あらすじ
地区大会をどのように迎えるのか
地区大会までにやるべきことは単純である。
- 競技規約を満たすシステムを作る
- それの説明をA3サイズ5枚の資料にまとめる
- 当日遅刻しないように前日は早く寝る
以上。これ以外にやることはない。
しかし、多くのチームが途中で道を逸れてしまいやるべきことが出来ていない。
なぜだろうか?
本記事ではプロジェクトの計画と遂行の方法について説明しようと思う。
すべてのプロジェクトには明確なゴールが必要である
前記事では、情報収集をする必要性を説いた。
しかし、それだけではプロジェクトを進めてはいけない。
プロジェクトの達成基準(=ゴール)をチームで合意しなければならないのだ。
長く過酷な道のりを楽にするための情報が揃っても、どこに向かっていけば良いのかがわからなければ宝の持ち腐れだ。
情報を無駄なく活用するためのポイントを明確にするため、ゴールを定めよう。
プロジェクトの計画段階に使う手法の中で、比較的簡単に使えるODSCという手法を紹介しよう。
目的・成果物・達成基準がすべての鍵
プロジェクトの目的・成果物・達成基準が曖昧だと、収集した情報をいつ使えばよいのかわからなくなる。
そこで、チームメンバ全員で模造紙の前に集まり、以下の項目を決定しよう。
- 目的(Objectives)
何のためにETロボコンに参加するのかという目的を挙げよう。
モデルベース開発を経験するため、プロジェクトマネジメントの経験をするためでもいい。
就職活動のため、社内表彰されるためでもいい。
利己的であれなんであれ、「これだけは譲れない」というこだわりを挙げるといいだろう。
それがあなたの原動力となる。
- 成果物(Deliverables)
目的の果てに生まれるものはなんだろう?
ETロボコンにおいては、モデル、ソースコードが主だが、ここは目的によって増減する。
就職活動のためなら内定だし、社内表彰のためなら社長賞などが考えられる。
または、エンジニアとして成長した自分でもいいしモデルベース開発の経験なんかもいいだろう。
この場においての成果物とは、目に見えなくてもいいが確かに存在するものを挙げていこう。
この成果物無くして目的を達成したとは言えないものを考えよう。
- 達成基準(Success Criteria)
ここで必要なのは達成できたかできていないかという定量的かつ明確な線引である。
○×△という中途半端な評価ではダメだ。○か×しかない基準を挙げよう。
しかし、だからといって厳しいものでなくてもいい。むしろ、ここは和気あいあいと挙げていく必要がある。
ETロボコンにおいては、モデルを5枚書き上げる、地区大会までにメンバが欠けないなどがあるだろう。
しかし、実行委員を唸らせる、上司に褒められる、教授に差し入れをもらうなど、あなたが面白いと思うものでも良い。
要は、目的を達成するためのチェックポイントの位置づけで活用して欲しい。
ODSCが決まったら行動を決めよう
チームの目的が決まり、なんだか楽しくなってきてもまだ待って欲しい。
目的と達成基準、今まで集めた情報を使ってクリティカルパスを図化してもらいたい。
例えば、目的が就職活動のためで、成果物を内定、達成基準を企業の採用担当の目にとまることだとしよう。
だとすると、どのような行動を取らなければならないか?
全300チームを超える中で「うちの会社に来てもらいたい!」と思わせるにはどうすればよいか?
あの会社は何を生業としているのか?求めている人材像は?
まずは声をかけるべきだろうか?模擬レースなんか企画したら食いつくのではないか?
ここで事前に調査した情報が役に立ち、行動を決めることができる。
例として就職活動をあげたが、これは他のOSDCについても同様である。
目的達成のためのクリティカルなパスを洗い出すことで、スケジュールを立てることができる。
そのスケジュールで期日までに成果物をアウトプット出来ない場合、不明瞭な部分があるということだ。
それは継続して情報収集を行い、やるべきことを煮詰めていく必要がある。
目的・成果物・達成基準を決め、行動と情報の活用ポイントを明確にする。
これさえ決まれば、途中で障害が起きても別の手段が思いつくだろう。
あとは走り始めるだけだ。
とは言っても見直しは必要
計画は唯一絶対の解ではない。
継続的な見直しが必要になる。
有名なもので言えばWBS、カンバンなどがある。
当初立てたスケジュールに対して現状はどうなっているかを定期的に見直さなければ、気がつけば断崖絶壁にたたされていることもある。
頻度は週に一回、朝の10分ほどでいい。それを継続するだけでプロジェクトは驚くほどまっすぐ進むだろう。
WBS、カンバンについてはGoogleで検索すると山の方に情報が出てくるため、本記事では割愛する。
最後に
本記事は、ETロボコンの地区大会までのマネジメントについて説明した。
計画についてが主だったが、これをやるだけでやらなくていい作業、やらなければならない作業が明確となる。
毎週朝の10分でTODO DOING DONEを共有するだけで、作業の進捗具合が露わになるだろう。
言葉にすると単純ではあるが簡単ではない。
しかし、ぜひ実践してみて欲しい。驚きと発見があなたを待っているだろう。
もちろん、継続して他チームとのコンタクトやメーリングリストの活用は行って欲しい。
次の記事では、チャンピオンシップ大会までにやることについて説明しよう。