調査の背景
- 会社のとあるWEBサイトの管理を急遽任されることになった
- 前任者はすでに退職済みのため、過去の運用フローや設定状況が不明
- サーバー環境を確認したところ nginx+Apache構成 であることが判明
- 管理には cPanel(WHM) が使われていることも確認
最近のトレンドとnginx + apache構成
📌 結論
「nginx+Apache同居」はいまだに見かけるが、今の主流はnginx単独運用、もしくはクラウド/CDNと組み合わせた構成です。
新しく立てるなら「nginxのみ」か「nginx+PHP-FPM」がおすすめです。
→つまり、現在はあまり使われていないみたいである。
そこで歴史を調べてみることにした。
nginx + apacheの歴史
nginx+Apache共存構成が広まった時期
2009〜2013年ごろ
nginxが「軽量で高速なリバースプロキシ/静的コンテンツ配信用」として注目され始める。
当時はApacheが圧倒的シェアだったので、既存システムを置き換えるのではなく、**「フロントにnginx、裏にApache」**という組み合わせが広まった。
特に WordPressやCMSを大量にホスティングしているレンタルサーバー業者 が、この構成を導入。
2014〜2017年ごろ
HTTP/2対応やSSLオフロードでnginxの強みがさらに注目される。
一方でApache資産(.htaccessや古いモジュール)も多く残っていたため、共存構成が「現実解」としてよく採用されていた。
この頃が ピーク と言える。
その後の流れ
2018年以降
新規構築では「nginx単独(+PHP-FPMなど)」が主流になり、Apacheを新規導入するケースは減少。
Dockerやクラウド環境では、Apacheごと切り捨ててアプリケーションサーバー(Node.js, Python, PHP-FPM)+nginxという構成が増加。
レンタルサーバーでも徐々に「Apache主体 → nginx主体」へ移行。
現在(2020年代半ば)
共存構成は「レガシー資産を抱える環境」では残っているが、新規構築ではほとんど選ばれない。
したがって「過渡期の構成」という位置づけ。
nginxとapacheの役割の違い
nginx の特徴
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リバースプロキシ/ロードバランサー
- 大量の同時接続を効率的に処理できる(イベント駆動型)
- SSL終端やロードバランシングに強い
-
静的コンテンツ配信が高速
- HTML, CSS, JS, 画像などをキャッシュ込みで効率的に配信
-
軽量・シンプル
- 設定はシンプル、必要な機能だけ組み込み
👉 「玄関口」や「交通整理役」に向いている
Apache の特徴
-
動的コンテンツ処理に強い
- PHP, CGI, Perl, Python, Ruby など多彩なモジュールを利用可能
-
.htaccess による柔軟な制御
- ディレクトリ単位で設定を変更できるため、レンタルサーバーやマルチユーザー環境に便利
-
豊富なモジュールと歴史的資産
- 長年の利用実績と互換性の高さ
👉 「裏方でアプリ処理を担当する大黒柱」
おすすめの使い分け
-
新規構築の場合
- 基本は nginx 単独(+PHP-FPMやアプリケーションサーバーと組み合わせ)
- 軽量・高速でモダンな設計のため、クラウドやコンテナ環境と相性が良い
-
既存のApache資産が多い場合
- nginx(フロント)+Apache(バックエンド) の共存構成が現実的
- .htaccessや古いモジュールを活かしながら、フロントの高速化やSSL処理をnginxに任せられる
-
レガシー環境の継続利用
- Apache単独で運用しているケースも依然多い
- 特に.htaccessを多用するレンタルサーバー環境や古いCMSでは有効
📌 まとめ
- 新規なら nginx 単独がおすすめ
- 移行期・既存資産ありなら nginx+Apache 共存
- レガシー資産が多い場合は Apache 継続利用もあり
cPanelの基本設計
- cPanelは長年 Apacheベース に作られてきた
- 特に .htaccess や ユーザーごとの仮想ホスト の仕組みは Apache 前提
- そのため歴史的には「cPanel = Apache」が基本
nginxの位置づけ
- 最近の cPanel では Apacheのフロントにnginxを置く構成が公式サポートされている
- nginxはリバースプロキシとして動作し、以下を担当:
- 静的ファイルの配信
- SSL終端
- Apacheは引き続き 動的コンテンツ処理(PHPなど) を担当
主流構成の実態
- 従来の主流 → Apache単独(昔からの標準構成)
- 現在の推奨構成 → nginx+Apache(公式サポートあり、性能改善が可能)
- 非主流/例外 → nginx単独(.htaccessや互換性の問題でcPanelでは不向き)
結論
- 歴史的には Apacheのみが主流
- 現在は nginx+Apacheが推奨される構成(事実上の最新標準)
- nginx単独はcPanelと相性が悪く、ほとんど使われない
nginx+Apache構成についてわかったこと
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nginxの役割
- リバースプロキシとしてフロントに立ち、SSL終端や静的コンテンツ配信を担当
- 負荷分散やキャッシュにも利用できる
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Apacheの役割
- バックエンドで動的コンテンツ(PHPやCGIなど)を処理
- .htaccessを用いた柔軟な設定や既存資産との互換性を確保
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cPanel環境での主流構成
- 歴史的には「Apache単独」が主流
- 現在は「nginx+Apache」が公式にサポートされ、性能改善やセキュリティ強化のために推奨されている
- nginx単独構成はcPanelの仕組みと相性が悪く、基本的に採用されない
-
cPanel環境では「nginx+Apache構成」が現在の推奨構成である
- nginxがフロントでリバースプロキシとして動き、Apacheがバックエンド処理を担当する
Apache単独運用は昔からの標準だが、現在は性能面からnginx併用が一般的になっている
nginx単独運用はcPanelの仕様と合わず、現実的ではない
管理者としては、まずは「現状のnginx+Apache設定がどうなっているか」を把握・記録し、
運用上必要であれば公式ドキュメントやWHMの設定画面を活用して管理していくのが良い