2026年9月3日、OpenAIの新しい言語モデルGPT-6 Astraが公開されました。
GPT-5.6ではSol、Terra、Lunaというモデルが使われていましたが、今回はAstraという最上位モデルの登場です。
ClaudeのFable・Mythosと同じような位置付けと考えてよいと思います。
「AGIの時代が来た」という話まで出るほど注目されていますが、実際に使うと何が変わったのでしょうか。
NVIDIA CEO ジェンスン・フアン氏のAGIを祝うX投稿
※AGI(Artificial General Intelligence)は人工一般知能のことで、特定の分野に限らず、さまざまな状況で学び、対応できる人工知能を指します。
開発能力がすごく発展したと聞いたので、
今回は、短いプロンプトで作る簡単なゲームと、約12時間かけて開発する経営ゲームの両方を試してみました。
短いプロンプトだけで、どんなゲームができるのか
まずはGPT-5.6 SolとGPT-6 Astraに、同じプロンプトで簡単なゲームを作ってもらいました。
推論レベルはSolがhigh、Astraがmediumです。
入力したプロンプトはこちらです。
簡単に楽しめるローグライクゲームを作ってください。
ゲームの方式はあなたに任せます。
完成するまで、実装・実行・修正を続けてください。
GPT-5.6 Sol(high):約16分
GPT-6 Astra(medium):約19分
どうですか?ちなみに、使用量はほぼ同じでした。
GPT-5.6 Solと比べると、GPT-6 Astraのほうが、デザインや影の演出、UIの構成なども含めて、より「ゲームらしい」見せ方になっていると感じました。
何を追加すれば見た目が良くなるかだけではなく、一般的なゲームにはどのような要素が必要なのかを考えた上で作っているように見えます。
ゲームの方式も細かな仕様も任せた短いプロンプトで、ここまで形にできる点は印象的でした。
最近Astraで作られたとされるゲームの多くがこの程度の品質になっていることもあり、短いプロンプトだけでも初期成果物を作り出す生成能力は非常に高いと感じます。
細かな内容を記憶し、こちらから細かく指示しなくてもComputer Use機能を活用し、自分でシミュレーションを実行して検証する場面もありました。作って終わりではなく、動かして確かめるところまで進めてくれます。
では、より大規模なゲーム開発も任せられるのか
短時間で遊べるゲームでは良い結果が出ました。それなら、複数のシステムが関わる、もっと大きなゲームではどうなるのでしょうか。
何を作るか考えている中で、AIベンチマークのVending-Benchから着想を得て、自動販売機会社の経営ゲームを作ってみることにしました。
※Vending-Benchは、在庫管理、商品の発注、価格設定などを長期間にわたって継続できるかを評価するベンチマークです。
今回作ったゲームはこちらです。
GPT-6 Astraのmediumを使用し、HTML + JavaScriptで使える環境を想定し、約12時間作業させた結果です。
開発初期には、こちらが指示していなかった実績システムを追加するなど、ゲームとして必要そうな要素を考えて提案・実装してくれる場面もありました。
最初の試作でも感じた「ゲームらしく作る力」は、こうした部分にも表れていたと思います。
ただし、規模が大きくなると、個々の機能が動くだけでは完成しません。画面のデザインをそろえ、システム同士をつなぎ、全体として遊べる状態に仕上げる必要があります。
今回、人間の関与が特に重要だったのは、この部分でした。
全体の設計と調整は、人間が見る必要はまだある
開発が進むにつれて、デザインの統一感、システム同士の連携、画面構成や動きなど、抜け落ちる部分が増えてきました。
一つの完成品として仕上げるためには、人間側が全体のデザインや設計方針を伝え、実際の画面や操作を見ながら修正を求めることが重要でした。
例えば、ゲーム中のメニューに閉じるボタンを追加してもらったところ、開始画面にも同じボタンが付いてしまいました。開始画面を閉じるとゲームを始められなくなるため、開始前の画面とプレイ中のメニューは役割が違う、と改めて説明する必要がありました。
研究や製造システムを追加するにあたり、最初は取引先から購入していましたが、後にはユーザーが直接開発し生産する流れを考えました。しかし、競合会社に研究投資をしたり、研究ができなくてもその製品を生産できるようにするなど、さまざまな問題があり、修正す点がかなり増えました
ボタンや研究機能が存在するだけでは、意図したゲームにはなりません。「プレイヤーがどの段階で何をするのか」まで伝える必要がありました。
そこで、設計メモを残し、変更のたびに更新するよう求めました。実装した内容だけでなく、未完成の部分や、まだ確認できていないことも記録する形です。
作業が今どの段階にあるのか、抜けている部分がないか、システム同士が正しく連携しているか。こうしたことを継続的に確認できるようにすると、全体を整理しながら開発を進めやすくなりました。

作業中にAstraが残したメモは2,000行以上になりました。
もちろんメモを追加しても開発完了の判断はユーザーがする必要がありました。
例)イベント20個を追加してもらいたかったんですが、4個だけを追加して開発完了判定
大規模な作業では、役割分担とループが重要
ゲームの規模が大きくなるにつれて、一つのエージェントにすべてを任せると、内容が少しずつ崩れていく場面がありました。
なので、開発の後半から、全体の設計と統合を担うエージェント1つに、3つの専門担当を加える形にしました。役割は次のとおりです。
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game-designer:ゲーム全体のルールと体験の設計、各担当の成果の統合 -
economy-designer:価格、在庫、収支、借入や投資などの経済システム -
level-designer:商圏や業務画面の構成、操作のしやすさ -
narrative-designer:チュートリアル、秘書の案内、イベントや結果の伝え方
担当ごとに調べる範囲と修正するファイルを分け、発見した問題、変更内容、確認できたことを報告してもらいます。その結果を統合担当がまとめ、ほかのシステムとのつながりを確認してから反映する形です。
もちろん、複数のエージェントを動かして何度も確認・修正するため、使用量は大きく増えますが
1つのエージェントでやり直して修正する時間や細かい完成度を考えると、むしろ安くなると思います。
単一エージェントとの比較実験をしたわけではないので、効率がどれだけ上がったかは分かりません。ただ、誰が何を確認し、どこが未確認なのかを把握しやすくなった点は、実際に役立ちました。
また、作業内容に応じて推論レベルを調整することも重要でした。単純な実装や確認は低めの設定で進め、設計の判断、複数システムの調整、問題の原因を探る作業には高い推論レベルを使う。こうした使い分けをすると、必要な部分に使用量をかけやすくなります。
マルチエージェントで役割を分ける場合も、設計メモは共通の基盤になります。今どこまで決まっているのか、何が未実装なのか、どの変更がほかのシステムに影響するのかを残しておかないと、役割を分けても同じ内容を繰り返したり、矛盾した実装が生まれたりします。
まとめ
動くことを確かめても、面白さの判断は残る
現時点でプレイ可能な試作品を作るレベルまではできますが、完成品にするためには、人間の介入が必要だと思います。
経営ゲームとしての数値バランスにも、まだ課題が残っています。AIの自動テストでは、2年間の営業や借入金などのシミュレーションの結果を確認できました。一方、基本の自販機1台を自動運営する方針で、2年後に約5万8,000〜7万8,000ドルの現金が残る結果も出ています。
このような数値的な部分やバランス、デザインのレファレンス(自動販売機ゲームはWindows 95のデザインを参考にしてほしいとお願いしました)、イベント設計、ゲーム進行を助ける説明など、
AIに任せるだけでは決められない、「どのようなゲームを完成品とするか」という
シナリオを設計する力が非常に重要だと思います。
道具を使う人が、プレイヤーにどのようにゲームを始めてもらい、何を体験させ、
どのような結末にたどり着いてほしいのか。開発の最初にこれを考えておくことが、ゲームに限らず最も重要だと思います。
利用方法と料金
ChatGPTの有料プランでAstraを使う場合は、月額約3,000円のPlus以上のプランが必要です。通常のChatモードではなく、Codex / Workモードで利用でき、使用量のプールは共通です。
Plusプランでは利用できる量は少ないですが、比較的低い料金から最上位モデルを試せる点はメリットだと思います。
競合のClaude Fableは、Proプラン(3000円)を購入しても、別途クレジットを購入するか、月額約16,000円のMaxプランを利用する形です。
今回の約12時間の開発は、Proプランの定額料金内で行いました。使用量の目安としてはPlusプランの約1か月分程度、月額でいえば約3,000円のイメージです。APIの従量課金とは異なるため、そのままAPI料金に換算したものではありません。




