本記事は、サムザップ Advent Calendar 2025 2日目の記事です。
はじめに
エンジニアの皆さんは、日々の会議メモやSlackでの長文作成に、本来集中すべき時間を奪われていませんか?
本記事では、GoogleのNotebookLMとGeminiを組み合わせた2ステップのワークフローを紹介します。これにより、議事録作成と文章校正のプロセスを自動化・効率化し、開発に集中できる環境を構築します。
この記事自体も、このフローを活用して執筆しています。
🚀 ワークフローの全体像(役割分担)
この手法の鍵は、AIの役割を明確に分けることにあります。
| ステップ | ツール | 役割 (強み) | アウトプットの特徴 |
|---|---|---|---|
| Step 1 | NotebookLM | 網羅的な情報収集・構造化 (情報の欠落防止) | 内容が包括的だが冗長なドラフト |
| Step 2 | Gemini | 人間向けの要約・清書 (可読性の最大化) | 要点が明確で視覚的に整理された完成版 |
この分業により、高い質とスピードを両立させます。
🛠 Step 1: NotebookLMによる議事録ドラフトの高速生成
まず、会議の内容を全てテキスト化し、骨子を作成します。議事録作成をするにあたって、NotebookLMを使用しています。
他にも生成AIを用いた議事録作成ツール等あると思いますが、筆者がGoogle Workspaceを使っており、親和性の高いかつ学習されない設定をしたかったためNotebookLMを使用しています。
手順
-
ソースの準備
Google MeetやZoomなどで会議を録画・録音します。文字起こしテキストファイルも併用すると精度が向上します。 -
アップロードとノートブック作成
NotebookLMを開き、ソースファイル(動画/音声/テキスト)をアップロードします。 -
議事録の生成
NotebookLMに搭載されてるStudioという機能のプリセットから「議事録の作成」を選択。AIが自動で内容を解析し、以下のセクションを含む構造化されたドラフトを生成します。

この段階で、必要な情報は全て揃いますが、文章は長くなりがちです。この「網羅的だが冗長なドラフト」を次のステップへ進めます。
✨ Step 2: Geminiカスタムプロンプトによる文章校正と清書
Step 1で生成された議事録ドラフトを、読みやすい「成果物」へと仕上げます。
独自の「文章構成ツール」の活用
私は、「忙しい人に読んでもらえる文章術」という本の知見に基づき、以下の指示を組み込んだカスタムプロンプトをGeminiで利用しています。
ドラフトのテキストをコピーし、Geminiに以下のような指示とともに入力します。
この指示は、記事を読んでもらった人に伝えやすくするための参考例なので、このプロンプトが書籍の情報とマッチしていないことはご留意ください。
また、筆者はこの作業をすることが多いので、Gemにプロンプトを登録しています。
# 役割
あなたはプロフェッショナルな文章校正・編集者です。
# 目標
入力された議事録ドラフトを、多忙な読み手(エンジニア、PMなど)が一目で内容を把握できるよう、以下の基準で再構成してください。
# 校正基準
1. **結論ファースト**: 最も重要な決定事項やアクションアイテムを冒頭に配置する。
2. **簡潔さと可読性**: 冗長な表現を削除し、一文を短くする。
3. **構造化**:
* 議論された内容を「課題」「検討事項」「決定事項」に分類する。
* 主要なポイントは必ず**太字**にするか、箇条書きで強調する。
* 関連する情報は一つのセクションにまとめる。
4. **専門用語の扱い**: 「Gemini」「API連携」などの技術用語はそのまま保持するが、文章全体の表現は平易にする。
# 出力形式
校正後の文章のみを出力してください。
期待される効果
このプロンプトを通すことで、NotebookLMが出力した長文テキストは以下のように変化します。
- 重要なポイントが太字や箇条書きで強調される。
- 会議の目的と決定事項が、本文の最初に提示される。
- 全体が「目的」「課題」「結果」などの明確なセクションに再整理される。
応用編:議事録以外の活用シーン
一度この仕組みを構築すれば、議事録作成以外のコミュニケーションコストも削減できます。
1. Slackでの仕様報告・依頼
長文になりがちな仕様の説明や、複数タスクを含む依頼メッセージを送る前にツールを通します。
➡️ 相手が要点を瞬時に理解できる簡潔なメッセージになり、手戻りを防げます。
2. 非エンジニアへの説明資料
技術的な内容をPMやデザイナーなどの非エンジニアに共有する際に応用します。
➡️ 専門用語の正確性を保ちつつ、文章構造が平易になるため、背景や結論が伝わりやすくなります。
💡 現状の課題と実践上の注意点
この強力なワークフローにも、現時点では課題があります。
課題
- ツール間の手動移動: NotebookLMからGemini、最終的なドキュメント管理ツール(Notion等)へのコピー&ペースト作業が残っています。将来的なAPI連携による自動化が理想だと思っています。
最重要注意点
- AI出力の確認: AIが生成した文章は、意図しない誤解や不自然な表現を含む可能性があります。必ず最後に人間が目を通し、微調整を加える工程を省略しない方が良いです。
結びに
「NotebookLMの網羅的な情報抽出」と「Geminiの人間向け編集・清書」を組み合わせるこのフローは、日常的な業務負荷を大幅に軽減します。
ぜひ、このワークフローをお試しください。あなたの開発時間を最大限に確保する助けになれたらと思っています。
💡 留意事項(注意点)
ただし、自分で文章を考えてダイレクトに伝えることが重要な場面もあります。
- そのような場合は、自分で文章を作成し伝えるべきだと考えます。
(文章作成の全てを生成AIに任せるよう意図した記事ではありません。もし誤解させてしまっていたら申し訳ありません。)
明日は、@asakuranobuharu11 さんの記事です。
お楽しみに!
Appendix
文章校正で参考にした書籍
この記事のNotebookLMで記事生成してもらった文章
出力された記事ドラフト
タイトル:NotebookLMとGeminiで作る!議事録作成から文章校正までを自動化する実践フロー
はじめに
ソフトウェアエンジニアとして日々の業務に取り組む中で、私たちは多くの会議やテキストベースのコミュニケーションに時間を費やしています。しかし、会議の議論に集中しようとすればメモが追いつかず、後から見返すと「どんな話をしていたのか分かりづらい議事録」になってしまう。あるいは、Slackでの報告や依頼で「相手に意図がダイレクトに伝わる文章」を考えるために、本来エンジニアリングに使うべき貴重な時間を大幅に費やしてしまう。こうした課題に、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そうした日常的な悩みを解決するため、GoogleのNotebookLMとGeminiという2つの生成AIを組み合わせた、具体的な業務効率化ワークフローをご紹介します。このフローを使えば、議事録作成から日々の文章校正まで、これまで多くの時間と精神的コストをかけていた作業を劇的に効率化できます。
そして何より、この記事自体が、ここで紹介するフローを用いて作成されています。その実用性の高さを、ぜひ最後までご覧になって確かめてください。
1. 本記事で紹介するワークフローの全体像
多忙な技術専門家にとって、会議の内容を正確に記録し、かつ要点を簡潔に伝えることは、プロジェクトを円滑に進める上で不可欠です。しかし、この両立は容易ではありません。本記事で紹介するワークフローは、この課題を解決するために設計された、戦略的な2ステップのアプローチです。
- ステップ1: NotebookLMによる議事録ドラフトの高速生成 GoogleのNotebookLMを使い、会議の録画・録音データから、網羅的で構造化された議事録の一次稿を自動で生成します。
- ステップ2: Geminiによる文章校正と清書 Geminiと、書籍の知見を基に作成したカスタムプロンプトを活用し、ステップ1で生成された一次稿を、要点を押さえた誰にでも読みやすい洗練された文章へと校正・清書します。
この2ステップは、AIの役割分担に基づいています。NotebookLMは『網羅的な情報収集・一次構造化』に特化させ、情報の欠落を防ぎます。一方、Geminiは『人間向けの要約・編集』に特化させ、可読性を最大化します。この分業こそが、質とスピードを両立させる鍵なのです。では、具体的な手順を見ていく前に、なぜこのフローを採用するに至ったのか、その背景にある課題意識から掘り下げていきましょう。
2. なぜこのフローなのか? 背景にある課題意識
このワークフローを構築する根本的な動機は、私自身の課題にありました。それは、会話をしながらリアルタイムで内容を整理し、構造化された文章に言語化することへの個人的な苦手意識です。議事録の作成やSlackでの文章作成は、それ自体が直接的な価値を生むわけではありませんが、多くの思考リソースを奪っていきます。この非効率性を解消したいという思いが、本ワークフローの出発点となりました。具体的には、以下のような課題がありました。
- 会議中の情報欠落と集中力の散漫 会議の議論に深く集中すると、メモを取る手が止まってしまい、重要な情報が抜け落ちてしまう。逆に、メモを完璧に取ろうとすると、議論の本質的な流れから取り残されてしまう。このジレンマにより、後から見返しても内容が不十分な議事録が生まれがちでした。
- 言語化と要約の難しさ 前述の通り、会議が終わった後、断片的なメモを頼りに内容を思い出し、再構成する作業は大きな負担でした。思考のプロセスとアウトプットの生成を同時に行うことの認知的な負荷を、どうにかして軽減したいと考えていました。
- 伝わる文章作成の時間コスト 特にSlackなどでのテキストコミュニケーションにおいて、相手に誤解なく、かつダイレクトに意図を伝えるための文章表現を考えるのに、膨大な時間を費やしていました。この時間は、本来エンジニアリングやより本質的な課題解決に使うべきものであり、大きな機会損失となっていました。
これらの課題を解決するために、AIを単なる作業代行ツールとしてではなく、思考を整理し、表現を洗練させるための「パートナー」として活用するアプローチに行き着きました。次章からは、その具体的な手順を解説していきます。
3.【ステップ1】 NotebookLMによる議事録ドラフトの高速生成
議事録作成プロセスの第一歩は、会議の内容を網羅的にテキスト化することです。この段階で、GoogleのNotebookLMは非常に強力な出発点を提供してくれます。
私が数あるツールの中からNotebookLMを選んだ理由は、普段から業務でGoogle Workspaceを多用しており、そのエコシステム内で完結できるツールを探していたところ、最も使いやすく議事録作成に適していると判断したためです。
具体的な手順は非常にシンプルです。
- ソースの準備 まず、Google MeetやZoomなどのツールを使い、会議を録画または録音します。さらに精度を高めたい場合は、Zoomの文字起こし機能などを活用して生成されたテキストファイルも併せて用意しておくと、より高品質な議事-録の土台となります。
- ノートブックの新規作成とソースの追加 NotebookLMを開き、「ノートブックを新規作成」します。その後、「ソースを追加」ボタンから、先ほど用意した会議の録画・録音データやテキストファイルをアップロードします。動画とテキストの両方をソースとして追加することで、NotebookLMによる解析の精度が向上します。
- 議事録の生成 ソースをアップロードすると、NotebookLMは自動的にその内容を解析し、概要を生成します。次に、画面に表示されるプリセット機能の中から「議事録の作成」を選択します。これをクリックするだけで、AIが**「会議の目的」「議題」「議論された主要なポイント」「決定事項」といったセクションに分かれた、構造化されたフォーマット**で議事録を自動生成してくれます。
このステップで生成される議事録は、フォーマットが整っており、会議の内容を非常に網羅的に捉えている点が特徴です。しかし、その反面、文章量が非常に多く、冗長になりがちという課題も抱えています。このままでは、後から要点だけを確認したい多忙なメンバーにとっては、読むのに時間がかかるドキュメントになってしまいます。
この網羅的だが冗長なドラフトを、いかにして誰もが短時間で理解できる洗練された成果物へと昇華させるか。その答えが、次のステップにあります。
4. 【ステップ2】 Geminiカスタムプロンプトによる文章校正と清書
ステップ1で生成された網羅的な議事録ドラフトは、いわば「素材」です。この素材を、忙しいチームメンバーが価値ある情報として受け取れるように「調理」する工程が、このステップ2の役割です。ここでは、私がGemini上で独自に構築したカスタムプロンプト、通称**「文章構成ツール」**を活用します。
このツールは、以下の特徴を持っています。
- ベースの考え方 書籍『忙しい人に読んでもらえる文章術』から学んだ、「読み手が求める情報を、最も理解しやすい形で提供する」ための原則をプロンプト化したものです。(※具体的なプロンプトの内容は、原著の著作権に配慮し、本記事での公開は差し控えさせていただきます。)
- ツールの目的 NotebookLMが出力した長文の議事録をコピー&ペーストするだけで、その内容を自動的に分析・再構成し、要点を押さえた読みやすい文章へと変換することを目的としています。
- カスタマイズの工夫 エンジニアの業務利用を想定し、特別なカスタマイズを加えています。それは、**「専門用語は維持しつつ、誰にでも伝わるような分かりやすい表現にする」**という指示です。これにより、非エンジニアのメンバーにも内容が伝わりやすくなる一方で、技術的な正確性が損なわれるのを防いでいます。
このツールの核となるのは、「結論を最初に提示する」「読み手の疑問を予測し、Q&A形式で構成する」「専門用語には簡潔な(ただし専門性を損なわない)注釈を添えるよう指示する」といった、文章術の普遍的な原則です。これはまさに、手作業のプロセスを分析し、再利用可能な関数やモジュールに落とし込むという、エンジニアリング的なアプローチそのものです。読者の皆さんも、自身が最も効果的だと感じる文章術の原則をAIに指示することで、パーソナライズされた校正ツールを作成できます。
このツールを通すことで、NotebookLMが出力した長文のテキストは劇的に変化します。文章全体が、会議の「目的」「課題」「議論された内容」「決定事項」といったセクションに再整理され、重要なポイントは太字で強調されたり、適切な箇所が箇条書きになったりと、視覚的に要点を一目で把握できる構成に生まれ変わります。なお、私がGeminiを選んでいる理由の一つに、最近のモデルが日本語のニュアンスの扱いに長けていると感じる点があります。
このプロセスは、冗長な情報を削ぎ落とし、本当に伝えるべき核心部分を際立たせる「編集」作業そのものです。そして、この強力な文章構成ツールは、議事録作成だけに留まらないポテンシャルを秘めています。
5. 議事録以外への応用可能性
この「NotebookLM + Gemini文章構成ツール」というワークフローの真価は、その汎用性の高さにあります。一度この仕組みを構築すれば、議事録作成以外の様々なコミュニケーションシーンに応用することが可能です。
- Slackでのコミュニケーション 複雑な仕様に関する報告や、複数のタスクを含む依頼など、長文になりがちなメッセージを送る前に、このツールで一度文章を構成し直します。これにより、相手が要点を瞬時に理解できる簡潔で分かりやすいテキストを作成でき、コミュニケーションの齟齬を未然に防ぎます。
- 非エンジニアへの説明 技術的な内容を、プロジェクトマネージャーやデザイナーといった非エンジニアのメンバーに説明する際にも有効です。前述のカスタマイズにより、専門用語の意図は維持しつつも、文章全体の構造や表現を平易にすることで、専門知識がない相手にも背景や結論が伝わりやすくなります。
このように、本ワークフローは日々の様々な場面におけるコミュニケーションコストを削減し、私たちが本来集中すべき本質的な業務にリソースを再配分するための強力な武器となるのです。
6. 現状の課題と今後の展望
これまでに紹介したワークフローは非常に強力ですが、完璧というわけではありません。実践する中で見えてきた、いくつかの課題と今後の展望についても率直に共有したいと思います。
現在のワークフローが抱える主な課題は、以下の2点です。
- 複数ツールを横断する必要性 現状では、NotebookLMで一次稿を生成し、それをGeminiにコピー&ペーストし、最終的にNotionなどのドキュメント管理ツールに貼り付ける、というように複数のツールを行き来する手間が発生しています。
- 手動作業の介在 上記の通り、ツール間のコピー&ペーストなど、プロセスの中に依然として手動での操作が必要な部分が残っています。
将来的には、これらのプロセスがAPI連携などで統合され、「ワンツール・ワンクリック」で全自動化されることが理想です。しかし、現時点では、この2ステップのフローが、現実的かつ最も効果的な解決策だと考えています。
最後に、実践者として非常に重要な注意点を一つ。AIの出力は常に完璧ではありません。時として、意図しない表現や不自然な言い回しが含まれることもあります。そのため、AIが生成した文章を鵜呑みにせず、必ず最後に人間が目を通して確認し、微調整を加えることが、質の高い成果物を生み出すための鍵となります。
まとめ
本記事では、NotebookLMとGeminiを組み合わせ、議事録作成から日々の文章作成までを効率化する実践的なワークフローを紹介しました。このアプローチの核心的な価値は、AIによる網羅的な情報抽出と、人間が理解しやすい形への要約・再構成という、それぞれの強みを活かした二段階のプロセスにあります。
このフローを実践することで、あなたは以下のようなメリットを得られるはずです。
- 会議中はメモに気を取られることなく、議論そのものに集中できる環境
- 後からチームの誰もが見返しても、要点がすぐに理解できる高品質な議事録
- 日々の報告や依頼の文章作成にかかる時間と精神的コストの大幅な削減
このワークフローは、会議が終わった瞬間に「あの議論、どうまとめれば…」と頭を抱える時間をゼロにし、Slackで長文を送る前の数十分の推敲を不要にします。それは、AIを単なる「自動化ツール」ではなく、思考の負荷を肩代わりしてくれる真の「パートナー」として迎え入れることに他なりません。ぜひ、この記事で紹介したアプローチを参考に、あなたの業務にもAIをパートナーとして取り入れてみてください。