VirtualCast上にUnityちゃんを表示してアニメーションさせる

VirtualCastでは、VR空間上にユーザーが作った3Dオブジェクトを配置し、Luaスクリプトから自由に操作できます。このインタラクティブな3Dオブジェクトを**VCI(Virtual Cast Interactive)**と言います。

VCIのSDKであるUniVCIは、v0.21から複数のアニメーションを再生させる機能が追加されました。この機能を用いて、Unityちゃんの3Dモデルをスクリプトによってアニメーションさせてみます。

VCIの詳細は、こちらをご覧ください。
https://virtualcast.jp/wiki/doku.php

UniVCIは、こちらからダウンロードできます。
https://github.com/virtual-cast/VCI/releases

Unityちゃんの3Dモデルはこちらからダウンロードします。
http://unity-chan.com/

今回はSDユニティちゃん 3Dモデルデータ 1.01を用います。

プロジェクトの作成と準備

必要なファイルは、以下の2つです。

• SD_UnityChan-1.unitypackage (http://unity-chan.com/)
• UniVCI-0.21.unitypackage

Unityは2018.4.8を使用します。

1. Unityで新規に3Dプロジェクトを作成してください。

2. PlayerSetting の Api Compatibility Level を .NET 4.x にしてください。
   

3. SD_UnityChan-1.unitypackage と UniVCI-0.21.unitypackage をダブルクリックして、プロジェクトに導入してください。

これで準備は完了です。

3Dモデルの準備

Unityちゃんの3DモデルをVirtualCast上で表示させるには、マテリアルとアニメーションの変換が必要になります。

1. Assets/UnityChan/SD_Unitychan/Models/Materialsにある5つのマテリアルのShaderをVRM/MToonに変更してください。

2．Assets/UnityChan/SD_Unitychan/Animations/SD_unitychan_motion_Genericにある、以下のアニメーションクリップを複製し、Legacyのチェックを有効にしてください。

• Standing@loop
• Running@loop
• Salute

それぞれのアニメーションクリップを選択し、Edit/Duplicateで複製し、インスペクタの右上のメニューからDebugモードを選択すると、Legacyプロパティが表示されるので、チェックを入れてください。

手順がよくわからない場合は、こちらのエディタ拡張を使ってください。

AnimationConverter.cs

アニメーションクリップを右クリック→Animations/CopyAnimationClipAsLegacyをクリックすると、Asset以下に、Legacy設定のアニメーションクリップが複製されます。

VCIの作成とエクスポート

変換した3Dモデルを使ってVCIを作成し、VCIファイルとしてエクスポートします。

1: シーンを新規作成し、GameObject/VCI/Plain VCIを選択し、空のVCIオブジェクトを作成してください。

VCIObjectが作成されます。

2: VCIObjectにAssets/UnityChan/SD_unitychan/Prefabs/SD_unitychan_generic.prefabをドラッグアンドドロップしてください。

SceneビューにUnityちゃんが表示されます。

3: Hierarchy上のSD_unitychan_genericを右クリック→Unlock Prefab Completelyを選択し、Prefab化を解除してください。

4: SD_unitychan_genericのInspectorを表示し、アタッチされているComponentを全て外してください。

5: SD_unitychan_genericのGameObject名をUnitychanにリネームしてください

6: UnitychanのGameObjectにAnimationコンポーネントをアタッチして、Inspectorから、AnimationsのSizeを3にして、さきほど複製したアニメーションをStanding@loop、Running@loop、Saluteの順にセットしてください。

7: AnimationのPlay Automaticallyのチェックを外してください。

UnitychanのInspectorは、このような表示になっていればOKです。

8: VCIObjectのInspectorを以下のように設定してください。

TitleとAuthorの欄に適当な値を入力してください。

ScriptsのSourceに、以下のコードを貼り付けてください。

local subItem = vci.assets.GetSubItem("Unitychan") -- アイテムを取得
local anim = subItem.GetAnimation() -- アニメーションを取得
local currentAnimationId = 0 -- 再生中のアニメーションID
local timer = 0 -- アニメーションを切り替えるためのタイマー

function update() -- UnityのUpdateと同じく毎フレーム実行される
    if timer > 0 then -- タイマーが0より上ならタイマーを減算
        timer = timer - 1
        return
    end

    local axis = vci.me.GetAxisInput() -- キーボードの軸入力を取得
    axis.y = 0 -- y軸の入力は無効化

    if axis == Vector3.zero then -- 軸入力がない時
        SwitchAnimation(0, true) -- アイドルアニメーションを再生
    else -- 軸入力がある時
        local currentPos = subItem.GetLocalPosition() -- 現在位置を取得
        local nextPos = currentPos + axis * 0.05 -- 次の位置を決める
    
        subItem.SetLocalPosition(nextPos) -- 次の位置をセット
    
        local rot = Quaternion.LookRotation(axis, subItem.GetUp()) -- 次の回転を設定
        subItem.SetLocalRotation(rot) -- 次の回転をセット

        SwitchAnimation(1, true) -- 走るアニメーションに切り替える
    end

    if vci.me.GetButtonInput(1) then -- 数値キーの1が押された時
        timer = 70 -- タイマーをセット
        SwitchAnimation(2, false) -- 敬礼のアニメーションを再生
    end
end

function SwitchAnimation(id, loop) -- アニメーションを切り替える
    if currentAnimationId ~= id then -- 再生中のアニメーションを停止
        anim.Stop()
    end
    anim._ALL_PlayFromIndex(id, loop) -- 新しいアニメーションを再生
    currentAnimationId = id -- 再生中のアニメーションIDを更新
end

Model Data License TypeをOtherにして、ユニティちゃんライセンスを貼り付けてください。

© Unity Technologies Japan/UCL

参考: http://unity-chan.com/contents/guideline/

Script License Typeの設定は任意です。本記事のサンプルコードは自由に使ってください。

Scriptを実行中に編集したい場合は、Script SettingsのScript Write Protectedのチェックを外し、Script Enable Debuggingのチェックを有効にしてください。

VCIObjectのInspectorは、このような表示になっていればOKです。

9: VCIObjectのInspector下部にあるExport VCIボタンから、VCIのデータをファイルに出力してください。

VCIObject.vciという名前で出力されます。

VCIのアップロード

VCIをVirtualCastで表示させるために、The Seed OnlineにVCIをアップロードします。VirtualCastはThe Seed Onlineから、VCIをダウンロードしてスタジオ上に表示させます。

アップロード方法の詳細は、こちらをご覧ください。
https://virtualcast.jp/wiki/doku.php?id=seed:top

動作確認

VirtualCastを起動して、タイトル画面でThe Seed Onlineと連携を行った後にスタジオに入り、リングUIのカスタムアイテムメニューを表示すると、アップロードしたVCIが表示されます。VCIを選択するとUnityちゃんが表示されます。

このサンプルでは、何もしていないときはアイドルアニメーション、カーソルキーを押すと走るアニメーション、数値の1キーで敬礼のアニメーションが再生されます。VirtualCastのウィンドウが最前面にない場合、キー入力を受け取れないのでご注意ください。

今回作成したVCIは、こちらから取り込めます。
https://seed.online/items/438bebc29aa4a80a09d5555ce162c132bd951891e2dfc98f3c05402b5cca184a