はじめに
Claude Codeを作った Boris Cherny 氏が、自身の開発環境とワークフローをかなり詳しく語っています。
よくある「便利Tips集」ではありません。
本人が日々どう考え、どう使い、どこに投資しているかが、かなり正直に書かれています。
しかも冒頭で、こう言います。
実は、設定はほとんどバニラです
この一言で油断すると、後半で殴られます。
設定はシンプル。でも運用は極限まで洗練されている。
この記事では、Boris氏の話を
「横で話を聞いている感覚」で追えるようにまとめます。
まず全体の話をすると
細かいテクニックは山ほど出てきますが、
全体を貫いている考え方はとてもシンプルです。
- Claude Codeは、最初から十分に賢い
- 問題は「能力」ではなく「使い方」
- 特に重要なのは
並列化 / 計画 / 検証 / 知識の蓄積
逆に言うと、
プロンプトを頑張る話はほとんど出てきません。
Claudeは「1つずつ使うもの」ではない
まず、多くの人が驚くポイントです。
Boris氏は、Claude Codeを常に5つ並列で動かしています。
- ターミナルに5タブ
- それぞれに番号(1〜5)
- Claudeが入力待ちになると通知が来る
重要なのは「5」という数字ではありません。
Claudeが考えている間、人間は次に進む
この状態を、強制的に作っています。
Web版も、当たり前に併用する
さらに彼は、Web版のClaude Codeも使います。
-
claude.ai/codeに5〜10セッション - ローカルとWebを行き来
- iOSアプリから軽く投げることもある
ここでの考え方は一貫しています。
Claudeを“道具”ではなく、“並列に働く同僚”として扱う
1つのClaudeに全部任せる発想は、最初からありません。
モデル選択で迷わない理由
使っているモデルは Opus 4.5 with thinking だけ。
理由は、とても実務的です。
- 少し遅い
- 少し高い
- でも、やり直しがほぼない
Boris氏は、こう考えています。
小さいモデルは速いけど、
「指示 → 修正 → やり直し」が増える
それが一番遅い
Opusは、
- 指示を雑に書いても理解する
- ツールの使い方が安定している
- 想定外の壊れ方をしにくい
結果として、人間の介入回数が激減する。
これが、Opus一択の理由です。
CLAUDE.md は「知識の貯金箱」
チーム運用の話は、特に重要です。
Boris氏のチームでは、
CLAUDE.md を1つだけ 用意しています。
- リポジトリ直下
- Gitで管理
- チーム全員が編集する
そして、運用ルールはシンプルです。
Claudeが変なことをしたら、必ず書き足す
- 設計判断を間違えた
- 命名がズレた
- チームの暗黙知を理解していなかった
その場で直し、次から同じ失敗をさせない。
PRレビューが「教育の場」になる
さらに面白いのがPRレビューです。
- PRに
@.claudeを付ける - 「この判断はCLAUDE.mdに追加して」と指示
- GitHub Actionで自動反映
人間のレビューが、
次回以降のClaudeの品質を底上げする
完全に「複利」の構造です。
いきなりコードは書かせない
Boris氏は、ほぼすべての作業を
Plan Mode から始めます。
- Shift + Tab を2回
- まず計画を書かせる
- コードはまだ触らせない
このフェーズでは、
- 何をやるのか
- 何をやらないのか
- 影響範囲はどこか
を徹底的に詰めます。
そして、
「この計画でいこう」
となったら、
auto-accept edits mode に切り替えます。
ここまで詰めると、
1回でPRが完成することも普通 だそうです。
面倒なことは、全部コマンドにする
Boris氏は、繰り返し作業が嫌いです。
- コミット
- PR作成
- 状態確認
こういった「考えなくていい作業」は、
すべて スラッシュコマンド にしています。
-
.claude/commands/で管理 - Bashを埋め込み
- 事前に計算できるものは計算する
/commit-push-pr は、
1日に何十回も使う そうです。
サブエージェントで役割を分ける
Claudeを「1人格」として扱いません。
- 実装用
- 整理用
- 検証用
役割ごとにサブエージェントを用意します。
code-simplifierverify-app
人間のチーム設計と、ほぼ同じです。
最後の10%はフックに任せる
Claudeはきれいなコードを書きます。
それでも、
- フォーマット
- CIルール
- 細かい差分
はズレます。
そこで PostToolUse フックを使い、
最後の仕上げだけ自動で調整します。
「だいたいOK」では終わらせません。
権限は、ちゃんと管理する
便利だからといって、
権限を雑に扱いません。
-
--dangerously-skip-permissionsは基本使わない -
/permissionsで安全なものだけ事前許可 -
.claude/settings.jsonをチーム共有
自動化と安全性はトレードオフではない
という設計です。
Claudeに「外の世界」を触らせる
Claude Codeは、MCP経由で普通に働きます。
- Slackを検索する
- BigQueryを叩く
- Sentryからログを取る
もはや「相談相手」ではなく、
実務を任せる存在です。
長時間タスクは、止めない設計にする
時間がかかる処理では、
- 後から検証させる
- Stop Hookでチェック
- 専用プラグインを使う
どうしても止まる場合は、
サンドボックスで権限を緩める判断もします。
目的は一貫しています。
Claudeを、途中で止めない
一番大事な話:検証ループ
Boris氏が一番強調しているのは、ここです。
Claudeに、自分の仕事を検証させてください
- テストを実行させる
- Bashを叩かせる
- ブラウザでUIを確認させる
これがあるだけで、
成果物の品質は、体感で2〜3倍変わる
と断言しています。
おわりに
この話から分かるのは、
- 魔法の設定はない
- 本質は「運用設計」
- 特に「並列」と「検証」
ということです。

