高速3Dプリンタの動向
前々から欲しいと思っていた3Dプリンタを購入。
その際に3Dプリンタの高速化について色々と調べたのでそれについて記載していく。
そもそも何故3Dプリンタが欲しかったのか?
主に電子回路の筐体やモータを積んだモノのフレームが欲しかった。
マイクロマウス的なやつやドローンとかも面白そう。
3D CADもそこそこ使えるしそろそろ買うべきときかな、ということで購入。
最初に欲しかったもの
やっぱり色々いじれるのが良いよね、ということでオープンソースでベーシックなOriginal Prusa i3 MK3Sが欲しかった。
しかし、少々お高いということでAmazon欲しい物リスト入り。
そして二年の月日が流れた…(割と良くある)。
ちなみに円安の影響で10万円切っていたPrusa i3 MK3Sは約13万円に。
より高嶺の花となりました。
3Dプリンタ熱 再点火
今年の4月にAnkerMake M5が発表。
ニュースを読んでいくと5倍高速(250mm/s)で印刷できるらしい!
魅力的だが凄く怪しいのでKickstarterでの販売が終了して正式販売に移った時点で(その時点で冬発売予定だった)
世間の講評を横見しながら買うことを決意。
3Dプリンタ高速化時代?
そして11月初旬。
AnkerMake M5の状況を見ると、2022年冬頃発売のまま凍結中。
どうも勘違いしていたが、Kickstarterで購入した人の配送が11月で、一般販売は冬予定のようだ。
ちなみにKickstarterも日本では配送が12月10~18日になるらしい。
最近は円安もあるし、値段もいくらになるか分からないな…と思っていると
11月4日、3Dプリンタメーカーの最大手CrealityからEnder 5 S1が発表された。
何とこれもAnkerMake M5と同じく250mm/sの速度が出せるらしい。正面勝負か。
そういえばGuider3 PlusとかG-Zeroとか業務用高速FFFも出てたなぁと思い出す。買えないけど。
ということで、変化の激しい高速3Dプリンタについての状況を再調査した。
そもそも3Dプリンタの速度とは?
さて、ここでよく考えてみよう。
3Dプリンタの速度とは何か?
一般的に3Dプリンタの速度関連で影響するハードウェア要素には下記がある。
パラメータ | 一般値 | 説明 |
---|---|---|
印刷速度 | 60mm/s | 印刷中のヘッドの速度 |
移動速度 | 120mm/s | 非印刷時のヘッドの速度 |
加速度 | ? | 加(減)速度。デフォルト値は不明 |
ホットエンドヒーター | 40W | 単位時間のフィラメントを溶かす能力が高くなる |
ヒートブロック | アルミ? | ヒーターの熱を伝える。熱伝導率が高くないといけない |
ヒートブレイク | ? | ヒーター熱を断熱し、高速押出による詰まりを防ぐ。ここが詳しい |
急冷機構 | ? | 押し出された樹脂を急冷することで垂れ下がり、反り、糸引きを防止する |
フレーム強度 | ?(門型) | 高速での切り返しによる振動を抑え、印刷品質を安定させる |
一般値はPrusa i3 MK3SとUltimaker Curaのデフォルト値を使用。
加速度は「加速度制御を有効にする」と3000mm/s^2のトンデモ値がセットされてて参考にならなかった。
(Prusaを一般値とするには上等過ぎるが)
ここまで書いておいてアレだが、実はこれ以外に造形速度にはファームウェアの性能及び設定がかなりの位置を占めるらしい。
ファームウェア入れ替えやチューニングなどで高速化を検討していくことになる。
ヒーターと冷却機構、フレーム構造、機構(CoreXYとか)まで含めると「こうすると良さそう」は分かるけど
総合的なものだから正直分かりづらい。
目安としては例のボートの造形速度とか最高印刷速度になる。
#FDMtestが一番客観的にわかりやすいのかもしれないが、出してるのがKickstarter発の3Dプリンタぐらいってのが厳しい。
しかも機種ごとの情報がまとまっていない。
どこかデータベース無いんだろうか?
各メーカースペック比較
さて、3Dプリンターで造形速度を重視した場合に何を買うべきかを考えてスペック比較を行ってみたい。
最速を求めるならVORON一択だろうが、3Dプリンタ初購入でアレは敷居が高すぎる&高いので…。
とりあえず、当て馬参考にEnder3とPrusa i3も入れてスペック表を作成。
仕様 | Ender 3 S1 pro | Prusa i3 MK3S+ | AnkerMakeM5 | Ender 5 S1 |
---|---|---|---|---|
印刷速度(mm/s) | 150 | 200 | 250 | 250 |
FDMtest(pt) | ? | 22.5(default(60mm/s?)) | 25.5(250mm/s) | ? |
加速度(mm/s^2) | ? | ? | 2500 | 2000 |
急冷機構 | サイドフロー | サイドフロー | デュアルフロー | デュアルフロー |
フレーム構造 | 門型 | 門型 | 門型 | 箱型 |
ノズル温度(℃) | 300 | 300 | 260 | 300 |
コントローラ | STM32F401xx(32bit/84Mhz) | Atmega 2560(8bit/16MHz) | XBurst(32bit/1.2GHz×2+204MHz) | STM32F401xx(32bit/84Mhz) |
造形サイズ | 220x220x270 | 210×210x250 | 235x235x250 | 220x220x280 |
概算価格 | ¥63,900 | ¥129,800 | ¥106,521($759) | ¥79,900 |
面白いところはコントローラで、大体の3Dプリンタはマイコンでちまちまやっているところ
AnkerはXBurstCPUという中華IPのタブレット端末レベルのMIPS CPUを使用している。
動作周波数なんか文字通り桁が2桁違う。
有り余るパワーでカメラ画像をAIにより判定し失敗判断を行っているようだ。あとタイムラプス作成とか。
ファームウェア自体は「Marlin CPU for routine processing」と記載があり現時点Marlinのようだが…。
何故Kliperにしなかったんだろうか??
何にせよ革新的な機能を盛り込みました感があるし、見た目も家電みたいにきれいにカバーされている。
それにしてもFMDtestのポイントがPrusaのデフォルトより高いってマジなんだろうか?
対してEnder 5 S1は既存の3Dプリンタメーカーらしく、基本に忠実なスペックになっている。
箱型で剛性を上げ、吐出部に両側から風を当てるようダクト設計し、ノズル温度は色々なものを印刷できるよう300℃対応。
多分コントローラはマイコンだろうけども、Sonic Pad買えばKliperになって高速化できるよ、という方針なんだろう。
また、箱型のため、後日販売予定のエンクロージャを購入することで徐冷が必要な樹脂にも対応できる。
剥き出し感のある見た目でメンテナンスもしやすそうだ。
AnkerMake M5はオールインワンで楽に高速印刷を楽しみたい人向け、Ender 5 S1は将来的な拡張余地が高いマニア向けの印象。
結論
結局自分はEnder 5 S1を買うことにした。
いやAnkerいつ届くか分からないし、300℃は対応していてほしい。いずれエンプラ使ってみたいので。
そして、今玄関にEnder 5 S1がある。
さて、開封・組立するかな。