1. はじめに
HashiCorp Vault Dedicated は、HashiCorp がフルマネージドで提供する Vault のホスティングサービスです。
契約プラン(Tier)には性能や機能に違いがあり、必要に応じて上位 Tier にアップグレードすることで、
より高い可用性やスループット、追加機能を利用できます。
この記事では、既存の Vault Dedicated クラスターの Tier を上げる手順を紹介します。
Tier の料金や提供機能については以下を参照してください:
HashiCorp Vault Pricing
以下のスクリーンショットに、Tier ごとの費用および提供機能が記載されています。
2. HCP Vault Dedicated の Tier アップグレード手順
2.1. 管理コンソールにログイン
- HashiCorp Cloud Platform (HCP) にアクセスします。
- 管理者アカウントでログインします。
2.2. 対象クラスターを選択
- 「Vault Dedicated」サービスをクリックします。
- 対象の Dedicated クラスター を選択します。
2.3. Tier アップグレード操作
2.4. アップグレード後の確認
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クラスター一覧画面で Tier 表示を確認します。
Tier が Essential、Size が Small に変更されていることを確認します。
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アップグレード後に追加された設定メニューの確認
Development Tier では表示されなかった設定メニューが追加されました。
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Snapshots タブ
バックアップ用スナップショットメニューが追加されました。
1日1回自動でスナップショットが取得され、手動取得も可能です。
アップグレード前でもバックアップは取得されていました。
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Upgrade Setting タブ
アップグレード方式をデフォルトの自動(Automatic)から変更するメニューが追加されました。
2.5. スナップショットからのリストア確認
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1日前の状態にリストアしてみます。
最後に
今回の検証では、HCP Vault Dedicated の Tier アップグレード(Development → Essential)を実際に行い、以下の点を確認しました。
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Tier アップグレード手順
HCP 管理コンソールから「Manage」→「Edit Configuration」メニューを使い、Tier と Cluster Size を変更できることを確認しました。 -
アップグレード中の挙動
ステータスが「Updating」から「Running」に変わるまで待機する必要がありますが、その間も Vault へのログインや Secret の参照が可能でした。 -
アップグレード後の変化
- 新しい設定メニュー(Snapshots、Audit Logs、Metrics、Upgrade Setting)が追加されていること
- Snapshots 機能で自動・手動バックアップが可能になったこと
- Audit Logs / Metrics の外部連携設定が利用可能になったこと
- アップグレード方式の設定変更(Automatic → Manualなど)が可能になったこと
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制約事項
Essential Tier から Development Tier へのダウングレードはできないことを確認しました。 -
バックアップ・リストア検証
Snapshots 機能を使い、1日前の状態へリストアが正常に行えることを確認しました。