AWS BatchとEventBridgeの活用:バッチ処理とイベント駆動型アーキテクチャの実現
はじめに
AWS BatchとEventBridgeは、AWS上でバッチ処理やイベント駆動型アプリケーションを構築する際に重要な役割を果たします。本記事では、それぞれの利用目的や使い分け、具体的な利用方法と例について解説します。
AWS Batchとは
AWS Batchは、スケーラブルなバッチ処理を実行するためのマネージドサービスです。コンテナイメージを利用してジョブを実行でき、インフラのプロビジョニングやスケジューリングを自動化します。
AWS Batchのアーキテクチャ
利用目的
- 大量データの処理や定期バッチの自動実行
- HPC(High Performance Computing) ワークロードの実行
- 大量の非同期タスクの効率的な管理
利用方法
- コンピューティング環境の定義: コンピュート環境(EC2/Spot/Fargate)を作成し、ジョブを実行するインスタンスを指定します。
- ジョブキューの設定: ジョブを投入するキューを作成し、優先度やコンピュート環境を関連付けます。
- ジョブ定義の作成: Dockerイメージや実行コマンド、リソース要件を記述したジョブ定義を作成します。
- ジョブの投入: AWS CLIやSDKからジョブキューにジョブを投入し、実行を待ちます。
具体例
aws batch submit-job \
--job-name data-processing \
--job-queue my-queue \
--job-definition my-job:1
上記のコマンドで、my-queue
にジョブを投入して実行します。
EventBridgeとは
EventBridgeは、AWSサービスやSaaSアプリケーション、独自アプリケーションから発生するイベントをルーティングするイベントバスサービスです。サーバーレスアーキテクチャの中心的存在として、多様なワークロードの連携を実現します。
EventBridgeのイベントフロー
利用目的
- AWSサービス間のイベント連携
- 定期実行(スケジュール)やカスタムイベントのトリガー
- 外部SaaSとの連携によるワークフロー自動化
利用方法
- ルールの作成: 受信するイベントパターンとターゲットを指定してルールを定義します。
- イベントバスの選択: デフォルトイベントバス、カスタムイベントバス、SaaSイベントバスのいずれかを利用します。
- ターゲットの設定: Lambda関数、Step Functions、SNS、SQS、Batchなど、さまざまなAWSサービスをターゲットに設定できます。
具体例
aws events put-rule \
--name schedule-batch-job \
--schedule-expression "cron(0 12 * *? *)"
aws events put-targets \
--rule schedule-batch-job \
--targets "Id"="1","Arn"="arn:aws:batch:ap-northeast-1:123456789012:job-queue/my-queue","RoleArn"="arn:aws:iam::123456789012:role/EventBridge-Invoke-Batch"
上記例では、毎日正午にBatchジョブをキューに投入するルールを設定しています。
BatchとEventBridgeの比較
項目 | AWS Batch | EventBridge |
---|---|---|
主な用途 | バッチ処理の実行 | イベントのルーティング |
処理タイプ | 長時間実行タスク | イベント配信 |
スケジューリング | ジョブキューによる管理 | Cronやrateベースのスケジュール |
スケーラビリティ | コンピュートリソースの自動スケール | イベント配信の自動スケール |
料金体系 | コンピュートリソースベース | イベント数ベース |
ユースケース | データ処理、機械学習、レンダリング | ワークフロー自動化、システム連携 |
まとめ
- AWS Batchは、バッチ処理をスケーラブルに実行するためのサービス。ジョブのキューイングやコンピュートリソースの管理を自動化できる。
- EventBridgeは、イベントのルーティングとスケジューリングを担うサービス。AWSサービスやSaaSとの連携を容易にし、Batchジョブのトリガーにも利用可能。
- 両者を組み合わせることで、イベント駆動で柔軟なバッチ処理基盤を構築できる。
これらのサービスを適切に組み合わせることで、スケーラブルで信頼性の高いバッチ処理基盤を構築できます。