できないため、各所にコンテキストを注入し、動的な出し分けに対応しやすいようにする
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フィールドのカスタムルック
- 同じフィールドタイプだけど見た目だけちょっと変えたい という場合にカスタムルック用のテンプレートを指定できるようにする
- i18n関係の改善
- アルファベット圏向きな所がどうしても多く、日本語で使うには不便な所が多々あったため、改善を提案中
- turbo-streamやjsonレスポンスへの対応
- 今までずっとHTMLレスポンス限定だったため、各種フォーマットに対応できるような改善を提案中
- ロール毎の複数管理画面作成に対応
- システム管理者向け、コンテンツ管理者向け、など複数ロールでそれぞれの管理画面を作れるようにする
- 昔から要望が多かったが公式対応はされていなかったため、提案して導入していきたい
- 編集フォームと閲覧フィールドの混在を可能にする
- 編集できる項目しか編集画面に出ないため、今ID何番の誰の最終更新日いつのレコードを編集しているのかといった情報がわからなかった
- ※Railsのviewで普通にカスタムできるので、出したければそう書けば出るが、公式機能で勝手に出てくれた方が楽なので
- 検索エンジン、ページネーター系の依存gemをなくし、プラグイン機能化
- 独自の簡易的な検索機能とkaminariに依存しているため、これを利用者が好きなものを選んで使えるようにプラグイン化する案がでている
などなど、盛りだくさんです。
これがいつまでに出来るかまた分からないのがつらいところですが、なるべく早めに出来ればいいなと思っています。
おわり
以上、大遅刻しましたが、こちらは「Ruby/Rails Advent Calendar 2025」の11日目の記事です。(7日遅刻すみません)
Administrateは管理画面のCRUDをセキュアにDRYに導入・運用することができる優秀なツールですので、ご興味持たれましたら是非お試しください。
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AdministrateのControllerを分析し、RailsでセキュアなCRUDを作る方法を以前解説しておりますので、よければこちらもご覧ください。