ChatGPT や Claude 、 Gemini などの生成AIにブログ記事やドキュメントの下書きを書いてもらったとき、こんな現象に遭遇したことはありませんか?
「AIが出力したマークダウンをそのままコピペしたら、太文字にならずに
**がむき出しのまま表示されてしまった……」
例:
これは**太文字**になりません。
(※環境によっては、このように ** という記号がそのまま見えてしまいます)
AIは指示通りに強調しようとしてくれているのに、実際に貼り付けるとスタイルが適用されない。地味ですが、手作業で直すのは非常に手間がかかるストレスフルな問題です。
この記事では、AI生成テキストでこの現象が起きる 「意外な原因」 と、AIにあらかじめ対策させるための 「必須プロンプト」 、そしてエディタ側での自動化設定を紹介します。
原因:AIは「英語のルール」でマークダウンを書こうとする
結論から言うと、原因の多くは 「日本語のテキストなのに、前後に半角スペースがないこと」 です。
Markdown はもともと、単語と単語の間がスペースで区切られる 英語圏 で生まれた記法です。そのため、古いパーサー(変換機能)や一部の表示システムでは、 「記号の直前・直後がスペース、または記号でないと、Markdown として認識しない」 という挙動をするものがあります。
AIは「強調するなら ** で囲めばいい」ということは理解していますが、「日本語の場合はスペースが必要」という細かい仕様までは(指示しない限り)配慮してくれないことが多いのです。
その結果、文字がギュッと詰まった状態で出力され、エディタが認識できずに ** がそのまま表示されてしまいます。
⚠️ 注意:Qiitaなど「優秀なエディタ」の落とし穴
ここで一つ、重要な注意点があります。
実は、Qiita や Zenn、VS Code などの現代的なMarkdownパーサーは非常に優秀です。そのため、前後のスペースが詰まっていても、気を利かせて正しく太文字で表示してくれることがあります。
「あれ? スペースなくてもちゃんと太文字になってるじゃん。この記事間違ってる?」
と思った方、要注意です!
あなたが今見ているプレビュー画面では大丈夫でも、そのテキストを別の場所(GitHubのREADME、社内Wiki、Slack、Notionなど)にコピペした瞬間、 ** がむき出しになって表示崩れする 可能性があるのです。
「自分の環境では見えているけれど、他人の環境では壊れている」という事故を防ぐためにも、やはり 「スペースを入れる」のが最も安全な正攻法です。
解決策:AIへの指示(プロンプト)を変えるだけ
手動でスペースを入れて修正する必要はありません。AIに指示を出す段階で、以下のルールを適用させるのが最も効率的です。
💡 コピペ用:魔法のプロンプト
AIへの依頼文(プロンプト)の末尾に、以下の一文を追加してください。これだけで劇的に改善します。
出力の際は、日本語(全角文字)と、英数字・記号・Markdownタグ(半角文字)の間に、必ず「半角スペース」を入れてください。
または、より短く指示したい場合はこちら:
和文と欧文・記号の間にはスペースを入れる(分かち書きする)フォーマットで出力してください。
実際の変化
❌ 指示なしの出力(失敗例)
AI: 重要なのは**ユーザー体験**です。
↓
(表示結果)
重要なのは**ユーザー体験**です。
※ 環境によっては、記号がそのまま見えてしまいます。
⭕️ プロンプト追加後の出力(成功例)
AI: 重要なのは **ユーザー体験** です。
↓
(表示結果)
重要なのは ユーザー体験 です。
前後に半角スペースが入ることで、どんな環境に貼り付けても確実に太文字として認識されるようになります。
太文字以外でも起きる「AI出力あるある」
このプロンプトを入れておくべき理由は、太文字( ** )だけではありません。AIがよく使う以下の記法でも同様のトラブルを防げます。
1. インラインコード(バッククォート)
技術記事などで npm install のようなコマンドをハイライトしたい場合も、AIがスペースなしで出力すると色がつきません。
- ❌
コマンドはnpm installです(AIのデフォルト出力) - ⭕️
コマンドはnpm installです(スペース指示あり)
2. 取り消し線
訂正表現などで使われますが、これも詰まっていると機能しないことがあります。
- ❌
それは~~間違い~~です - ⭕️
それは ~~間違い~~ です
3. リンク記法
URLの直前に日本語が詰まっていると、リンクにならないケースがあります。
- ❌
詳しくは公式サイト:http://example.com - ⭕️
詳しくは公式サイト: http://example.com
補足:VS Code・Cursor ユーザー向け 🛠️
プロンプトで対策するのはもちろんですが、「手元のエディタで保存した瞬間に、自動でスペースを入れる」 設定にしておくと、さらに鉄壁です。
VS Code や、最近話題の AI エディタ Cursor を使っている場合は、以下の拡張機能を検討してみてください。
おすすめ拡張機能
-
Prettier (または Markdown 系のフォーマッター)
- 標準的なフォーマッターです。設定で Markdown の整形を有効にすると、保存時に自動でスペースを調整してくれる場合があります。
-
textlint (vscode-textlint)
- 文章校正ツールです。
textlint-rule-preset-ja-spacingというルールセットを入れると、「全角文字と半角文字の間にスペースを入れる」という処理を強制的に実行できます。
- 文章校正ツールです。
手動修正が面倒なときは?
もし既にスペースなしの Markdown が大量にある場合は、検索置換機能で「正規表現」を使うのも手です。
- 検索:
([あ-んア-ン一-龥])(\*\*)(日本語の後に**がある箇所) - 置換:
$1 $2(間にスペースを入れる)
とはいえ、やはり最初から AIに正しいフォーマットで書かせる のが一番の時短になります。
まとめ
- AIの出力で
**が機能しないのは、日本語特有の「詰め書き」 が原因。 - Qiitaなどは優秀なので表示されることもあるが、他ツールへコピペした際に崩れるリスクがある。
- 手動修正ではなく、プロンプトで「半角スペースの挿入」を指示 するのが正解。
- VS Code や Cursor ユーザーは、フォーマッターや校正ツールで自動修正する環境も作れる。
次にAIにブログやドキュメント作成を依頼するときは、ぜひこの「スペース挿入プロンプト」を試してみてください!