「AIがコードを書いてくれるなら、プログラミングを覚えなくてもいいんじゃない?」
そう思ったことはありませんか?
実際、AIにお願いすると、たった数秒でプログラムを作ってくれます。
でも、ここに新人エンジニアが知っておきたい、大切な落とし穴があります。
AIが作ったプログラムは、動いたからといって、正しいとは限らないのです。
そもそも、プログラムって何?
難しく考える必要はありません。
プログラムとは、簡単に言えば 「コンピューターへの指示書」 です。
例えば、あなたが友達に「コンビニで飲み物を買ってきて」とお願いしたとします。
友達は困るかもしれません。
「何を買えばいいの?」
「何本?」
「いくらまで?」
そこで、「150円以内のお茶を1本買ってきて」と伝えれば、何をすればいいかがわかります。
プログラムも同じです。
コンピューターは、指示されたことを実行します。でも、あなたの本当の目的を自動的に理解してくれるわけではありません。
AIがプログラムを作る場合も、まずは何を実現したいのかを伝えることが大切なのです。
AIが書いたコードに隠れていた、小さな間違い
例えば、あなたがネットショップを作ることになったとします。
お店のルールは、次のとおりです。
「商品代金が5,000円以上なら送料無料。それ以外は送料500円」
そこでAIに、送料を計算するプログラムを作ってもらいました。
AIが作ったコードは、こんな感じです。
if price > 5000:
shipping = 0
else:
shipping = 500
コードがわからなくても大丈夫です。
これは翻訳すると、次の意味です。
- 商品代金が5,000円を超えたら、送料0円
- それ以外なら、送料500円
一見、問題なさそうですよね。
でも、ちょっと待ってください。
商品代金が、ちょうど5,000円だったら?
このプログラムでは、送料が500円になってしまいます。
本当は無料にしなければいけないのに。
原因は、たった1つの記号です。
price > 5000 # 5,000円を超えた場合
price >= 5000 # 5,000円以上の場合
> は「より大きい」、>= は「以上」という意味です。
たった1文字の違いですが、お客様に間違った送料を請求してしまう可能性があります。
しかも、このプログラムはエラーにならず、普通に動いてしまいます。
「プログラムが動いた」と「お客様の望みどおりに動いた」は、まったく別の話なのです。
では、AIにコードを書かせる前に何を考えればいい?
最初から難しい技術を覚える必要はありません。
まず、次の3つを考えてみてください。
① 何のために作るの?
今回なら、「送料を自動計算して、お客様に正しい金額を表示するため」です。
単に「送料を計算するプログラムを作る」ことが目的ではありません。
誰の、どんな困りごとを解決するのか。
これがわかると、何を作るべきかが見えてきます。
② どうなったら正解なの?
今回は、こうですよね。
| 商品代金 | 正しい送料 |
|---|---|
| 4,999円 | 500円 |
| 5,000円 | 0円 |
| 5,001円 | 0円 |
これを先に整理するだけで、AIにも正確なお願いがしやすくなります。
実際の仕事では、さらに「割引前と割引後のどちらの金額で判断する?」といった確認も必要になるかもしれません。
わからないことを見つけて、確認する。これも大切なエンジニアの仕事です。
③ 本当に正しく動いている?
AIがコードを書いてくれたら、実際に試してみましょう。
4,999円なら?
5,000円なら?
5,001円なら?
こうして、期待した結果になるかを確認することを「テスト」と呼びます。
特に、5,000円のような条件の境目は間違いが起こりやすいところです。
すべてを一度に理解できなくても大丈夫。
「何を確認すればいいか」を少しずつ覚えることが、成長への第一歩です。
同じAIを使っても、結果は変わる
例えば、2人の新人エンジニアがいるとします。
Aさんは、AIにこうお願いしました。
「送料を計算するコードを書いて」
Bさんは、こうお願いしました。
「5,000円以上は送料無料、5,000円未満は500円にしてください。4,999円、5,000円、5,001円の場合も正しく動くか確認できるようにしてください」
同じAIでも、伝えた情報が違います。
Bさんのほうが、必要な条件や確認方法を具体的に伝えられています。
もちろん、丁寧にお願いしてもAIが間違えることはあります。だから最終的な確認は必要です。
ここで大切なのは、AIへの質問のうまさだけではありません。
何を作りたいのかを考え、必要な条件を整理し、結果を確かめる力です。
これはプログラミング経験がなくても、今日から練習できます。
まずは、このお願いをAIにしてみよう!
実際にChatGPTなどのAIを開いて、次の文章を入力してみてください。
私はプログラミング初心者です。
商品代金が5,000円以上なら送料無料、5,000円未満なら送料500円になるプログラムをPythonで作ってください。
コードの意味を1行ずつ、専門用語を使わずに説明してください。
また、間違いがないかを確認するために、どんな金額で試せばよいかも教えてください。
そして、AIの説明でわからない言葉があったら、こう聞いてみましょう。
「その言葉を、小学生にもわかるように説明して」
「どうして、その処理が必要なの?」
「もし、この部分を変えたらどうなるの?」
これを繰り返してみてください。
ただコードをもらうだけだったAIが、少しずつ、あなたの学習を助ける存在に変わっていきます。
なお、実際の仕事でAIを使うときは、会社やお客様の機密情報、パスワードなどを許可なく入力しないことも忘れないでください。
AI時代に、エンジニアは何をする人になるのか?
AIは、これからも便利になっていくでしょう。
コードを書く、間違いの原因を探す、わからない言葉を説明する。そんなことも手伝ってくれます。
だからといって、エンジニアが考える必要がなくなるわけではありません。
むしろ、AIを使って多くのことができるようになるからこそ、「何を作るべきか」「どうすれば役に立つか」を考えることが、ますます大切になります。
そして、もう一つ。
エンジニアの仕事は、ひとりで完結するものばかりではありません。
お客様の話を聞き、仲間と相談し、わからないことを確認しながら、一緒によりよいものを作っていきます。
最初から全部わかる必要はありません。
わからなければ、聞けばいい。調べればいい。小さく試してみればいい。
昨日できなかったことが、今日ひとつできるようになる。
その積み重ねが、エンジニアとしての自信になります。
最後に
AIにコードを書かせることと、AIを使ってよいシステムを作ることは違います。
大切なのは、たった3つ。
何のために作るのか。どうなったら正解なのか。本当に正しく動いているのか。
まずは、この3つを意識してみてください。
コードを全部覚えていなくても、経験がなくても、エンジニアとして考える練習は今日から始められます。
そして、その一歩が、未来の自分を変えていくかもしれません。
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