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標準技術で「ゼロトラスト」はここまでできる──現場視点から考える運用とSOCのリアル

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■ はじめに
「ゼロトラスト」という言葉がセキュリティ界隈でバズって久しいですが、その実装はとても複雑でお金も手間もかかる──そんな印象を持っている方も多いのではないでしょうか?

しかし、標準技術の組み合わせで、かなりの部分までゼロトラストを実現できるのも事実です。今回は「技術的な理想と現場運用のギャップ」「自動化によるSOC機能の再構築」なども含めて、ゼロトラスト実装のリアルに迫っていきます。

■ ゼロトラストとは何か?──もう一度、根本から
まず押さえておきたいのは、ゼロトラストアーキテクチャ(Zero Trust Architecture:ZTA)は信頼しないことを前提とした設計思想であるという点です。

従来のセキュリティモデルは以下のような「前提」に基づいていました:

情報資産は社内(境界内)にある

利用者も社内からアクセスする

信頼されたIDとパスワードを使う

脅威は外部にある

しかし今は、クラウドやモバイルの普及、リモートワークの常態化によってこの前提がすでに崩壊しています。VPNの脆弱性やサプライチェーン攻撃のように、境界内=安全ではないという現実が突きつけられています。

■ ゼロトラストの実装要素(SP800-207に基づく)
米NISTのSP800-207では、ゼロトラスト実装に必要な7つの設計指針が挙げられています。

すべてをリソースとみなす

すべての通信を暗号化

アクセスは都度、動的に許可・拒否を判断(キャッシュに依存しない)

動的ポリシーを活用

常時監視(24H365D)

認証・認可を継続的に実施

さまざまな情報を統合して判断

つまり、「アクセスする瞬間」に、ユーザー・端末・通信・ポリシーすべてを多角的にチェックし、都度判断する必要があるわけです。

■ ゼロトラストの鍵は「標準技術」と「運用設計」
ここで本題。「ゼロトラストの多くは、標準技術だけで実現可能」です。

たとえば以下のような要素を組み合わせることで、ゼロトラストの中核部分を支えることができます。

ID認証基盤:Azure AD / Okta など

端末管理(EDR/MDM):Microsoft Intune、Jamf

通信管理:SASE(Secure Access Service Edge)、SDP(Software Defined Perimeter)

行動分析:SIEM + UEBA

ファイル監視:NetApp連携などで怪しい操作のログ監視

また、SOC(Security Operation Center)機能を自動化する取り組みも進んでいます。SIEMやSOARのようなツールを通じて、「怪しい動作の検知」「ポリシーによる自動対応」「アラートチューニング」を人の手から解放していくのです。

■ ゼロトラスト運用のリアルな課題
とはいえ、理想通りにいかないのが現場です。

部署ごとにツールの理解度が異なり、設計思想がバラバラ

マルチベンダー構成による「ベンダー間の壁」

人事データやID情報の整備不足

動的ポリシーの運用が難しく、ルールの管理も煩雑に

ログ保管のコストが高騰(2週間しか保存できない例も)

ゼロトラストでは**「全体像を理解できる人」**の存在が重要です。セキュリティ・ネットワーク・インフラ・ID管理……それぞれの分野を横断し、統合設計を実行できるリーダーシップが求められています。

■ クラウドとSOCの自動化で「持続可能なゼロトラスト」へ
MicrosoftやGoogle、AWSなどクラウドベンダーは、ゼロトラスト対応の機能を続々と標準実装しています。たとえば:

AzureとCrowdStrikeのEDR連携

ユーザーの異常行動をスコア化して通信遮断

CIAM(Customer IAM)で顧客IDの統合管理

つまり、**「自社ですべて構築しなくても、クラウドと連携すれば実現可能」**な時代が到来しているのです。

■ ゼロトラストを「導入できるところ」「できないところ」
忘れてはならないのは、ゼロトラストが万能ではないということ。たとえば、リアルタイム性が重要な車載ネットワークや工場制御系のシステムでは、ゼロトラストによる常時チェックは現実的ではありません。

**どこにゼロトラストを適用し、どこは別の対策で守るか。**その見極めが、セキュリティ設計者の腕の見せ所です。

■ 結論:ゼロトラストは「技術」ではなく「運用の思想」
ゼロトラストの本質は「ネットワークを信用しない」ことではなく、信用を動的に再評価し続けるという運用設計にあります。

標準技術でここまでできる

クラウドやSOCの自動化で運用がしやすくなる

しかし設計・ポリシー・ルールの統合がなければ破綻する

結局のところ、ゼロトラスト導入の成否を分けるのは「ツール」ではなく「組織力と理解力」なのです。

■ おわりに
ゼロトラストは一朝一夕にできるものではありません。でも、今ある技術を正しく組み合わせれば、大げさな投資なしにかなりの部分を実装できるという希望もあります。

このNoteが、あなたのゼロトラスト構想を一歩進めるきっかけになれば幸いです。

と、note向けの記事を投稿してみたのですがqitaの場合AI記事は検閲を受けて削除されるのかな

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