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Harvester で Windows 11 の VM を立てる

Last updated at Posted at 2025-10-13

 Windows 10 のサポート終了が目前まで迫る今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。我が家では殆どのマシンが Mac になってしまいましたが、macOS に対応していないゲームを遊ぶ目的で仮想化基盤 Harvester 上の仮想マシンに Windows 10 をインストールして使っていたので、今更ながら移行の方を進めています。

 Windows 11 が登場した当初システム要件の厳しさで話題になったものですが、仮想マシンにインストールする際にも同様の制約から工夫が必要になります。この辺りが面倒で当初 Windows 10 を使っていたのですが、思ったより早くサポート期限が来てしまいましたね。

 本記事では、Harvester 1.6.0 上の仮想マシンに Windows 11 をインストールする方法について解説します。この記事を読めば、Windows 11 のシステム要件チェックに阻まれることなく VM を立てられることでしょう。

Harvester とは

 Kubernetes ベースで作られているオープンソースの仮想化基盤です。Rancher ライクな Web UI から仮想マシンの作成や実行といった基本的な操作ができるのは勿論ですが、Kubernetes クラスタ上に KubeVirt や Longhorn 等を載せる形で作られているので、Kubernetes に慣れている人であれば他の仮想化基盤に比べて親しみやすいのではないでしょうか。

 Harvester の公式ドキュメントでは一応 Windows の仮想マシンを立てる際の設定方法についても解説されているのですが、Windows Server に用いる事を想定していたのか Windows 11 のシステム要件に由来する細かい設定については書かれていません。1

Windows 11 の仮想マシンを立てるために逐一システム要件を調べて設定を行うのも面倒ですから、本記事では Windows 11 をインストールする前提で詳細についても解説を行う事にします。

Windows 11 の仮想マシン作成手順

 Harvester 上で Windows 11 の仮想マシンを作成するにあたって、大まかに分けて以下の手順を踏む事になります。

  • インストールメディアの準備
  • 仮想マシンの作成
  • 仮想マシンへの Windows 11 のインストール

本節ではそれぞれの手順について詳しく見ていきましょう。

インストールメディアの準備

 Windows 11 に限った話ではないですが、Harvester で仮想マシンを作成するためにはインストールメディア用のイメージを登録する必要があります。まずはインストール用のイメージを用意する所から始めましょう。

 最初に、Microsoft の公式サイトから Windows 11 インストールメディアの ISO イメージをダウンロードしておきます。

 次に、Harvester へ ISO イメージを登録します。Images タブから Create のボタンを押して、

スクリーンショット 2025-10-12 0.59.03.png

遷移した画面の Basics ラジオボックスで File を選択した上で Upload File ボタンを押して、最初にダウンロードした Windows 11 の ISO ファイルを指定しましょう。

スクリーンショット 2025-10-12 1.09.01.png

この状態で Create ボタンを押せばアップロードが開始されるのですが、途中で Web UI を開いているタブを更新したり閉じたりするとアップロードに失敗してしまいます。別ページに遷移してもブラウザを開いている PC をスリープするのも駄目なので、ブラウザの画面は開きっぱなしにして気長にアップロードの完了を待ちましょう。

スクリーンショット 2025-10-12 1.12.14.png

仮想マシンの作成

 インストールメディア用のイメージが登録できた所で、Windows 11 をインストールするための仮想マシンを設定しましょう。Virtual Machines タブから Create ボタンを押して VM の設定を開始します。

スクリーンショット 2025-10-13 16.04.00.png

 Windows 11 をインストールするためには色々と設定を変更する必要があるのですが、Harvester には Windows 向けの設定のテンプレートが用意されているので、それに沿って仮想マシンを設定して行くのが良いでしょう。Use the virtual machine template: のチェックボックスを選択し、出現した Template セレクトボックスから harvester-public/windows-iso-image-base-template を選択して Windows 向けのテンプレートを使用します。

スクリーンショット 2025-10-13 16.29.17.png

 早速ですが、Windows 向けの設定テンプレート中の CPU のコア数とメモリ容量が Windows 11 のシステム要件を満たしていないので変更する必要があります。2コア以上の CPU と 4GB 以上のメモリが必要ですから、少なくともこれを満たすよう設定を変更しておきましょう。

スクリーンショット 2025-10-13 17.26.34.png

 続いて、仮想マシン設定の Volumes タブからストレージの設定を行います。間違って Harvester 全体の Volumes タブを選択してしまわないよう注意しましょう。

スクリーンショット 2025-10-13 17.30.31.png

初回起動時のブートに使われる cdrom-disk では、Image のセレクトボックスで予め用意しておいた Windows 11 インストールメディアの ISO イメージを指定します。

スクリーンショット 2025-10-13 17.35.09.png

Windows 11 のインストール先となるストレージ rootdisk ですが、これもまた容量がシステム要件を満たしていないので 64GB 以上に変更する必要があります。Storage Class の設定はデフォルトでも構いませんが、Bus の設定についてはデフォルトの VirtIO を選択するとインストール時にドライバを追加する必要があって面倒なので、ここでは簡単化のために SATA を選択しておきます。

スクリーンショット 2025-10-13 17.38.51.png

 最後に、仮想マシン設定の Advanced Options タブから BIOS の設定を行います。間違って Harvester 全体の Advanced タブを選択してしまわないよう注意しましょう。

スクリーンショット 2025-10-13 17.45.57.png

少し画面をスクロールすると Network Data: の次に BIOS の設定項目が存在するのですが、Windows 11 のシステム要件で必要な UEFI と TPM 及びセキュアブートのどれもデフォルトでは有効になっていないので変更が必要になります。

スクリーンショット 2025-10-13 17.53.00.png

Enable TPM 及び Booting in EFI mode のチェックボックスを選択し、追加で現れた TPM Persistent State、EFI Persistent State、Secure Boot のチェックボックスも選択しましょう。2

スクリーンショット 2025-10-13 17.47.50.png

 ここまでで Windows 11 をインストールするための設定が完了しているので、右下の Create ボタンを押して仮想マシンを作成します。仮想マシンは作成と同時に起動も行われるので、Windows 11 のインストールに移りましょう。

スクリーンショット 2025-10-13 17.58.46.png

仮想マシンへの Windows 11 のインストール

 Harvester で起動した仮想マシンには VNC でアクセスできますから、Console のセレクトボックスから Open in WebVNC を選択し、出てきたウィンドウから VNC でインストールを進めていきます。

スクリーンショット 2025-10-13 18.03.25.png

 Harvester 公式ドキュメントにも書かれている通り、UEFI モードで Windows のインストールメディアから起動した場合は Press any key to boot from CD or DVD...... の画面で何かしらの操作を行わないとインストールが進みません。適当なキーを押してインストールメディアの DVD からブートさせましょう。

スクリーンショット 2025-10-13 18.04.03.png

 低速なネットワークで Harvester のクラスタを組んでいる場合、Windows 11 のインストールメディアから起動した後で UEFI の画面のまま進まないように見える事があります。ISO イメージの読み出しが遅れているだけで別に放置してしまって問題ないので、気長に待ちましょう。

スクリーンショット 2025-10-13 18.06.30.png

 Windows 11 のインストールメディアからブートできれば、後はベアメタルにインストールする際と同様の手順で進めれば大丈夫です。

スクリーンショット 2025-10-13 20.10.41.png

 低速なネットワークで Harvester のクラスタを組んでいる場合、Windows 11 をインストールする場所の選択画面で「次へ」ボタンを押した後で固まってしまって進まないように見える事があります。パーティションテーブルの作成に時間を要しているだけで処理は進んでいるので、気長に待ちましょう。

スクリーンショット 2025-10-13 20.42.08.png

まとめ

 本記事では、Harvester 1.6.0 上の仮想マシンに Windows 11 をインストールする方法について解説しました。「Harvester Windows 11」で検索して出てくる記事ではレジストリ設定を変更して強制的にシステム要件のチェックをバイパスしていたりするのですが、本記事ではシステム要件を満たす VM を用意する事で Windows 11 のインストールを行なっています。

 今回紹介した手順で最低限稼働する Windows 11 の仮想マシンを立てられたと言っても、実用に堪えるものとするためには追加で様々な設定が必要になることでしょう。仮想マシンであっても Windows のライセンス認証は必要3ですし、デフォルト設定でストレージに用いられる Longhorn の I/O 性能の低さや GPU が付属しない事によるグラフィック性能の低さに頭を悩まされることと思います。本記事ではそれらの解決策については触れませんが、また別の機会があればまとめる事にしましょう。

  1. 少なくとも本記事執筆時点では

  2. この TPM は KubeVirt がソフトウェアでエミュレートしてくれるので、Harvester のノードに TPM が付いていない場合にも有効化してしまって大丈夫です。このソフトウェアエミュレーションの恩恵により、ベアメタルでは Windows 11 をインストールできないマシンで Harvester のクラスタを組んでいても Windows 11 の VM を動かせます。

  3. 元々 OEM 版の Windows 10 ないし Windows 11 がインストールされていたノード上で仮想マシンを作成する場合、OEM 版のライセンスを用いて認証を通すこともできます cf. https://github.com/kubevirt/kubevirt/pull/10774

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