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Bash5.1の仕様変更に巻き込まれてCIが落ちた話

Last updated at Posted at 2022-11-20

お知らせ

この記事は https://zenn.dev/gecko655/articles/bash5-1-array-here-string との重複投稿です。
また、この記事を最後に記事投稿環境をzenn ( https://zenn.dev/gecko655 ) に移動しています。

発生したこと

bashでは以下のようにarrayを定義することができます。

$ arr=("a" "b")
$ echo ${arr[0]}
a
$ echo ${arr[1]}
b
$ echo ${arr[@]}
a b

arrayに空文字が含まれていると、想定したとおりに動きます。

$ arr=("" "a")

$ echo ${arr[0]}

$ echo ${arr[1]}
a
$ echo ${arr[@]}
a

しかし、ここでarray変数に対してhere stringリダイレクトをしたときに、bash5.0以前と5.1以降で異なる挙動をするようです。
例えば↓を実行してみます。

arr=("" "a")
tee -a <<< ${arr[@]} | hexdump -C # どのようなバイト列が得られたのかを表示する

(ここから先の検証ではdockerを使います。便利な世の中ですね)

# Bash 5.0
$ docker run --rm bash:5.0 bash -c 'arr=("" "a"); tee -a <<< ${arr[@]} | hexdump -C'
00000000  61 0a                                             |a.|
00000002

# Bash 5.1
$ docker run --rm bash:5.1 bash -c 'arr=("" "a"); tee -a <<< ${arr[@]} | hexdump -C'
00000000  20 61 0a                                          | a.|
00000003

Bash 5.1 では、 スペースを表す 20 が先頭に出力されるようになりました
空文字がarrayに含まれているときのhere stringリダイレクト周りの挙動が、Bash 5.0〜5.1の間で変更されたようです。

c. Here documents and here strings now use pipes for the expanded document if
it's smaller than the pipe buffer size, reverting to temporary files if it's
larger.

  • bashのコミットログは5.0〜5.1の差分を1コミットにsquashされているため、どの差分がこの仕様変更に関わっているのかよくわからない

  • array変数をhere stringでリダイレクトするのではなくarray変数をファイル出力すると、Bash 5.1のhere stringリダイレクトの挙動と同様に先頭にスペース( 20 )が入る。

$ docker run --rm bash:5.0 bash -c 'arr=("" "a"); echo "${arr[@]}" > tmpfile; cat tmpfile | hexdump -C '
00000000  20 61 0a                                          | a.|
00000003

$ docker run --rm bash:5.1 bash -c 'arr=("" "a"); echo "${arr[@]}" > tmpfile; cat tmpfile | hexdump -C '
00000000  20 61 0a                                          | a.|
00000003

つまり……

x bash 5.0 bash 5.1
空白つきarrayをhere stringする スペースが入らない スペースが入る
空白つきarrayをファイル出力する スペースが入る スペースが入る

Bash 5.0以前でhere stringリダイレクト時にarrayの空文字要素が出力されなかったのは不具合っぽい?

Bashのバージョン差(しかもマイナーバージョン)の影響を受けることなんてあるんだな〜と思いました(小並感)。

Q&A

なんでBashのバージョンをアップデートしたの?

能動的にBashのバージョンをアップデートしようとしたわけではなく、CI(GCP cloud build)で使っているBashのバージョンが勝手にアップデートされてしまい、今回の問題が発生しました。

今回のCIでは、↓にある「CloudBuildに初めから存在するDockerImage」を使うことで、ビルド用Docker Imageをpullしないで済むようにしています。

  • 具体的には gcr.io/google.com/cloudsdktool/cloud-sdk:cloudbuild_cache を使っています。

このイメージはなんらかのDebianっぽいLinuxになんらかのBash及びcloudsdkがインストールされているイメージで、cloudbuild_cache タグはcloud buildのジョブ内以外では見えないタグです。そのため、このタグは任意のタイミングで更新される可能性があります。また、最新のバージョンが使われている保証もありません。

  • cloudbuild_cache タグのイメージについては特にGCPのドキュメントに書いてあるような仕様ではないのですが、Googleの方に直接聞いたところ、「最新のイメージが使われること等は保証できないが、使っても大丈夫」との返答をいただいています。

このイメージが2022-10-29〜2022-10-30の間に更新され、Bashのバージョンが5.1に上がったため、 なにもしてないのにCIが落ちるようになった のでした。

この仕様変更でCIが落ちるってどんなCI実装だったの?

空arrayを初期化する際に、

arr=()

とすべきところが、なぜか

arr=("")

になっていました。

arr=("") では長さ0の配列ではなく、空文字の要素が入っている長さ1の配列が定義され、Bash 5.0以前ではこれらの2つに挙動の差がなく気が付かなかったのですが、Bash 5.1にアップデートされたことで問題が顕在化しました。

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