Quiet Quittingの背景
燃え尽き症候群と静かな退職の関係
近年話題となっている「Quiet Quitting(静かな退職)」とは、従業員が最低限の業務のみをこなし、それ以上の責任や情熱を仕事に注がなくなる状態を指します。会社には在籍しながらも、内面的には仕事に距離を置き、積極的な関与(エンゲージメント)を避けている、そんな“静かな離職”とも言える現象です。日本では「定時退社主義」「やる気のない在籍社員」などと表現されることもあり、表面的な勤務態度だけでは気づかれにくい点が特徴です。
このトレンドの背景には、長時間労働や休憩を挟まないノンストップな業務による燃え尽き症候群(バーンアウト)、そして仕事への意味や喜びを感じにくくなったことによるエンゲージメント低下が挙げられます。Gallupの調査では、世界の従業員のうちアクティブに関与しているのはわずか23%。特にZ世代やミレニアル世代では、「仕事だけの人生」に対する違和感や、“常に全力”を求めるハッスル文化への反発が強まっています。さらに、パンデミックをきっかけとしたリモートワークの浸透や生活スタイルの変化も、「自分らしい働き方」を求める流れに拍車をかけています。
Quiet Quittingの広がりは、単なる“やる気の低下”という問題ではなく、現代の働き方そのものに対する問いかけでもあります。この状態が続くと、生産性の低下、チームの連携力や創造性の喪失、さらには離職率の増加といった深刻な影響を企業にもたらしかねません。だからこそ今、企業は従業員に過度な負荷をかけず、働きがい・休息・心の余裕のバランスを見直す必要があります。そして私たち個人にとっても、「働くとは何か」「自分の時間や価値をどう守るか」を考える絶好の機会なのです。
「成果よりバランス」の価値観
いま、4日勤務制やフルリモート、ハイブリッド勤務といった「柔軟な働き方」が世界中で急速に広がっています。背景には、長時間労働による疲弊を防ぎたいというニーズや、家族との時間や自己成長に充てる余白を確保したいという価値観の変化があります。ユニリーバ・ジャパンやサイボウズ、Microsoft Japanといった先進企業では、柔軟な働き方を導入することで従業員の満足度や生産性が向上したという実績も報告されています。もはや柔軟な働き方は「選ばれた企業だけの特別な制度」ではなく、働き方のスタンダードとなりつつあります。
かつては在宅勤務やフレックスタイムは“福利厚生”の一環とみなされていましたが、2025年現在では「柔軟性」は企業文化の重要な柱へと進化しています。働き手の期待値も変わってきており、「通勤が必須なら応募しない」といった声も少なくありません。こうした背景のもと、柔軟な働き方を提供できる企業は、優秀な人材を惹きつけ、定着させる力が強くなっているのです。採用活動やブランディングの観点からも、「どんな働き方を許容しているか」は重要な競争軸となっています。
加えて、今注目されているのが「ハイパーパーソナライゼーション」――AIやデータを活用して、一人ひとりの状態に合った働き方や健康支援を実現するアプローチです。ストレスチェックの自動化や、パーソナライズされた健康プログラム、メンタルヘルスの個別対応などがその一例。こうした取り組みは、社員のエンゲージメントやパフォーマンスを高め、離職率の低下にもつながります。多様な価値観と心理的安全性を尊重する職場づくりが、働き方の新常識となる時代。柔軟性と個別最適化は、企業の未来を左右するキーワードです。
キャリア観
“スキル再武装“と“目的駆動型”
テクノロジーの進化が加速するなか、従来のスキルや職種は急速に陳腐化しつつあります。特にAIや自動化の波は、定型業務や単純作業を代替し、人間にはより創造的・戦略的な役割が求められるようになりました。こうした時代において、自分の市場価値を維持・向上させるには「リスキリング(再学習)」や「アップスキリング(スキル向上)」が不可欠です。企業側も、社内研修や学習プラットフォームの導入、ピアラーニングといった取り組みを通じて人材育成に注力し、変化に柔軟に対応できる組織づくりを進めています。
もう一つの注目トレンドが、「なぜ働くのか」「自分の仕事はどんな価値を生むのか」を重視する“目的駆動型(パーパスドリブン)”のキャリア観です。特にZ世代・ミレニアル世代では、給与や職位以上に企業のビジョンや社会貢献性を重視する傾向が強まっています。社会課題の解決やダイバーシティの推進など、明確なミッションを掲げる企業には若手からの共感が集まり、結果として採用や定着、エンゲージメント向上にもつながっています。パーパスは、単なる理念ではなく、人材戦略の核となってきているのです。
変化の激しい現代では、「生涯学び続ける姿勢」と「目的ある働き方」がキャリアを築くうえでの両輪となります。スキルを更新し続けることで、どんな変化にも対応できる“キャリアの耐久性”を手に入れ、同時に自分が社会にどう貢献できるのかを見つめることが、持続可能な働き方への第一歩です。企業にとっても、リスキリング支援とパーパス重視の両軸を整えることが、これからの人材獲得・育成における競争力のカギとなるでしょう。
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