VLANとは
VLAN(Virtual LAN)は、1台のスイッチに接続された機器を、物理的な配線とは無関係に論理的なグループへ分ける技術。
実際には1つのネットワークなのに、「別々のネットワークということにする」仕組み、と考えるとイメージしやすい。(参考: 「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるIT用語辞典)
VLANで出来ること
VLANを使うと、同じスイッチにつながった端末を、設定だけで複数のネットワークに分けられる。
分けた各グループには「VLAN ID」が付き、同じVLAN内でだけ通信できる。
スイッチは「郵便・宅配の仕分け係」にたとえることができる。
「PC1・PC2の間と、PC3〜PC5の間でしか荷物を届けない」と決めれば、配線も機器の置き場所も変えずに、実質2つのネットワークに分かれる。
(物理的には1つ、論理的には2つのネットワーク。)
[ スイッチ(1台) ]
│ │
┌─ VLAN10 ─────┐ × ┌─ VLAN20 ──────────┐
│ PC1 PC2 │ │ PC3 PC4 PC5 │
└──────────────┘ └────────────────────┘
異なるVLAN間は、スイッチが中継しないため直接通信はできない。
VLANを導入するメリット
-
ブロードキャスト(全員宛ての一斉送信)の範囲を限定できる
→不要なトラフィック(ネットワークを流れるデータ)が減り、通信が軽くなる。 -
セキュリティが向上する
→部署ごとにVLANを分ければ、情報が他のグループへ流れ出ない。 -
変更に強い
→席替えや組織変更も、配線を変えずスイッチの設定だけで対応できる。
VLANの種類
VLANは「どの基準で端末をグループに振り分けるか」によって、
大きく4種類に分けられる。
| 種類 | グループ分けの基準 | 特徴 |
|---|---|---|
| ポートベースVLAN | スイッチの物理ポート | 設定が単純で最も広く使われる。端末を別ポートへ差し替えると所属VLANが変わる |
| アドレスベースVLAN | 端末のMACアドレスやIPアドレス | 端末をどのポートに挿しても同じVLANに所属できる。端末ごとの登録管理が必要 |
| プロトコルベース(ポリシーベース)VLAN | IP、IPX、AppleTalkなどのネットワークプロトコル | 通信プロトコルごとにグループを分けられる。現在は利用場面が限られる |
| タグVLAN | パケットに付加するVLANタグ(IEEE 802.1Q) | 複数のスイッチ間で同じVLANを共有できる。大規模ネットワークの標準的な方式 |
このほかにも、MACアドレスで分けるMACベース、IPのサブネットで分けるサブネットベース、認証結果で分けるユーザベース(認証VLAN)といった方式もある。
タグVLANは、スイッチ間の1本のリンク(トランクポート)に複数VLANの通信を流せるため、複数のスイッチにまたがる構成の標準。
VLAN間通信とレイヤ3スイッチ
異なるVLAN同士で通信させるには、ルータやレイヤ3スイッチ(ルーティング機能を持つスイッチ)でパケットを中継する。通信を許可するかどうかのルールも、そこで設定できる。
まとめ
・VLANは、スイッチ上でネットワークを論理的に分割する技術のこと。
・端末をグループ分けする基準によって、ポートベース、アドレスベース、プロトコルベース、タグVLANの4種類がある。
・同じスイッチにつながっていても、異なるVLAN同士は直接通信できない。
・VLAN間で通信するには、ルータやレイヤ3スイッチによるルーティングが必要。
・複数のスイッチにまたがってVLANを構成するなら、IEEE 802.1QのタグVLANを使う。
