いやあ、Cursor最高ですね。
プログラミングに限らず、ちょっとした思い付きをメモするのにも使っています。むしろハルシネーションの影響が小さく済むので、こういう雑な用途の方が気楽でいいですね。もちろんこの記事もCursorで執筆しています。
さて、弊社でもCursorの利用許可が下りたという情報を目にしました。ですがソフトウェア開発メインの会社じゃないからなのか、あんまり話題になっていません。Cursorの存在すら知らない人も多そうです。
これはもったいない、ということでチームメンバにCursorをおススメしました。社内向けすぎる情報は削除したり書き換えたりしたうえで、作った資料をここに公開します。Cursorで業務メモを作るならMarkdownがメジャーだろうと考えたのでMarkdownの紹介付きです。
私と同じような境遇にいる人はもちろん(存在する?)、これからCursorやMarkdownを覚えるぞと思ってる人の参考になれば幸いです。
いくつかの前提
- 資料のターゲットは課内メンバです。この前提で、意図的に説明を省いたり表現を簡単にしたりしています。とはいえ、明らかに間違った内容があれば指摘してください。
- プログラミングもマークアップ言語も全く未経験、という人は課内に少数派だと思います。
- しかし課の業務としてプログラミングをすることはほとんどありません。
- 弊社ではChatGPTを直接利用はできません。代わりに類似した社内独自アプリが用意されています。これは多くの人が利用しています。
- Cursorは社内利用の許可が下りています。希望者にはAzureOpenAPIのアクセスキーが配布されます。
まえがきは以上。ココから資料の本編です。
タイトル:Cursor&MarkdownでChatGPTをフル活用しよう
サマリ
ChatGPT搭載の最新コードエディタCursorのいいところ
- 作業とチャットが単一のアプリで完結する
- AzureOpenAPIをサクサク利用可能
- 社内利用許可済でインストールも簡単
お手軽マークアップ言語Markdownのいいところ
- 機械処理が得意
- テキストファイルなので動作が軽い
- デザイン調整が不要でコンテンツ作成に注力できる
最も重要なポイントはMarkdownとChatGPTの親和性が高いということです。
つまり、CursorでMarkdownを使えば最強です。
この資料もCursor&Markdownで作りました。
1. Cursorは便利
1.1. Cursorのインストール方法
公式サイトからインストールしてください。
会社で定められたインストール手順があるので、実際はそれを書いています。
1.2. Cursorの概要
Cursorはほんの数か月前に登場した最新ツールです。簡単に言えばVSCodeにChatGPTを搭載したもので、エディタ上からChatGPTを直接呼び出せるのが特徴です。
VSCodeにもコードエディタにも馴染みない方に説明すると、Cursorはプログラマ向けのテキストエディタです。.c(C言語)や.py(python)のようなプログラミング言語の編集はもちろん、.txtのようなテキストデータも編集できます。
詳しく知りたい場合はwebの公開記事などを読むと理解が深まるかもしれません。
1.3. Cursorの利点
エディタ自体にChatGPT機能が搭載することで、以下のことが実現できます。
- ChatGPTが作業ファイルを直接参照できます。「ソースコードとエラー情報をもとに、ここのバグを修正して」とか「こんな資料を作ってるんだけど、想定質問を考えて」みたいな指示ができます。
- ChatGPTを利用するのにアプリの切り替えが不要になります。操作が減って時短になりますし、コンテキストスイッチも抑制できます。
- VSCodeをフォークしてるので、VSCodeの拡張機能をそのまま利用できます。
ここでは一般的な利点を説明しました。続いてはみなさんの業務により近いユースケースで利点を紹介していきます。つまり、社内独自アプリと機能を比較します。
1.4. 社内独自アプリと比較
社内向けに特化した内容なので割愛します。
Cursorが優れるところ、社内アプリが優れるところを両方紹介しました。
1.5. セキュリティ上の懸念も大丈夫
生成AIの利用でよく問題になるのは情報漏洩の観点です。多くの場合、生成AIの利用データはそのままAIの学習データとして再利用されます。これは生成AIの運営会社にデータを渡すだけでなく、他の利用者へのレスポンスに自分たちの情報が出力されかねないということでもあります。
この点でCursorは安心して利用できます。CursorのPrivacy Policyには、Privacy modeを有効化すれば利用データが一切保存されないと明言されています。
以上がCursorの説明でした。続いてはCursorでも使えるMarkdownについて紹介します。
2. Markdownも便利
2.1. Markdownの概要
Markdownとは書き方のルールの1つです。専門的な表現をするとマークアップ言語の一種でして、HTML・TeX・XMLなどの仲間です。
ここの文章もMarkdown形式で書いているので、まずは実物を見てみましょう。
# 2. Markdownも便利
## 2.1. Markdownの概要
Markdownとは書き方のルールの1つです。専門的な表現をするとマークアップ言語の一種でして、HTML・TeX・XMLなどの仲間です。␣␣
ここの文章もMarkdown形式で書いているので、まずは実物を見てみましょう。
※`␣`は半角スペースです。
表示画面とMarkdownとで情報量の違いはほとんどありませんね。Markdownの記法はとてもシンプルで書きやすいところが特徴の1つです。
上記の例だと、シャープ記号(#や##)が見出しに、␣␣(半角スペース2つ)が改行に対応した記法です。
2.2. Markdownの最大の魅力
私が考えるMarkdownの最大の魅力は機械処理のしやすさです。私たちが書いたMarkdownテキストをツールが自動でいい感じに処理してくれる、ということです。
代表的なものは、見やすいデザインに自動調整してくれることです。まさにいま表示されている感じです。
他にも、目次やアウトラインを自動で生成したり、別のファイル形式(HTML、XML、PDF、PPTなど)に変換してくれたりもします。
個人の好みにカスタマイズできるツールも存在するので、自分だけの理想的な作業環境を用意することだってできます。
2.3. その他の利点
機械処理のしやすさの他にも利点があるので紹介します。
- 記法がシンプル。これは学習が簡単で、かつすぐに使いやすいということです。
- 動作が軽い。Markdownはただのテキストデータです。メモ帳アプリでも編集できます。
- キーボードだけで編集が完結する。構造は対応した文法によって記述します。マウスで書式設定のアイコンをクリックする、みたいなことは一切ありません。
- デザイン調整が不要で、コンテンツ作りに集中できる。Markdownで記述するのは構造だけです。見た目の調整はツール側で勝手にやってくれます。
- 可搬性が高い。Markdownに対応したツール同士であればコンテンツの移動が容易です。
- Gitなどでのバージョン管理が容易。
最終_検討資料_20240301最新_部長追記.xlsx
みたいなファイル管理とはおさらばできます。 - HTML記法も使える。HTML記法を使えば文字色の装飾をはじめとした多様な表現も可能です。
2.4. Markdownの始め方
メモ帳やサクラエディタを開き、拡張子を.md
に変更して保存します。これだけでMarkdownを始められます。編集方法はテキストファイルの場合と全く変わりません。
Markdownに対応したツールがあるなら、そこでMarkdown記法を試してもOKです。対応ツールは多くあるので、普段使っているツールの仕様を調べてみるとよいと思います。
記法の解説は長くなるので省略します。このサイトのように解説記事はたくさんありますのでそちらをご覧ください。
3. Cursor&Markdown
ここまででCursorとMarkdownの利点をそれぞれお伝えしてきました。それぞれ独立して利用できるツールですが、一緒に使えば両方のメリットを一度に獲得できます。
ということで、CursorでMarkdownを使いましょう。CursorはMarkdownに対応しています。
3.1. CursorでMarkdownを使う利点
Markdownの利点の1つは機械処理しやすいことでした。これは当然ChatGPTの処理にも当てはまります。
例えばChatGPTのテキストボックスにExcelのデータを張り付けた場合、セルの位置関係、フォントサイズ、色、コメントなどの情報は全て失われます。雑に入力してもある程度補完してくれる程度には賢いですが、それでも正確性は保証されません。
Markdownはテキストにすべての情報が集約されているので情報のロスは発生しません。
出力についても同様です。ChatGPTの回答はExcelに直接貼り付けられません。貼り付け先のセル単位で範囲選択を繰り返す必要がありますし、書式の調整も別途必要です。
ChatGPTはMarkdown形式の出力にも対応しています。指示を与えればMarkdownで出力してくれます。
以上がCursorでMarkdownを使う利点です。つまり、CursorでMarkdownを使うことがChatGPTの性能を最大限に発揮させる環境なのです。
(大げさに表現しましたが、ChatGPTはテキスト処理が得意なので、テキストだけで完結するデータ構造の方が相性いいよね、というだけの話です。)
3.2. 使い方の例
あえて書くほどの内容ではないですが、簡単に紹介します。
Markdownをすぐに利用できる場面はテキストベースの作業です。ぱっと思いつくのは議事録や手順書の作成など。これらの作業を、これからはCursorを使ってMarkdown形式で書いていきます。ExcelやPowerpointで提出する資料であっても、Cursor上でテキストを作成した後で張り付けていきます。
これだけです。
作業の途中でChatGPTを利用するのであれば、間違いなく作業が楽になるはずです。ChatGPTを使わなかったとしても、Cursor(あるいはVSCode)は優れたエディタなので作業を劣化させることはありません。
また、Officeツールで作業すると見た目が気になって書式調整とかに手を加えてしまいがちです。Markdownで作業すればデザイン調整を切り離して、文章の検討だけに集中できます。
3.3. みんなで使おう
会議中にみなさんがメモを取る様子を見ていると、OneNote、Excel、メモ帳、Cursor(VSCode)などバラバラにツールを使っています。いずれも会社標準のツールですから情報共有できますが、人によってツールや書き方が違うとやはり少し不便です。
これを機会に、みんなの作業環境を合わせてみてはどうでしょうか。オフラインコミュニケーションがもっと活発になるかもしれません。可搬性の高さはMarkdownの利点です。
あとがき
最後まで読んでいただきありがとうございました。
CursorやMarkdownを使いたい人が複数いるなら、勉強会の開催やより実践的なマニュアル作成をしたいなと思っています。
ぜひ質問、コメント、相談をお待ちしています。
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略