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Docker 環境で Java JAX-RS Webサービスを起動する

Last updated at Posted at 2023-08-03

Docker 環境で Java JAX-RS Webサービスを起動する

こんにちは、@studio_meowtoon です。今回は、WSL Ubuntu 22.04 の Docker 環境で Java JAX-RS Web アプリケーションをコンテナとして起動する方法を紹介します。
java_on_docker.png

目的

Windows 11 の Linux でクラウド開発します。

こちらから記事の一覧がご覧いただけます。

実現すること

ローカル環境の Ubuntu の Docker 環境で、Dockerfile からビルドした Java JAX-RS Web サービスのカスタムコンテナを起動します。

WAR ファイル形式のアプリをコンテナとして起動

実行環境

要素 概要
terminal ターミナル
Ubuntu OS
Docker コンテナ実行環境

Web サービス コンテナ

要素 概要
app-hello-jaxrs カスタムコンテナ
JVM Java 実行環境
jetty Web サーバー
app.war Java アプリケーション

技術トピック

Dockerfile とは?

こちらを展開してご覧いただけます。

Dockerfile

Dockerfile は、Docker コンテナを構築するためのテキストファイルです。Docker コンテナはアプリケーションやサービスを実行するための環境を含む軽量でポータブルな仮想化ユニットです。

キーワード 内容
スクリプト形式 Dockerfile はシンプルなスクリプト形式で記述されるため、コンテナのビルドプロセスを自動化することが容易です。
レイヤー構造 Docker イメージは Dockerfile の各命令が実行される際にレイヤーとして生成され、再利用やキャッシュが可能な構造となっています。
バージョン管理 Dockerfile はテキストベースであるため、コードと同様にバージョン管理システムで管理しやすいです。
ポータビリティ Dockerfile により、アプリケーションとその依存関係が1つのコンテナイメージにパッケージ化されるため、異なる環境間での移植性が高まります。
自動化と効率化 Dockerfile を使用することで、アプリケーションのビルドや環境構築を自動化できます。これにより、手動での作業時間やヒューマンエラーが減り、開発・デプロイプロセスが効率的になります。
再現性 Dockerfile はビルド手順を完全に定義するため、異なる環境で同じアプリケーションを再現できます。これにより、開発、テスト、本番環境間での一貫性が確保されます。
環境の分離 Docker コンテナはホストシステムから分離されるため、アプリケーションの依存関係やライブラリの衝突を回避し、より安全な環境で実行できます。
拡張性 Dockerfile を使用することで、カスタムイメージを作成することができます。このため、特定のニーズに合わせてカスタマイズされたコンテナイメージを容易に作成できます。

開発環境

  • Windows 11 Home 22H2 を使用しています。

WSL の Ubuntu を操作していきますので macOS の方も参考にして頂けます。

WSL (Microsoft Store アプリ版) ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

> wsl --version
WSL バージョン: 1.0.3.0
カーネル バージョン: 5.15.79.1
WSLg バージョン: 1.0.47

Ubuntu ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

$ lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Ubuntu
Description:    Ubuntu 22.04.1 LTS
Release:        22.04

Java JDK ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

$ java -version
openjdk version "11.0.18" 2023-01-17
OpenJDK Runtime Environment (build 11.0.18+10-post-Ubuntu-0ubuntu122.04)
OpenJDK 64-Bit Server VM (build 11.0.18+10-post-Ubuntu-0ubuntu122.04, mixed mode, sharing)

Maven ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

$ mvn -version
Apache Maven 3.6.3
Maven home: /usr/share/maven
Java version: 11.0.18, vendor: Ubuntu, runtime: /usr/lib/jvm/java-11-openjdk-amd64

Docker ※ こちらの関連記事からインストール方法をご確認いただけます

$ docker --version
Docker version 23.0.1, build a5ee5b1

この記事では基本的に Ubuntu のターミナルで操作を行います。Vim を使用してコピペする方法を初めて学ぶ人のために、以下の記事で手順を紹介しています。ぜひ挑戦してみてください。

作成する Web アプリケーションの仕様

No エンドポイント HTTPメソッド MIME タイプ
1 /api/data GET application/json

/api/data というエンドポイントに対して HTTP GET リクエストを送信すると、JSON データがレスポンスされるシンプルな Web サービスを実装します。
{"message":"Hello World!"}

Hello World を表示する手順

Java JAX-RS Web サービスの作成

こちらの関連記事で手順がご確認いただけます。

アプリケーションのメインコード

HelloResource.java
package com.example.jaxrs;

import java.util.Map;
import javax.ws.rs.GET;
import javax.ws.rs.Path;
import javax.ws.rs.Produces;
import javax.ws.rs.core.MediaType;

@Path("api")
public class HelloResource {

    @GET
    @Path("data")
    @Produces(MediaType.APPLICATION_JSON)
    public Map<String, String> getData() {
        Map<String, String> map = Map.of("message", "Hello World!");
        return map;
    }
}

プロジェクトフォルダに移動

プロジェクトフォルダに移動します。
※ ~/tmp/hello-jaxrs をプロジェクトフォルダとします。

$ cd ~/tmp/hello-jaxrs

アプリのビルド

Java アプリをビルドします。
※ target/app.war が作成されます。

$ mvn clean package

ここまでの手順で、ローカル環境の UbuntuWAR ファイル形式のアプリをビルドすることができました。

コンテナイメージの作成

Dockerfile を作成します。

$ vim Dockerfile

ファイルの内容

Dockerfile
# set up the container.
FROM jetty:10.0.15-jre11-alpine

# copy the app as context root.
COPY target/*.war /var/lib/jetty/webapps/ROOT.war

# expose the port.
EXPOSE 8080

# command to run the app using jetty.
CMD ["java","-jar","/usr/local/jetty/start.jar"]

Docker デーモンを起動します。

$ sudo service docker start
 * Starting Docker: docker    [ OK ]

Docker 環境をお持ちでない場合は、以下の関連記事から Docker Engine のインストール手順をご確認いただけます。

コンテナイメージをビルドします。

$ docker build \
    --no-cache \
    --tag app-hello-jaxrs:latest .

コンテナイメージを確認します。

$ docker images | grep app-hello-jaxrs
app-hello-jaxrs    latest    a810eb763163    9 seconds ago    185MB

ここまでの手順で、ローカル環境の Docker にアプリのカスタムコンテナイメージをビルドすることができました。

コンテナを起動

ローカルでコンテナを起動します。
※ コンテナを停止するときは ctrl + C を押します。

$ docker run --rm \
    --publish 8080:8080 \
    --name app-local \
    app-hello-jaxrs:latest

ここまでの手順で、ローカル環境の Docker でアプリのカスタムコンテナを起動することができました。

コンテナの動作確認

別ターミナルから curl コマンドで確認します。

$ curl -v http://localhost:8080/api/data -w '\n'

出力

*   Trying 127.0.0.1:8080...
* Connected to localhost (127.0.0.1) port 8080 (#0)
> GET /api/data HTTP/1.1
> Host: localhost:8080
> User-Agent: curl/7.81.0
> Accept: */*
>
* Mark bundle as not supporting multiuse
< HTTP/1.1 200 OK
< Content-Type: application/json
< Content-Length: 26
< Server: Jetty(10.0.15)
<
* Connection #0 to host localhost left intact
{"message":"Hello World!"}

ここまでの手順で、ターミナルに {"message":"Hello World!"} と表示され、JSON データを取得することが出来ました。

コンテナの状態を確認してみます。

$ docker ps
CONTAINER ID   IMAGE                    COMMAND                   CREATED         STATUS         PORTS                                       NAMES
81f317bf4f61   app-hello-jaxrs:latest   "/docker-entrypoint.…"   8 minutes ago   Up 8 minutes   0.0.0.0:8080->8080/tcp, :::8080->8080/tcp   app-local

コンテナに接続

別ターミナルからコンテナに接続します。

$ docker exec -it app-local /bin/sh

コンテナに接続後にディレクトリを確認します。
※ コンテナから出るときは ctrl + D を押します。

$ pwd
/var/lib/jetty
$ cd webapps
$ ls -lah
total 6M
drwxr-xr-x    1 jetty    jetty       4.0K Aug  1 06:59 .
drwxr-sr-x    1 jetty    jetty       4.0K Aug  1 07:04 ..
-rw-r--r--    1 root     root        6.2M Aug  1 06:05 ROOT.war

top コマンドで状況を確認します。

Mem: 4677204K used, 3409432K free, 2032K shrd, 182556K buff, 1859192K cached
CPU:   0% usr   0% sys   0% nic  99% idle   0% io   0% irq   0% sirq
Load average: 0.00 0.02 0.07 1/569 113
  PID  PPID USER     STAT   VSZ %VSZ CPU %CPU COMMAND
    1     0 jetty    S    3576m  44%   4   0% /opt/java/openjdk/bin/java -Djetty.home=/usr/local/jetty -Djetty.base=/var/lib/jetty --class-path /var/lib/jet
  106     0 jetty    S     1672   0%   5   0% /bin/sh
  113   106 jetty    R     1600   0%   6   0% top

コンテナの情報を表示してみます。

$ cat /etc/*-release
3.18.2
NAME="Alpine Linux"
ID=alpine
VERSION_ID=3.18.2
PRETTY_NAME="Alpine Linux v3.18"
HOME_URL="https://alpinelinux.org/"
BUG_REPORT_URL="https://gitlab.alpinelinux.org/alpine/aports/-/issues"

このコンテナは Alpine Linux をベースに作成されています。つまり、Linux と同じように扱うことができます。

まとめ

WSL Ubuntu の Docker 環境で、Dockerfile からビルドした Java JAX-RS Web サービスのカスタムコンテナを起動することができました。

クラウド開発においては、Dockerfile の理解は重要です。自動ビルドツールもありますが、手動で書く必要があるケースもあります。Ubuntu を使うと Linux の知識も身に付きます。最初は難しく感じるかもしれませんが、徐々に進めていけば自信を持って書けるようになります。

どうでしたか? WSL Ubuntu で、Java JAX-RS Web アプリケーションを Docker 環境でコンテナとして手軽に起動することができます。ぜひお試しください。今後も Java の開発環境などを紹介していきますので、ぜひお楽しみにしてください。

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