プログラミングの需要が高まる中, 初等教育で実際に使用され理科教育に直結
するような利用はほぼない.現在はScratchのようなソフトウェアを用いてプロ
グラミング的思考力を鍛えるという導入の要素が強いが, 実際の計算過程を自動
化するようなアルゴリズムを自分で組み立てることにプログミング教育および,
それを利用した理科教育の意義があると考える.
Pythonはもともと教育用に開発されたabc言語が実用性に適さないためさらに
使いやすく, 可読性の高いものに開発された経緯がある. Pythonが生まれてすで
に20年以上経過した2020年現在でもその人気は向上し, AI(Airtificial
Intelligence)や画像認識処理の開発に使われていることでも有名である. 科学
計算分野では一定の地位をすでに確立しており, 豊富なライブラリから科学者の
間で人気の言語となっている. アメリカではGoogleやNASAで使われている言語と
して注目され, 日本でも利用者が増えるPythonの具体的な利用方法を研究として
示したい.
Pythonを用いて水のMDシミュレーション結果をを定量的に計算することでより具体
的な教材としての利用価値について示す. オブジェクト指向の言語を使い, 自身
が行いたい操作を可能にすることで道具としてのプログラミングの価値を認識
できるようにすることを目的とした.